「厳罰化」でより求められる「適正な捜査」

法律を厳しくし、悪質運転を排除すれば、悲惨な事故は確実に減らすことができるでしょう。しかし、この流れの中でどうしても拭い去れない不安…、それは、交通事故の捜査の現場に横たわる問題です。 私はこれまで数多くの交通事故を取材してきましたが、あいかわらず物的証拠を無視した一方的な捜査が全国各地で行われ、その処理に納得できず苦しみ続けている被害者、遺族、また「加害者」にされてしまった人たちが大勢いるという現実があるのです。 刑罰が重くなればなるほど、加害者の「自己防衛本能」は強く働き、少しでも罪が軽くなるように、信号の色や速度を偽ったり、被害者の過失を捏造するというようなケースも増えるかもしれません。

実際に、「危険運転致死傷罪」が創設された後は、「ひき逃げ」の件数がいっきに増えました。これは、飲酒運転で捕まるより、逃げてアルコールを消してから出頭したほうが、結果的に罪が軽くなるという法の抜け穴があったからです。 また、「飲酒運転」の取り締まりを強化するのは賛成ですが、現状の「呼気検査」だけでは、そのドライバーの酒酔いのレベルを正確に判断できません。たとえば、当事者が意識不明になった場合は血液を採取するしかありませんが、警察官は法律上、血液採取をしてはいけないため、裁判官に令状を取ってからの作業になるのです。しかし、時間が経過するとアルコール濃度という証拠はどんどん薄れてしまいます。

とにかく、交通事故の凄惨な現場には、1分1秒を争う厳しい状況があります。その段階で科学的、かつ公平な捜査が行われない限り、いくら新しい法律を作っても「絵に描いた餅」で終わってしまうのではないかという不安が拭い去れないのです。 2007年に、刑法と道路交通法がいずれも改正されましたが、刑罰強化の前にまずすべきことは、捜査の適正化と正確な実況見分調書の作成ではないでしょうか。

ずさんな捜査によって、「被害者なのに被害者扱いされない当事者が大勢いる」という現実を認識し、万一のときは自分たちで現場の写真をとるなど、証拠保全をしておくことも大切です。

ジャーナリスト:柳原三佳

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