飲酒事故被害者たちの声が法改正の原動力に

1999年11月28日、東京・世田谷区の東名高速道路で、泥酔運転の大型トラックが乗用車に追突し、幼い女の子2人が炎上した車の中で亡くなるという痛ましい事故が起こりました。また、2006年8月25日に福岡で起きた、海の中道大橋の飲酒運転事故についても、記憶されている方は多いことでしょう。 東名高速道路で3歳と1歳の姉妹を失った千葉市の会社員・井上保孝さんと郁美さん夫妻は、3回目の命日を前にした10月23日、 服役中の元運転手 と、この運転手が勤めていた高知市の運送会社などを相手取り、総額約3億5000万円の損害賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。さらに、「請求額の一部は、子供たちが生きていれば18歳になる年から以降15年間にわたり、毎年、命日に分割で支払うように」と求め、夫妻は提訴後の記者会見の席で、「加害者には社会復帰後も、犯した罪を生涯かけて償ってもらいたい」そう語りました。

この事故の加害者は職業ドライバーでありながら、飲酒運転の常習者で、事故当日もウイスキーを目立たぬようチュウハイの缶に移し、運転しながら飲んでいました。なんと、事故の直前には、高速道路を蛇行しながら走っているところを多くの車に目撃され、通報までされていたのです。しかし、これほど悪質な運転でも、「業務上過失致死罪」として裁かれ、懲役4年という判決を受けました。 「なぜ、この事故が“過失”なのか?悪質な運転者の罰則は、もっと強化すべきではないか?」 そんな疑問を持った井上さん夫妻をはじめとする多くの飲酒事故被害者たちは、立ち上がりました。そして 2001年12月、法定刑の上限を15年とする「危険運転致死傷罪」が新設。「同じような事故を二度と繰り返して欲しくない」その思いは大きな力となって、国を動かしたのです。

「危険運転致死傷罪」の制定後、飲酒運転による事故件数は激減し、2006年は611件と10年前に比べて半減する結果となりました。 井上さん夫妻は今、自分たち家族が遭遇した事故の辛い記憶を語りながら、全国各地で講演活動を行っています。また、交通事故や犯罪で命を失った人たちの人型パネルとメッセージを展示する「生命のメッセージ展」にも亡き姉妹とともに参加し、命の大切さ、飲酒運転の恐ろしさを訴えています。

ジャーナリスト:柳原三佳

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