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自動車保険、対人・対物の「無制限」とはどういうこと?

投稿日:2022年1月20日 更新日:

自動車保険を契約するうえで、対人賠償や対物賠償は保険金額を無制限にすることが基本となっています。この無制限という内容で気をつけなければいけないのは、保険会社に請求するだけ際限なく保険金が支払われるというわけではない、ということです。一体どういうことなのでしょうか?

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損害賠償責任の範囲で無制限

自動車保険の対人賠償や対物保険で保険金額が無制限となっているのは、支払われる保険金の限度額が無制限という意味です。対人賠償や対物賠償は法律上の損害賠償責任を負担したことによって生じた損害に対して保険金が支払われるので、賠償責任がないことに対しては保険金は支払われません。

例えば、車対車の事故において、相手の車の修理費用の賠償責任は基本的に車の時価額が上限となります。相手の車の時価額が100万円、修理費用が120万円だった場合、法的な賠償責任が生じるのは100万円までです。それゆえ、対物賠償で支払われる保険金も上限は100万円となります。無制限だからと120万円まで支払われるわけではありません。

時価額を超える分の修理費用は対物賠償の対象外

対物超過修理費用特約が役に立つ

前述の通り、車対車の事故において、相手の車に対する賠償で支払われる保険金は車の時価額までです。それゆえ、修理費用が時価額を上回っていると事故相手と揉めることもあります。そうしたときに役に立つのが対物超過修理費用特約です。

対物超過修理費用特約とは、対物賠償保険で補償する事故で相手の車の修理費用が時価額を超えた場合に、その差額に対して自分側の過失割合を乗じた額を支払う特約です。限度額は基本的に50万円ですが、無制限を選択できる保険会社もあります。また、保険会社によっては対物差額修理費用補償特約などと別の名称が使われていることもあります。

対物超過修理費用特約とは?対物無制限でも必要なの?
事故を起こして相手の車に損害を与えてしまったときには対物賠償保険で保険金が支払われます。しかし、支払われる保険金は車の時価額までなので、修理費用が時価額を上回っていると事故相手と揉めることもあります。 ...

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対物超過修理費用特約の支払例

ケース1:時価額30万円、修理費用50万円、過失割合80:20

過失割合が自分側80%、相手側20%の事故を起こし、相手の車の時価額が30万円、修理費用が50万円かかるとします。この場合、対物超過修理費用特約がないと、対物賠償の時価額30万円×過失割合80%の24万円しか補償されません。

一方で対物超過修理費用特約がある場合、修理費用のうち時価額を超える20万円分についても、それに過失割合の80%を乗じた16万円も補償されます。つまり、対物賠償の24万円とあわせて40万円が補償され、時価額が修理費用を超えている場合の50万円×80%=40万円と同額の保険金が支払われることになります。

過失割合
自分80%:相手20%
相手の車の修理費用:50万円
時価額30万円時価額を超過する20万円
特約なし24万円
(30万円×80%)
補償なし
特約あり24万円
(30万円×80%)
16万円
(20万円×80%)

ケース2:時価額50万円、修理費用150万円、過失割合80:20

続いて、車の時価額に対して修理費用が非常に高額な場合です。過失割合が自分側80%、相手側20%の事故を起こし、相手の車の時価額が50万円、修理費用が150万円かかるとします。この場合、対物超過修理費用特約がないと、対物賠償の時価額50万円×過失割合80%の40万円しか補償されません。

一方で対物超過修理費用特約がある場合、修理費用のうち時価額を超える100万円分についても、それに過失割合の80%を乗じた80万円が補償される計算になりますが、基本的にこの特約で支払われる保険金の上限は50万円なので、この上限にかかって50万円の保険金が支払われます。対物賠償の40万円も加えて、合計で90万円の保険金が支払われることになります。

過失割合
自分80%:相手20%
相手の車の修理費用:150万円
時価額50万円時価額を超過する100万円
特約なし40万円
(50万円×80%)
補償なし
特約あり
(上限50万円)
40万円
(50万円×80%)
50万円
(100万円×80%=80万円
→上限により50万円)

人身傷害も支払われるべき金額だけ

対人賠償や対物賠償だけでなく、人身傷害保険も保険金額で無制限を選択できることがあります。人身傷害保険は自動車事故による自身や同乗者のケガの治療費などの損害額を過失相殺による減額なしに補償を受けられるものですが、対人賠償や対物賠償と同じように、損害額は好き勝手に請求してよいわけではなく、総損害額の認定は約款に基づき保険会社が行います。どのような計算がされるのか記載されているので一度約款を確認してみるとよいでしょう。

ケガにより入院・通院した場合

「治療費などの実費」+「休業損害(働けない間の収入)」+「精神的損害」など

後遺障害が生じた場合

「治療費などの実費」+「逸失利益(労働能力の喪失により失った将来の収入)」+「精神的損害」+「将来の介護料」など

死亡した場合

「治療費などの実費」+「逸失利益(死亡したことにより失った将来の収入)」+「精神的損害」+「葬儀費用」など

無制限である必要はある?

自動車保険の対人賠償・対物賠償の保険金額は無制限にすることが一般的です。また、人身傷害についても無制限を選択する方もいます。これらの補償の保険金額を無制限にする必要はあるのでしょうか?

対人賠償

交通事故で相手を死亡させてしまったり重度の後遺障害を負わせてしまったりした場合、過去の裁判例では2億円を超える賠償を命じられていることもあります。そもそもとして、対人賠償は無制限以外選択できないようになっていることが多いですが、無制限ではなく2億円や1億円などで設定した場合、多額の自己負担が必要となる可能性があります。そのため、対人賠償の保険金額は無制限にしておくべきでしょう。

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対物賠償

相手の車の修理費用やガードレールなどでは数億もの賠償は発生しないだろうと考えるかもしれませんが、高額な商品を運んでいる途中の車と事故に遭った場合や店舗に飛び込んだ場合、電車を止めてしまった場合などで高額な賠償が予想されます。対物賠償は修理費用だけでなく、営業できない期間の逸失利益なども含まれることに注意してください。過去には2億円を超える賠償を命じられた事例もあり、また、保険料の差も大きくないことから、万が一に備えて対物賠償の保険金額も無制限にしておくのがよいでしょう。

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人身傷害

人身傷害に関しては対人賠償や対物賠償と異なり、皆が無制限にすべきということはありません。対人賠償や対物賠償のように大きな賠償責任を負うわけではなく、また、生命保険や医療保険など他の保険で備えられている部分もあります。また、車に乗る人が養う家族がない年金生活者のみというような場合では支払われる保険金を考えると無制限とする必要性も薄いです。

人身傷害保険の保険金額を無制限としている人は実際のところどれくらいいるのでしょうか?損害保険料率算出機構「自動車保険の概況 2022年度(2021年度統計)」より保険金額の構成比を紹介します。

人身傷害保険の保険金額の構成比
3000万円まで3000万円超
5000万円まで
5000万円超無制限
自家用普通乗用車39.9%38.3%10.5%11.3%
自家用小型乗用車45.6%36.9%8.8%8.8%
軽四輪乗用車50.6%35.2%6.5%7.7%

※四捨五入の関係で自家用普通小型車の合計が100%となっていません。

出典:損害保険料率算出機構「自動車保険の概況 2022年度(2021年度統計)」

上表より、人身傷害保険の保険金額を無制限としているのは10%に満たない程度です。多くの人が5000万円までの金額で契約しているようです。

人身傷害保険は無制限にする必要はある?
自動車保険の人身傷害保険において保険金額(保険金が支払われる上限額)を無制限にできる保険会社もあります。対人賠償や対物賠償は無制限にすることが普通ですが、人身傷害保険も無制限に設定する必要はあるのでし ...

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まとめ

自動車保険で保険金額が無制限であっても請求があっただけ際限なく支払われるわけではありません。保険金の支払われる条件を満たさないものに対しては当然ながら保険金が支払われないことになります。トラブルになりやすいものとして、車対車の事故での相手の車の修理費用があります。法的な賠償責任が生じるのは相手の車の時価額までなので対物賠償もそこまでしか支払われませんが、修理費用が車の時価額を上回る場合もあります。スムーズな事故解決のために対物超過修理費用特約を検討するなど「無制限」の意味を理解して補償の必要性を判断できるようになりましょう。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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