中学生となると周りの子供も塾に通いだす人が増えてきます。そのような状況を見聞きして自分の子供も塾に行かせるべきか悩んでいる方もいるのではないでしょうか?塾に行けば必ず成績が上がるのであれば悩みは少ないのかもしれませんが、現実としてはそうではありませんし、塾の費用だけは確実にかかります。
塾に通う場合のメリットと注意点を整理して、中学生で塾に通う必要があるのか考えてみましょう。
どれくらいの人が塾に通っている?
文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」によると、学習塾費として年間1円以上支出している割合は公立中学で70.4%、私立中学で53.9%です。なお、支出額の平均は公立中学で年間35万6千円、私立中学で年間32万6千円となっています。
学年別にみると以下の表のとおりです。学年が上がるにつれて通塾率は上がっていきますが、中1の時点でも過半数が通塾させていることが分かります。
学年 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
中1 | 57.8% | 51.6% |
中2 | 69.2% | 53.4% |
中3 | 84.0% | 56.7% |
出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」
塾に通うメリット
学習習慣を身に着けることができる
中学生になると小学生のときよりも勉強する範囲が広がり内容も難しくなります。それに加えて部活も本格的に始まり、勉強する時間も体力も部活に取られてしまいます。
一部の子供を除き、学校の授業を聞くだけで内容を理解してテストで高得点を取るのは容易ではありません。内容の理解・定着のために学校外での学習が大切となります。家庭で自主的に勉強できるのであればよいですが、そうではない子供も多いです。
塾に行けば学校以外で勉強する機会を作ることができます。また、塾でも宿題が出る場合が多く、それをこなすことで家庭学習の習慣をつけることもできます。
データをもとに高校受験対策ができる
塾では長年高校受験に向けた指導を行っていて、入試問題の傾向や合格に必要な学力水準も把握しています。学校でもある程度の経験やデータは持っていますが、「学校」という場であるがゆえに、個々人の志望校に特化した受験対策を行うことは難しいです。塾は各家庭の意思で自分のお金を出して通う場なので、志望校別に入試問題の傾向に沿った受験対策を行うことができます。
理解が足りていない分野の穴埋めができる
これは集団塾よりも個別指導塾の得意分野なのですが、学校の授業だけでは分からなかった部分を塾で改めて教えてもらうことで理解の穴埋めをすることができます。
学校で疑問点を解消できればよいのですが、授業中に長時間質問するわけにはいかないので、放課後などに時間を取って質問にいく必要があります。しかし、放課後は部活動にすぐに行く必要があったり、先生側も授業以外でやることはたくさんあるのでいつでも質問の時間が取れるとは限りません。
塾、特に個別指導塾では、講師に1対1で教えてもらう時間を取りやすいので理解できていない内容をじっくりと教えてもらいやすいです。
中学生で塾に通う注意点
塾に通うのはもちろんメリットだけではなく、いくつかの注意点もあります。どのようなことに注意が必要か紹介します。
必ず成績が上がるわけではない
塾に行ったからといって必ず成績が上がるわけではありません。例えば、塾の授業の内容を理解できず、ただ座っているだけになってしまっている場合、時間とお金を浪費するだけで学力は上がらないでしょう。また、本人にやる気がなく、授業を真剣に聞いていない場合も同様です。
成績を上げるには結局は本人の頑張りが必要です。子供の理解力に合っているか、きちんと勉強できる環境かということは事前に調査する必要があるでしょう。また、過度に干渉するのもよくありませんが、通い始めた後もきちんと勉強している様子はあるのかは観察する必要があります。
学校の教え方と違って混乱する場合がある
1つの問題につき解き方は1つとは限りません。特に数学で多いのですが、問題集の答えなどで別解として複数の方法で答えを出しているのを見たことがあるのではないでしょうか(数学だけでなく別の教科でも起こりえます)。
最終的な答えは同じだとしても学校と塾で教える問題の解き方が異なる場合があります。十分に理解できているのであれば「この方法でも解けるんだな」と流せますが、あまり理解できていないと別の方法を教えられることによって混乱してしまう場合があります。
内申点のことや自分が教えた方法を絶対視する教師がいる確率を考えると、学校の教え方がよほど理解しづらいのではない限りは学校のやり方に合わせて、塾には必要に応じて事情を話しておくのが無難ではないかと思います。
自由に使える時間が減る
塾に通うことになると塾の行きかえりの時間、塾で授業を受ける時間、塾で出された宿題をやる時間、と塾のために多くの時間がとられます。また、特に集団塾では曜日や時間が基本的に固定なので、他の予定のために塾の時間をずらすということができないです。
自由に使える時間が減るとストレスを感じることになるでしょう。そのことによって心身の健康を崩したり、反発を起こしたりしないか注意が必要です。また、「自由に使える時間」というとどうしても遊ぶ時間を考えてしまいがちですが、自由に勉強できる時間も減ってしまうことになります。特に大量に宿題を出すタイプの塾の場合、家庭学習もただ宿題をこなすだけになってしまう恐れがあります。基礎として必要な暗記の時間が減ってしまったり、自分で考えて問題を解く時間が減ってしまったりして、逆に成績が落ちてしまう場合もあります。
塾に通わない場合の注意点
通塾しないで自分で勉強する場合、以下のことに注意する必要があります。
勉強時間を確保する
塾に通わない代わりに自分で勉強するのであれば成績が上がる可能性がありますが、塾に行かない時間で遊んでいては成績は上がっていかないでしょう。この時間は勉強をするなどあらかじめ決めて勉強時間を確保するようにしましょう。また、時間だけ決めてだらだらとやっても効果は薄いので、学習量や成績についても目標を定めるとよいでしょう。
分からないところは積極的に質問する
これは塾に通っている場合も大切なのですが、塾に通わない場合は特に大切です。先生に質問しづらければ友だちでも親でもよいのですが、自分で考えて分からないところは積極的に質問するようにしましょう。分からない問題を眺めていても解けるようにはなりません。塾講師に教えてもらうという選択肢が減る分、積極的に質問をしにいく必要があります。
勉強できる環境を整える
自宅にいるとゲームやスマホ、漫画、テレビなど誘惑となるものがたくさんあります。そうしたものは勉強する場所からは目に入らないようにしましょう。自分の部屋だと自分の好きなものをそろえていると思うので、勉強はあえて別の部屋で行うというのもよいでしょう。また、親の方でもテレビを見ながら大声で笑うなど子供の気を散らさないように注意しましょう。
中学生で塾に通う必要はある?
塾は成績を上げるための1つの手段に過ぎないので、必ずしも塾に通う必要はありません。学校の授業や宿題、その他の家庭学習で十分な学力を身に着けることができれば塾に行く必要はないのです。
しかし、それが難しい人が多いのも事実です。すでに授業についていけていない、勉強の習慣が身についていないという場合はできるだけ早くに塾を検討した方がよいと思います。中学で習う内容は積み重ねなので、1つの単元が理解できていないとそれ以降の単元でも理解できないことが増えていきます。
また、学校の授業を十分に理解してテストでも高得点を取れている場合であっても、高校受験で難関校を目指すのであれば通塾を検討してみましょう。塾は受験に関する情報を多く持っているので、志望校合格に向けて個別の対策を行うことができます。公立高校で入試問題が共通でも、同じレベルの高校を目指す人と切磋琢磨できる環境や模試で自分のレベルを測りやすいというのは利点です。
ただし、漫然と塾に行っているだけでは効果が薄いのも確かです。特に、子供が納得していない状態で無理やり通わせても成績は上がりません。子供とよく話し合い、塾の体験授業などを活用したうえで塾に通わせるかどうか決めるようにしましょう。
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