世の中には数多くの塾がありますが、授業の仕方から大きく「集団指導塾」と「個別指導塾」に分けることができます。集団と個別とでそれぞれにメリットとデメリットがあり、子供の性格や学習理解度などによって向き不向きが分かれています。
集団指導塾と個別指導塾の違いやそれぞれに向いているのはどのような場合かについて紹介します。
集団指導塾と個別指導塾の違いは?
集団指導塾は学校の授業のように多数の生徒が同じ教室に集まって同じ授業を受ける形式です。一方で個別指導塾は生徒1~3人程度に対して塾講師1人が担当し、一人ひとりに対して個別に授業を行います。
この授業形態の違いから料金やカリキュラムなどに違いが生じます。違いを表にまとめると以下の通りになります。
集団指導塾 | 個別指導塾 | |
---|---|---|
塾講師:生徒 | 1人:多数 | 1人:1~3人程度 |
料金 | 比較的安い | 比較的高い |
カリキュラム | 基本的に塾指定のもの | 基本的にオーダーメイド |
授業の日程 | 基本的に固定の曜日や時間 | 決められた範囲内で比較的自由 |
集団指導塾は1人が多数に教えるため、料金は比較的安く抑えられますが、個人個人合わせたカリキュラムや日程を組むことは難しいです。個別指導塾は講師1人に対して生徒が1~3人ほどなので料金が比較的高くなりますが、カリキュラムや日程は個人に合わせて組みやすくなっています。
集団指導塾と個別指導塾のメリット・デメリット
集団指導塾のメリット
同じレベルや目標の生徒と切磋琢磨しやすい
集団指導塾は同じ教室に多数の生徒が集まって授業を行うので、個別指導塾と比べて生徒間で切磋琢磨しやすいです。塾の生徒数や学年、塾の方針などにもよりますが、習熟度や志望校のレベルに応じてクラス分けを行うことも多いので、ライバルも見つけやすいです。
講師やカリキュラムが洗練されている
生徒を多く集めても講師の増員は比較的緩やかで済むので講師に対してもお金をかけやすいです。そのため、研修が行き届いていたりプロの講師である確率が高くなります。
また、カリキュラムについても事前に研究されたテキストを計画に沿って進めるので洗練されたものになりやすいです。
もちろん、塾や校舎によって異なる部分なので、事前に資料請求を行ったり体験授業を受けたりして情報収集することが大切です。
個別指導塾と比べて安価な傾向
子供のためとはいえ、親の財布から出すものなのでやはり料金は気になるところだと思います。集団指導塾と個別指導塾を比べると、個別指導塾の方が講師の数を確保する必要があるのでその分人件費がかかり、月謝は集団指導塾の方が安い傾向にあります。
とはいえ、夏期講習や冬期講習などの講習を多く入れると結局は個別指導塾とそれほど変わらない金額になることもあります。
集団指導塾のデメリット
苦手分野への個別対応がしづらい
集団指導塾は1人の講師が多数の生徒に対して授業を行うため、苦手分野への個別の対応を行いづらいです。理解が不十分のまま次の単元に進んでしまうと授業についていきづらくなります。
講師に分からないところを質問しやすい環境か、苦手を克服できる態勢は整っているのか事前に確認することが大切です。
競争がプレッシャーとなることがある
メリットのところに生徒間で切磋琢磨しやすいということを書きましたが、それが逆にプレッシャーとなることもあります。プレッシャーから体調を崩したり勉強を嫌いになってしまったりしては元も子もありません。クラス分けのテストで下のクラスに下がった、上のクラスに上がれなかったといったことからやる気を失うこともあり得ます。子供の性格と塾の環境や方針が合うのか事前の確認が大切です。
塾に合わせたスケジュールになる
集団指導塾では決められた曜日・時間に決められた授業が行われるので、学校行事や部活動などで忙しい時期でもその時間は塾のために開ける必要があります。
また、学校の授業よりも先取りして学習を進めるタイプの塾の場合、学期の途中など区切りの悪いタイミングで入塾すると内容が分からないまま授業だけ進む可能性があり、その穴埋めのためにしばらくは追加で塾のための時間を取る必要があります。
個別指導塾のメリット
自分に合ったカリキュラムを組める
個別指導塾では基本的に授業は1対1で行われるので、自分の理解度や目的に合わせて学習内容をある程度柔軟に決めることができます。苦手科目を時間をかけてじっくりと教えてほしい、勉強の習慣を身に着けたいというような希望は個別指導塾の方がかなえやすいです。もちろん、得意科目で発展的な内容を教えてほしいということも可能です。
講師に質問しやすい
個別指導塾では生徒と講師が1対1の時間が生まれるので、分からない部分を講師に質問しやすいです。集団の中で質問するのは恥ずかしい、授業前後で質問の列に並ぶのは気後れするというような性格の場合は個別指導塾の方が疑問の解消をしやすいでしょう。
スケジュールを柔軟に組みやすい
個別指導塾では集団指導塾よりもスケジュールを柔軟に組みやすいです。もちろん、塾の開校日や塾に通う日数は決まっていますが、その中であれば比較的柔軟にスケジュールを組むことができます。学校活動や部活動などで集団指導塾のスケジュールに合わせるのは難しいという場合でも個別指導塾であれば通いやすいです。
個別指導塾のデメリット
他の生徒からの刺激が少ない
個別指導塾では1対1~1対3ぐらいでの授業となるので、他の生徒からの刺激は集団塾と比べるとどうしても少なくなります。自分で高めていけるタイプであれば問題ないかもしれませんが、友人とテストの点数を競争するような形の方が勉強に意欲がわくタイプの子供もいます。
また、自分が他の人と比べて内容を理解している方なのか、理解が足りていないのかが実感しづらくなります。模試などで自分の立ち位置を把握できる機会を持てるようにすることが大切でしょう。
料金が高め
個別指導塾では講師1人の稼働時間で教えられる人数がどうしても少なくなるため、料金は集団指導塾と比べて高めになってしまいます。事前に入会金や月謝にどれくらいかかるのか、他に教材代などかかる費用はないかなどをよく確認しておくようにしましょう。
講師との間になれ合いが生まれる場合がある
個別指導塾では講師と生徒が1対1で授業する時間が多く発生するため、講師との距離が近くなりやすいです。勉強に苦手意識を持っている場合はこれがプラスに働く面もありますが、行き過ぎてなれ合いのような関係になると十分な学習ができなくなる場合もあります。勉強の進捗度合いについては親の方でも気にかけるようにしましょう。
集団指導塾と個別指導塾、どちらに向いている?
集団指導塾に向いている人
- 学校の勉強は平均以上でさらにレベルを上げたい
- 難関校を目指している
- 自分から予習・復習ができる
- 競争心がある
集団指導塾は決められたカリキュラムに沿ってどんどん授業が進んでいくため、日々の学習習慣がついていないと塾の勉強についていけなくなる可能性が高いです。また、成績や志望校のレベルが近い子供同士で同じクラスとなるので、他の子と競争しながら学習していけるタイプの子供に向いていると言えます。
個別指導塾に向いている人
- 苦手科目を克服したい
- 学習習慣を身に着けたい
- 塾以外でもスケジュールが詰まっている
- 質問にしり込みしてしまう
個別指導塾はカリキュラムを柔軟に組みやすく、講師とマンツーマンの時間を取りやすいため、苦手科目をじっくりと教えてもらって克服したいという場合やそもそも学習習慣を身に着けるところからスタートなどの集団指導塾ではついていけそうにない場合に向いています。また、スケジュールもある程度融通が利くので、塾以外でも予定がたくさん入っているという場合にも向いています。
集団と個別の併用はあり?
集団と個別で得意なことが違うので、かかる費用に目をつぶれるのであれば併用はありでしょう。例えば、集団指導塾で各教科の全体的なレベルアップを図り、苦手科目・分野は個別指導塾でじっくりと教えてもらって穴埋めをするという形です。
費用面以外で併用する場合の注意点としては以下のことが考えられます。
- 教え方の違いで混乱が生じる
- それぞれの教材で十分な時間を使えず、中途半端になる
- 通塾の負担やストレスが増える
併用する場合は融通の利きやすい個別の方で集団のフォローをする形ができないかあらかじめ相談しておくのがよいかと思います。また、欲張って両方の塾で多くの授業を取らないようにして自分で予習・復習をする時間を十分にとれるようにすることが大切でしょう。
まとめ
集団指導塾は1対多数、個別指導塾は1対少数で教えるという形態の違いから、それぞれによい点、悪い点があります。どちらが向いているかは性格や学力、目的などで異なります。何を目指して塾に行くのか、性格や学力から考えてついていけるのかということは事前に考えておきましょう。まずは資料請求や体験授業などで情報を集めてみるのもよいでしょう。
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