軽貨物車で運送事業を行うにあたって、自賠責保険への加入はもちろん必須ですが、運送に関して発生しうる損害賠償に対して十分な支払い能力を有する必要があり、任意保険についても加入が強く推奨されます。加入していないと登録・契約できない企業もあります。黒ナンバーの任意保険の特徴や他に加入が必要となる保険はないかなどについて解説します。

黒ナンバー（軽貨物）に任意保険は必要？

自動車保険は加入が法律で義務付けられている自賠責保険と任意加入である任意保険があります。任意保険は「任意」加入の保険ですが、以下のような理由から加入することが強く推奨されます。

黒ナンバーの取得には損害賠償への支払い能力が求められる

黒ナンバーを新規取得する際に必要となる貨物軽自動車運送事業の経営届出において、その受理に関する公示基準の中に損害賠償能力が含まれています。運輸支局に提出する貨物軽自動車運送事業経営届出書の中の宣誓書の欄の中にも、「貨物の運送に関し支払うことのある損害賠償の支払い能力を有することを宣誓します。」の項目があり、これにチェックを入れる必要があります。

自賠責保険では補償が不十分

加入が必須の自賠責保険でも事故時の補償はありますが、自賠責保険で受けられる補償は対人賠償のみであり、補償される金額の上限も死亡時3000万円などと制限されています。

相手の車など物を壊してしまったときの対物賠償や自分のケガに対する補償である人身傷害、自分の車両に対する補償である車両保険などの補償を受けるには任意保険に加入する必要があります。対人賠償についても事故相手を死亡させてしまったり、重い後遺障害を負わせてしまったりした場合は1億円を超える賠償責任を負う可能性があり、自賠責保険の補償のみでは不足します。

車を運送業に使う場合、自家用車に比べて走行距離や車の使用頻度が多くなる傾向にあり、事故のリスクはその分高くなります。そのため、任意保険にも加入して事故に備えておくことが大切です。

任意保険に加入していないと登録・契約できない場合が多い

Amazon FlexやPickGo、ハコベルなどに登録する場合、任意保険への加入が求められます（例：Amazon Flex）。また、こうしたサービスを使わない場合でも、任意保険に加入していないと契約できない委託元が多いです。
運送の仕事を行えなければ収入を得ることができないので、黒ナンバーにおいても任意保険に加入することはほぼ必須といえるでしょう。

黒ナンバーの任意保険はどこで入れる？

黒ナンバー向けの任意保険は一部の保険会社しか取り扱っていません。ネットで申し込めるダイレクト型の自動車保険での取り扱いはなく、代理店を通して契約する代理店型自動車保険に限られます。車を購入したディーラーやお近くの保険代理店などで相談してみるとよいでしょう。

当サイトでは黒ナンバーの任意保険を取り扱う保険会社・代理店に見積もりの依頼ができるサービスを運用しています。受託した貨物に損害が発生した際の賠償責任に対する補償についても相談可能です。ぜひご利用ください。

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黒ナンバーの任意保険の特徴

黒ナンバーの任意保険は自家用の任意保険と異なる部分があります。どのような違いがあるのか紹介します。

事業者向けの特約が用意されている場合もある

事業者が契約することも想定された自動車保険であるため、運送中の貨物に損傷が発生して荷主に対する損害賠償責任を負った場合の補償など、事業者向けの特約が用意されている保険会社もあります。自家用乗用車で広く加入されている自動車保険とは商品が分かれていて、補償内容をカスタマイズできる幅が広いことが多いので、必要な補償は何か吟味してみるとよいでしょう。

年齢条件を設定できない

自家用の自動車保険では「26歳以上補償」、「30歳以上補償」などのように補償される運転者の年齢を制限して保険料を安くできる特約があります。しかし、一般に黒ナンバーでは運転者年齢条件を設定することができません。

黒ナンバーの任意保険料は高い？

黒ナンバーの任意保険は自家用乗用車で契約する場合に比べて基本的に保険料は高くなります。その理由としては、事業で使うために使用頻度や走行距離が多くなり、事故のリスクが高いことが挙げられます。
その他の理由として、年齢条件などで運転者を限定して保険料を安くすることができないこと、保険料が安めのダイレクト型の保険会社では取り扱っていないことも挙げられます。

補償内容を薄くすれば保険料を抑えることができますが、必要な補償まで削ってしまって事故時に役に立たなくては保険に加入する意味がありません。どのような補償が必要か、削れる補償内容はないか代理店等と相談しながら決めるとよいでしょう。

任意保険以外で必要な保険は？

任意保険以外に貨物保険も必要となることが多いです。受託した貨物の輸送中に生じた損害による荷主への損害賠償責任を補償する保険です。交通事故を起こしてしまった場合、事故相手や自分の車だけでなく、積んでいた貨物にも損害が発生する可能性があります。軽量でも高価な貨物はありますし、1個1個は安価でも大量に壊れてしまったら賠償額が大きくなる恐れがあります。

所属する会社が包括して加入している場合もありますが、そうでない場合は個別に契約を行う必要があります。Amazon FlexやPickGoなどのサービスを使う場合においても対応が分かれています。包括契約でない場合は貨物保険についても加入を検討しましょう。

まとめ

黒ナンバーを取得し、運送事業を行うにあたっては自賠責保険だけでなく任意保険にも加入することが強く推奨されます。任意保険に加入していないと業務を受託できないようなケースも多くあります。黒ナンバーの自動車保険は一部の代理店型の保険会社で取り扱っています。近くの保険代理店などで相談してみるとよいでしょう。当サイトからでも黒ナンバーの自動車保険の見積もりを保険会社・代理店に依頼することができますので、ぜひご活用ください。