法人の場合、社用車にかける自動車保険は「フリート契約」もしくは「ノンフリート契約」のどちらかとなっています。今回は、フリート契約の概要やノンフリート契約との違い、契約するメリット・デメリットなどを説明していきます。
目次
フリート契約とは
フリート契約は、自動車保険の契約形態の一種です。フリート契約をとても簡単にいうと、「車を10台以上持っているときの契約」です。厳密にいうと、「所有・使用する自動車」のうち、1年以上の自動車保険を契約している自動車の合計台数が10台以上であるということです。逆に、9台以下の場合はノンフリート契約と呼ばれます。
一般的な家庭で車を9台以上所有しているケースはなかなかないため、基本的にフリート契約は法人向けの契約方法となります。
「所有・使用する自動車」とは
契約者(法人)が所有し、かつ自ら使用している自動車のことです。自動車検査証などの「所有者欄」「使用者欄」が契約者(法人)名義となっている自動車を指します。
フリート契約の特徴
フリート契約の一番の特徴として「車自体ではなく、所有者(法人)または使用者(経営者)と契約する」という点が挙げられます。
自動車保険と聞くと、対象とする車を選び「自動車一台単位」で契約をすることが一般的なイメージではないでしょうか。例えば、家庭で車を2台所有していても、それぞれの車に自動車保険を契約しているかと思います。ノンフリート契約は、そのような「自動車単位」という馴染みのある契約方法であることに対しフリート契約は「保険契約者(法人または経営者)単位」の契約となります。
フリート契約のメリット
1.割引率が高い
フリート契約の最大のメリットは、ノンフリート契約よりも割引率が高いという点です。ノンフリート契約の最大割引率は63%ですが、フリート契約では最大で大体70%~80%の割引率が適用されます。この割引率は増車した場合などで新規に契約した自動車にも適用されるので安心です。
2.契約の手間を削減
上記で述べた通り、ノンフリート契約の場合は「自動車単位」の契約となるため、新たに自動車を取得(増車)をしたり廃車(減車)する場合、都度自動車保険の契約や解約をする必要があります。ですが、フリート契約は「保険契約者(法人または経営者)単位」となるため、一度契約をすれば、増車や減車をしても自動的に補償をスタートすることができるのです。契約時に定めた条件を新たな車に引き継ぐことが可能であるため、余計な手続きの手間を省けます。
保険証券も一枚なので、書類の管理も楽です。
3.年齢条件に影響されない
ノンフリート契約の場合、記名被保険者の年齢条件によって保険料が異なります。一般的には、年齢が高くなるにつれて保険料が安くなる仕組みとなっています。ですが、フリート契約には年齢条件は設けられていないため、年齢に関係なく保険料が適用されます。年数が浅いベンチャー企業や若い経営者であっても保険料に影響がでてこないため安心です。
フリート契約のデメリット
1.事故により保険料が上がる恐れ
フリート契約の場合、事故の件数ではなく保険金の支払い実績(過去の事故で保険金をいくら支払ったか)によって割引率が変動する仕組みとなっています。つまり、保険事故を起こしたかどうかで、翌年の保険料が大幅に変わるということです。よって、大きな事故で多大な保険金を支払われた場合、翌年の保険料が大幅にあがってしまう可能性があります。
2.ノンフリート契約に戻ることも
自動車の台数が9台となった場合、ノンフリート契約に戻さなければなりません。9台以下になったとき早急に手続きを行なう必要はないものの、保険期間の満期までなどの一定の猶予期間が設けられるため、できるだけ早く対応する必要があります。ただし、契約期間中に保有台数が再び10台へ戻った場合、フリート契約を継続することは可能となっています。
ノンフリート契約との違いは?
上記の説明でフリート契約とノンフリート契約の違いがいくつか出てきましたが、まとめると以下になります。
フリート契約 | ノンフリート契約 | |
---|---|---|
保有台数 | 10台以上 | 9台以下 |
契約対象 | 契約者(法人、経営者)単位 | 自動車1台単位 |
保険料 | 契約台数、支払われた保険金、 前年の割引率などにより変動 |
前契約の契約期間、等級、 年齢条件、事故件数などにより変動 |
年齢条件 | なし | 最大35歳まで段階的に年齢条件あり |
保険証券 | 1枚 | 各自動車ごと、台数分 |
ミニフリート契約とは?
自動車保険のノンフリート契約とフリート契約以外に、もうひとつ「ミニフリート契約」と呼ばれるものがあります。ミニフリート契約とは、9台以下のノンフリート契約において1保険証券で複数台まとめて契約することです。契約の中身はノンフリート契約と同じですが、まとめて契約する台数が増えるほど割引率が上がります。
「セカンドカー割引」との違い
セカンドカー割引は、1台目の車が11等級以上で2台目以降の車を新たに契約する場合で一定の条件を満たすときに、新規契約だと通常6等級からのところ7等級から開始できる制度です。2台目以降の車は今回初めて自動車保険を契約する車であることが条件になるため、既に所有する車がそれぞれ他の自動車保険に加入しており、1つの保険会社にまとめるといった時には適用されません。
まとめ
今回はフリート契約の概要と、メリット・デメリット、ノンフリート契約との違いなどを解説しました。大きな割引率や、1つの保険により一括で複数の車を管理できるという手間のかかりにくさは、フリート契約の持つ大きな利点です。
しかし、大きな事故を起こすと保険料が一気に上がるといったリスクもあるため、必要な車の台数が10台前後という場合はノンフリート契約・ミニフリート契約とどちらが得なのかという点も検討材料に入れるとよいでしょう。自動車保険の加入を検討する際は、様々な自動車保険の会社を取り扱う様々な保険会社を一括で比較できる一括見積もり比較サービスを利用し、効率的に比較検討することをおすすめします。