所有・使用する自動車のうち、契約期間が1年以上の自動車保険を契約している自動車の合計台数が10台以上であれば、自動車保険の契約はフリート契約となります。10台未満のノンフリート契約では等級によって保険料の割増引率が決まっていましたが、フリート契約では割増引率の決まり方が異なります。保険料を安くするためにも、フリート契約でどのように割増引率が決まるのか仕組みを知っておきましょう。
フリート契約とノンフリート契約の違い
フリート契約とノンフリート契約では保険料の割増引率の適用範囲や決定方法が異なります。以下に表でまとめましたので違いを理解しておきましょう。
フリート契約 | ノンフリート契約 | |
---|---|---|
割増引率の適用単位 | 契約者単位 | 自動車1台単位 |
割増引率の決定方法 | ・総契約台数 ・保険料に対する保険金の割合(損害率) ・前年のフリート割増引率 |
・前契約の契約期間 ・ノンフリート等級 ・事故有係数適用期間 ・事故件数、事故内容 |
次の段落から詳しく説明しますが、フリート契約はノンフリート契約のような等級制度ではなく、総契約台数や損害率によって割増引率が決まります。また、契約者単位で適用されるので1台の事故が全体に影響します。
フリート契約の割増引率を決める3つの要素
上で紹介したように、フリート契約の割増引率は総契約台数、損害率、前年のフリート割増引率の3つの要素で決まります。それぞれの要素について説明します。
総契約台数
契約期間が1年以上の自動車保険を契約している自動車の合計台数です。総契約台数によって最大割引率や割引の進行幅が異なります。総契約台数が多いほど有利な割引となります。
損害率
損害率とは、契約者が支払った保険料(既経過修正保険料)に対する、保険会社が支払った保険金の割合のことです。損害率が低いほど高い割引率が適用されます。

例えば、支払われた保険金が100万円で支払った保険料が500万円の場合、損害率は100万÷500万×100で20%となります。なお、保険料は以下で紹介する成績計算期間に対応する保険料を、フリート割引・割増等を適用する前の金額に修正します。
契約期間と成績計算期間のズレ
次年度の契約が始まる前に割増引率が決まっている必要があるので、契約期間と損害率の計算等の対象となる期間(成績計算期間)にはズレがあります。そのため、契約期間の後半の事故については損害率の計算に使われるのが1年ずれることになります。保険を使ったのに割引率が高くなったというケースではこの期間のズレが影響している可能性があります。
前年のフリート割増引率
次年度の割増引率は前年の割増引率をもとに決められます。前年がノンフリート契約でフリート割増引率が存在しない場合は平均の無事故率が使われます。
割引率を高くするには事故を減らすことが大切
割増引率を決める要素として総契約台数、損害率、前年のフリート割増引率の3つを紹介しましたが、このうち割引率を高めるために各企業ができることとしては損害率を低くすることでしょう。必要もないのに車を何台も調達するわけにはいきませんし、前年のフリート割増引率はすでに決まってしまっています。
損害率の計算式より、支払われる保険金が高くなるほど損害率も高くなることがわかります。支払われる保険金を少なくするには大きな事故を起こさないこと、事故の件数を減らすことが大切です。事故を起こさないよう安全運転に努めることは企業イメージの向上にもつながります。保険料だけでなく会社の信頼感のためにも安全運転対策を進めましょう。
1人1人の意識が重要
ノンフリート契約では割増引率が適用されるのは自動車1台単位ですが、フリート契約では契約者単位で割増引率が適用されます。そのため、1台の車が大きな事故を起こしたら全体の保険料に影響してしまいます。特定の個人だけが安全運転に気を付けていても他の人が事故を起こしていたら割引率もなかなか高くなっていきません。車を運転する1人1人に安全運転を意識させることが重要となります。
法人向けの自動車保険では事故防止のためにセミナーや事故分析などのサービスも提供されていることがあります。そうしたサービスに多少の費用がかかったとしても、その後の事故率の違いから保険料の割引率に大きな違いが出てくることも考えられます。保険料や細かいサービスについては保険会社によって異なりますので、まずは見積もりを取って比較することから始めてみましょう。