自転車の危険運転も罰則が強化されています!

投稿日:2020年7月8日 更新日:

令和2年6月30日に施行された改正道路交通法では、社会問題となっている自動車の「あおり運転」に対する罰則が強化され、「妨害運転罪」が創設されています。今回の改正道路交通法では、自動車やバイクに対する罰則強化だけではなく、自転車の危険行為においても見直されています。自転車の危険運転の範囲が広くなり自転車の「妨害(あおり)運転」が追加され7月2日から処罰の対象となっています。自転車の危険運転の内容について紹介するので確認しておきましょう。

自転車の運転は、自転車利用が活性化する中で、自転車運転者の交通マナーについて問題となっていました。自転車を運転する人はこれまでの自分の交通マナーを見直し、罰則が強化された理由をよく考え交通ルールを守って安全に運転することを心がけましょう。

自転車の「危険行為」15項目

これまで、自転車を対象にした危険行為の規定は14項目でした。しかし、今回の改正道路交通法では、「妨害(あおり)運転」が追加され、15項目に増えています。これらの危険行為を14歳以上の運転者が3年以内に2回以上繰り返した場合には講習が命じられます。この講習命令に違反した場合は、罰金(5万円以下)の対象です。

(1)信号無視(道交法第7条)

進行方向の赤信号を無視し、交差点などを通過する行為

(2)通行禁止違反(道交法第8条第1項)

道路標識で自転車の通行が禁止されている道路や場所を自転車で通過する行為

(3)歩行者用道路における車両の通行義務違反(道交法第9条)

自転車の通行が認められている歩行者用道路を自転車で通行する際に、歩行者に注意せず、または徐行しないなどの行為

(4)通行区分違反(道交法第17条第1項、第4項又は第6項)

車道の右側通行や、右側に設置された路側帯を通行するなどの行為

(5)路側帯通行時の歩行者の通行妨害(道交法第17条の2第2項)

自転車が通行できる路側帯で、歩行者の通行を妨げるような速度と方法で通行する行為

(6)遮断踏切への立ち入り(道交法第33条第2項)

遮断機が閉じたり、閉じようとしている踏切や警報器が鳴っている時に踏み切りへ立ち入る行為

(7)交差点での優先道路通行車妨害等(道交法第36条)

信号のない交差点で、左から直進してくる車両や優先道路などを通行する車両などの通行を妨害するなどの行為

(8)交差点右折時の通行妨害等(道交法第37条)

交差点で右折する時に、直進または左折しようとする車両などの進行を妨害する行為

(9)環状交差点での安全進行義務違反等(道交法第37条の2)

環状交差点内を通行する車両などの進行を妨害したり、安全な速度で進行しないなどの行為

(10)指定場所一時停止等(道交法第43条)

一時停止の標識のある場所で、停止線の直前で一時停止せず進行する行為

(11)歩道通行時の通行方向違反(道交法第63条の4第2項)

車道よりを徐行しなかったり、歩行者の通行を妨害するなどの行為

(12)制動装置(ブレーキ)不良自転車の運転(道交法第63条の9第1項)

ブレーキ装置がなかったり、ブレーキの性能が不良な自転車で走行する行為。前輪・後輪のいずれかにしかブレーキの無い自転車で走行する行為も違反対象

(13)酒酔い運転(道交法第65条第1項)

酒に酔った状態で自転車を運転する行為

(14)安全運転義務違反(道交法第70条)

ハンドルやブレーキなどを確実に操作せず、他人に危害を及ぼすような速度や方法で運転する行為。傘さし運転や携帯電話・スマートフォンなどを操作しながらの運転で事故を起こした場合などは、安全運転義務違反の対象。

(15)妨害(あおり)運転(道交法第117条の2の2第11号、第117条の2第6号)

今回、新しく規定された自転車の妨害運転とは、自動車やバイクなど他車の走行を妨げる目的で行われる下記7つの妨害行為を妨害運転としています。また、自転車の走行は自転車安全利用5則で定められている自転車の運転のルールを守って走行しましょう。

自転車の妨害(あおり)運転
  1. 逆走して進路をふさぐ
  2. 幅寄せ
  3. 進路変更
  4. 不必要な急ブレーキ
  5. ベルを執拗に鳴らす
  6. 車間距離の不保持
  7. 追い越し違反
自転車の運転ルール(自転車安全利用5則)
  • 自転車は、車道が原則、歩道は例外
  • 車道は左側を通行
  • 歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
  • 安全ルールを守る(飲酒運転・二人乗り・並進の禁止、夜間はライトを点灯、交差点での信号遵守と一時停止・安全確認)
  • 子供はヘルメットを着用

今回の改正道路交通法で自転車の妨害運転が追加されています。自転車は、「クルマ」の仲間として原則、車道の左側を走行することになっており、自転車と自動車の車道上での危険やトラブルも問題となっていました。自転車と自動車では事故が起こった際に自動車の責任が大きくなります。これまでは、自転車の走行については、自転車運転者が無意識に道路上で迷惑な走行をしているというケースも多くありましたが、自転車の車道を走行する時のルールも細かく定められ、自転車を運転する時の意識改善につながっていくことが期待されます。もちろん、自転車と自動車間だけでなく、歩行者や自転車に対しても同じようにルールを守った配慮が必要です。道路は、お互いにゆずりあって走行することが求められます。

自転車にもドライブレコーダーは必要?

近年、交通事故の記録やあおり運転などの防止に自動車にドライブレコーダーを搭載して走行する人が増えてます。自動車のドライブレコーダーの普及率は自家用車を保有している人の45.9%と約半数にも及びます(国土交通省「自動車用の映像記録型ドライブレコーダー装置について」アンケート実施より)。

では、自転車に関して言うと、自転車へのドライブレコーダー搭載は、普及してるとは言えません。しかし、自転車にドライブレコーダーが搭載されていれば万が一自転車で事故を起こしてしまった時、自転車同士でぶつかった時、自転車と自動車やバイクとの接触事故の時に備えて状況の証拠を残しておくという意味ではドライブレコーダーの重要性は高いです。実際に、自転車に搭載する用のドライブレコーダーも販売されており、ロードバイクなどのスポーツ用の自転車にドライブレコーダーを搭載しているという人も増えてきているようです。

自転車は、ロードバイクなどの速く走れる自転車では、時速40㎞程度出る場合もあり、通常でも、平均速度は時速20~30㎞程度で走行します。一般の自転車では、平均で時速12~18㎞程度で走行していると言われています。そのようなスピードで転倒した場合には、大きなケガを負ってしまう可能性がありますし、歩行者や他車にぶつかった場合には相手の損害も大きくなってしまう心配があります。

幅広い層の人が気軽に乗れる自転車ですが、2輪で走行する自転車はバランスをとり続けなければ倒れてしまう不安定な乗り物である事に加えスピードも出ます。万が一、そのような自転車で事故を起こしてしまった時、事故に巻き込まれた時には、自分では事故前後の状況把握が難しいことも想定されます。道路上では、自分で気を付けていても突然の飛び出しによる接触など思わぬ事故のリスクがあります。自転車の事故による思わぬトラブルから身を守るためにもドライブレコーダーは正確な情報を記録してくれるので便利です。自転車にドライブレコーダーを搭載するというのは少し大げさなようにも思えますが、ドライブレコーダーに記録されているという事を意識すると、これまで以上に交通マナーを守った自転車の走行を心がけることができるかもしれません。日常的に自転車を利用する人は自転車用のドライブレコーダーの搭載を検討してみてはいかがでしょうか。

自転車の事故には自転車保険で備えよう

自転車はクルマの仲間として基本的に車道を走行しなければいけませんが、車道を通行するとなると、自動車やバス、トラックなどと同じ道路を走行することになります。交通ルールを守って走行していても自転車と自動車、バスやトラックが接触するような事故が起こってしまえば自転車の方が大きなケガを負ってしまうリスクは高いです。そのような場合に備えて自転車保険の加入があれば自転車事故による自分のケガに備えられます。

自転車保険の自分のケガへの補償は、一般的に死亡や後遺障害となった場合に保険金が受け取れるものが軸となりますが、入院や通院の補償など補償内容を手厚くすることも可能です。普段から自転車利用が多い人は万が一の自転車事故に備えて自転車保険の加入を検討しておくとよいでしょう。ただし、自転車でケガを負ってしまった場合には、健康保険で治療が受けられますし、入院が必要になった場合は、医療保険を利用するなど、他の保険で備えられている場合もあるため、どこまで備える必要があるか考えて選択しましょう。

また、自転車保険は、自転車事故によるケガで入院・通院費用・死亡した場合は死亡保険金などの傷害保険と自転車事故により相手に損害を与えてしまった場合の個人賠償責任保険がセットになったものが一般的です。自転車走行中に歩行者をひいてしまったというような事故が実際に起きており、高額な損害賠償金額となったケースも発生しています。そのような事故を受けて、全国で自転車を利用する人の自転車保険の加入義務化も進んでいます。自転車事故で他人にケガを負わせてしまったり、死亡させてしまったりした場合、多額の賠償責任が発生する可能性があります。自転車事故による相手への十分な補償に備えるためにも自転車に乗る人は個人賠償責任保険で備えておくことを考えましょう。一般的に、自転車保険は個人賠償責任保険がセットになっていますが、個人賠償責任保険は、自動車保険や火災保険の特約で既に加入している場合があります。個人賠償責任保険を重複契約していても、事故の際に保険金を多く受け取れるという事はないので注意しましょう。

まとめ

自転車での通勤人口の増加や趣味での自転車利用など自転車を利用する人は増えています。そのような状況の中で、自転車と歩行者、自転車と自転車、自転車と自動車の接触事故といった自転車が関係する事故も問題となっており、一層の交通ルールの徹底が必要となってきています。しかしながら、気軽に運転することができる自転車の走行に関する交通ルールは、子供から大人まで老若男女にしっかり浸透しているとは言えませんでした。新しく施行された改正道路交通法では、自転車に関する罰則も強化されています。自転車と自動車の交通事故では、自転車側が大きなケガをしてしまうリスクがあります。自分の身を守るためにも交通ルールを守った安全運転を心がけましょう。道路は、歩行者、自転車、バイク、自動車、トラック、バスなど多くの人と乗り物が利用しています。それぞれがお互いにルールを守りゆずり合って走行することが大切です。

しかし、交通ルールを守った走行をしていても思わぬ事故にあってしまうことがあります。そのようなリスクに備えてドライブレコーダーの搭載や自転車事故で自分がケガをしてしまった場合の補償、相手にケガをさせてしまった場合の補償はしっかり備えられているかという事を確認しましょう。備えがない場合は自転車保険の加入を検討してみましょう。

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