子供の自転車事故には自転車保険で備える

投稿日:2020年4月3日 更新日:

子供が自転車に乗れるようになると、自転車で遠くに行きたがりますよね。交通ルールや安全な乗車を心がけるように注意してもなかなか素直に聞いてくれないことも多いのではないでしょうか。小さな子供が自転車で走行中に歩行者を傷つけてしまったり、駐車していた車にぶつかって損害を与えてしまったりというような事故も実際に起きています。子供の自転車事故に備えるために子供が加害者や被害者になってしまうかもしれないリスクについて考えておきましょう。

子供の自転車事故の発生状況

最近、子供の自転車事故で高額な損害賠償金を負った事例も発生しています。自転車事故の年齢層を確認すると、16~19歳が最も多く、19歳以下(未成年)の事故件数は全体の40%弱を占めています。未成年の子供の自転車の運転において親が子供に交通ルールについてしっかり教育し指導することが大切と言えるでしょう。普段から自転車を運転する時の注意に加えて万が一事故を起こしてしまい他人にケガをさせてしまうリスクに備えておけるように家族で相談しておきましょう。

自転車運転者(第1当事者)の年齢別交通事故件数(平成29年)
年齢 事故件数 全体割合
6歳以下 100件 0.7% 37.7%
7~12歳 1,453件 9.5%
13~15歳 1,543件 10.1%
16~19歳 2,661件 17.4%
20~24歳 1,276件 8.4%
25~29歳 797件 5.2%
30~39歳 1,389件 9.1%
40~49歳 1,409件 9.2%
50~59歳 1,138件 7.4%
60~69歳 1,219件 8.0%
70~79歳 1,395件 9.1%
80歳以上 901件 5.9%

国土交通省_自転車活用推進本部『自転車事故の損害賠償に係る現状について』より

子供の自転車事故に備える

自転車は免許も必要なく小さな子供から乗る事ができます。親の目の行き届く範囲で自転車に乗っている程度であれば大きな事故のリスクは防げるかもしれませんが、子供が成長すれば行動範囲も広くなり事故のリスクも高くなります。そのため、子供の自転車事故に備えられる保険について考えておく必要があります。

自転車は道路交通法で「軽車両」に分類されており、本来は道路を走らなければいけません。しかし、13歳未満の子供や70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が普通自転車を運転している時は歩道を走行することが認められています。また、歩道に「普通自転車歩道通行可」の標識などがある場合も可能です。子供が自転車に乗るようになったら、しっかり交通ルールの教育を行い安全を心がけるよう指導しましょう。

子供が加害者になった場合に備える

13歳未満の子供が歩道で自転車に乗っていても車道を走行中であっても、歩行者とぶつかった、などにより歩行者を死傷させてしまい、法律上の損害賠償責任を負った場合は、「親の責任」について考えておく必要があります。

民法第714条で「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」と定められています。「責任無能力者」とは、これまでの裁判例などを参考にすると12歳前後と考えられています。また、子供の責任能力を問われる場合においては子供が相手への賠償の責任を負うことになりますが、未成年者が高額な賠償金を支払うのは難しいでしょう。親に法的な責任がないからといって、未成年の自分の子供が起こした自転車事故でケガを負わせてしまった相手に補償を行わないといったことは妥当ではありません。未成年者の自転車事故の件数は全体の40%弱と高く、自分の子供が起こした自転車事故で高額な賠償責任を負ってしまう事も他人事ではないかもしれません。そのため、自転車事故も補償対象となる保険の契約について確認しておきましょう。

学校のPTAで加入する総合保険に加入する

自転車は小さい子供から大人まで免許を必要とせず乗る事ができる乗り物ですが、自転車保険の加入を義務付ける自治体も増えてきています。子供が学校に通っている場合は、PTAが加入できる保険に少額な保険料で自転車事故に対応できる損賠責任補償が含まれるものもあります。子供の日常生活を支える補償内容となっているため確認してみるとよいでしょう。

個人賠償責任保険の加入がないか確認する

各自治体で自転車保険の加入の義務化が進んでいますが、その理由は、自転車事故で高額な賠償金の支払いが命じられる判例が増えてきているためです。子供から大人まで幅広い世代で利用されている乗り物ですから、小さい子供が大きな賠償責任を負う加害者となってしまう可能性もあります。そのようなリスクに備えるために「個人賠償責任保険」の加入について確認しておきましょう。

個人賠償責任保険は、「相手への補償」として家族が他人にケガをさせてしまったり、モノを壊してしまったりしたことにより法律上の損害賠償責任を負った場合に補償を受けられる保険です。個人賠償責任保険の契約があれば一つの契約で以下の範囲の家族を補償対象とすることができます。

  • 本人
  • 配偶者
  • 同居の親族
  • 同一生計の子

個人賠償責任保険は、自動車保険や火災保険などの特約として既に契約している場合がありますので自転車事故での相手への補償に備えるために保険への加入を検討している人は確認してみましょう。

自転車事故も補償する主なその他の保険(損害賠償に備える)
保険の種類 保険の概要
個人賠償責任保険 自動車保険・共済の特約 自動車保険・共済の特約で附帯した保険
火災保険・共済の特約 火災保険・共済の特約で附帯した保険
傷害保険・共済の特約 傷害保険・共済の特約で附帯した保険
自転車向け保険 自転車事故に備えた保険
団体保険 会社等の団体保険 団体の構成員向けの保険
PTAや市区町村の保険 PTAや学校が窓口になる保険
TSマーク付保険 自転車の購入や整備点検時に自転車の本体にかける保険
クレジッドカードの附帯保険 クレジットカード会員向けに附帯した保険

自転車保険で相手への補償と自分への補償に備える

子供が自転車で走行中に事故を起こしてしまった「相手への補償」と、自分自身も自転車事故によって死傷してしまった時のケガの治療費や死亡補償に備える傷害補償がセットになった保険が「自転車保険」です。自転車に乗っていて歩行者とぶつかるなどしてしまった場合、相手がケガをしてしまうばかりでなく、自分も転倒してしまうことによりケガを負う可能性があります。子供は特に大人に比べ視野が狭く注意散漫になることが多いため事故の危険性は高くなります。自転車保険は1人当たりの保険料で月々数百円から加入できる事がほとんどです。

繰り返しになりますが、自転車保険は、自転車で走行中に起こした自転車事故によって死傷させてしまった相手への補償に備える個人賠償責任補償と自分がケガを負ってしまった医療費や死亡補償に備える傷害補償がセットになった保険です。自転車の事故に備えられる保険として自転車保険の契約があると安心です。しかし、相手への補償として別の保険の特約で自転車事故も補償する個人賠償責任保険に契約していたり、他の加入中の保険で子供の自転車事故によるケガの補償などが付帯されていたりすれば補償が重複してしまう可能性があります。また、子供が自転車事故によって負ってしまったケガの治療費は、お住まいの都道府県、各市区町村で子供の医療費の自己負担を助成している場合もあり健康保険で備えられている場合もあります。そのような場合では、自転車保険の加入は必要ないと考えられますので確認してみましょう。

子供の自転車事故について考えておこう

自転車は、小さい子供からお年寄りまで乗れる身近な乗り物ですが、自転車による事故、特に自転車と歩行者の事故によって高額な賠償金を背負う事となる危険性は誰にでもあります。過去の高額な賠償を認める判決が出された例でも、子供の運転する自転車による歩行者との衝突事故だったケースもあります。子供の自転車運転による事故は自転車事故全体に対する割合も高いので、保護者は子供に対して自転車の運転は交通ルールを守り安全に乗車するように教育しましょう。

子供の自転車事故のリスクに備えるためには、相手への補償を備えておく必要があります。相手への補償として備えられる保険に個人賠償責任保険があります。個人賠償責任保険は、自動車保険や火災保険などの特約で既に契約している可能性がありますので確認してみましょう。家族が契約していれば子供も補償を受ける事ができます。もし契約がないという場合や相手への補償だけでなく子供自身のケガにも備えておきたいという人は、自転車保険に1人あたり1カ月数百円から申し込むことができるので確認してみましょう。

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