2020年4月から東京都において自転車利用者、保護者、自転車使用事業者及び自転車貸付事業者に対して自転車保険(自転車損害賠償保険等)への加入が義務化されています。自転車保険への加入義務化は全国の各自治体で進んでおり、国土交通省からも各都道府県に自転車保険(自転車損害賠償責任保険等)の加入義務付けを要請しています。
自転車保険(自転車損害賠償責任保険等)への加入義務が広がった背景には、自転車による事故で高額な賠償責任が生じるケースが増えてきているからです。自転車は子供から大人まで幅広く利用する乗り物ですが、子供が運転する自転車での事故であっても過失があれば相手への損害賠償責任が発生します。高額な賠償金額となる場合もあるので相手への賠償責任に備えられる保険の加入を義務化している自治体が増えてきています。
保険の窓口インズウェブでは、自転車保険にどれだけの人が加入しているか、または自転車事故に備えられる損害賠償責任保険に加入しているかについて自転車保険に関するアンケート調査を行いました。回答者の約半数が自転車事故に備える保険に加入していると回答しています。
目次
自転車保険及び自転車事故に備えられる損害賠償責任保険加入率は53.3%
「あたなは、自転車保険に加入していますか」と尋ねたところ、2,118人が回答してくれました。自転車保険及び自転車事故に備えられる損害賠償責任保険に加入していると答えた人が1,129人、自転車保険に加入していない及び加入しているか分からないと答えた人は1,152人でした。53.3%の人が自転車保険及び自転車事故に備えられる損害賠償責任保険に加入しています。
あなたは、自転車保険に加入していますか? | ||
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調査期間:2020年4月1日~2020年6月30日 回答者:2,118人 ※同居の家族が加入している場合を含み、複数回答可で調査 |
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自転車保険及び自転車事故に備えられる損害賠償責任保険に加入している | 1,129名 | 53.3% |
自転車保険に加入していない | 1,003名 | 47.4% |
自転車保険に加入しているか分からない | 149名 | 7.0% |
自転車事故に備える保険として販売されている「自転車保険」は、自転車運転中の自分のケガに備える(傷害保険)と相手への賠償責任に備える(個人賠償責任保険)がセットになった保険です。自転車保険の加入義務が促されている理由には、自転車事故による相手への損害賠責任に備えるという目的があります。相手への損害賠償に備えるための保険は個人賠償責任保険なので、自転車保険に加入していなくても自動車保険や火災保険などの特約で個人賠償責任保険の加入があれば、備えられている場合があります。
自転車保険に加入していると回答した人は20.3%
自転車保険に加入していると回答した人は全体の20.3%(429人)でした。自転車事故にも備えられるその他の保険に加入していると回答した人は、33.1%(700人)となっています。
今回のアンケートは複数回答となっているため、自転車の事故に備えるために自転車保険に加入し、自動車保険や火災保険の特約で個人賠償責任保険にも加入しているという人もいるでしょう。個人賠償責任保険は、自転車事故はもちろん日常生活において他人にケガをさせてしまったり他人の物を壊してしまったりして賠償責任を負った場合に補償を受けられる保険です。個人賠償保険は生計を共にする同居の親族が補償の対象となるため、補償範囲が重複して保険料の無駄払いとなってしまうことがあります。個人賠償責任保険に複数加入していないか確認し、もし複数加入しているのであれば補償内容が充実しているものに絞るとよいでしょう。
自転車保険は自転車を運転中の事故で自分自身がケガを負ってしまった場合にも備えられる保険です。自転車は子供から大人まで気軽に運転できる便利な乗りもののため子供の事故に備えるために自転車保険を検討する人も多いでしょう。その場合も、健康保険や医療保険、他の傷害保険などで備えられていないか確認しておくとよいでしょう。
自転車保険に加入していない、自転車保険に加入してるか分からないと答えた人は、54.4%でした。そういった人は、家族に自転車を運転する人がいる時には、自転車を運転することのリスクについて考えておきましょう。自転車であっても高額な損害賠償責任を負う事故が起きています。それは、子供が運転する自転車でも同じです。そのような背景から自転車保険及び自転車事故に備えられる損害賠償責任保険の加入を義務付ける自治体が増えてきています。自転車の事故に備えられているか分からない人は、他の加入する保険の個人賠償責任保険の特約で自転車事故に備えられているか確認してみましょう。加入がない人は、自転車事故に備えるために、自転車保険や自転車の事故に備える保険の加入の必要性について家族で相談しましょう。
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自転車事故で保険金を受け取ったことがある人は、2.0%
自転車保険に関するアンケートの回答者2,118人の内、自転車を運転中の事故で保険金を受け取ったことがある人は2.0%(43人)でした。
自転車を運転中の事故で保険金を受け取ったことがある人 | ||
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受け取ったことがある | 43人 | 2.0% |
受け取ったことはない | 2,075人 | 98.0% |
保険金を受け取ったことがある人には、自転車での走行中に転倒した時に保険金の請求を行った人や飛び出してきた人を自転車でひいてしまった時に保険で補償したケースなどあるようです。また、雨の日に子供が自転車に乗っていてタイヤがスリップしてしまい停車中の他人の車にぶつかって損害を与えてしまったが自動車保険の特約で契約していた個人賠償責任保険で補償することができたという人もいました。中には、個人賠償責任保険に加入していることを知らず、事故で保険会社に連絡をしたことで傷害保険に個人賠償責任保険が付帯されていたことを知り、相手への補償も十分に受けられたという人もいます。
他人にケガをさせてしまうような事故は、できれば起こしたくありません。しかし、気を付けていても自転車で狭い道を走行中に自転車同士がぶつかってしまい相手にケガをさせてしまったり、自転車の操作ミスにより歩行者とぶつかってしまいケガをさせてしまうようなリスクはゼロではありません。相手にケガを負わせてしまうだけでなく自分自身もケガを負ってしまう可能性もあります。自転車の運転には、そのようなリスクがある事も考えておきましょう。
みんな経験している!自転車での「ヒヤリ・ハット」な出来事
自転車保険に関するアンケートで、自転車で走行中に歩行者や自動車とぶつかりそうになったなどの「ヒヤリ・ハット」な経験について聞きました。大きな事故になるかもしれないといった危険な経験をしたことがある人は多くいるようです。
スマートフォンを見ながらの「歩きスマホ」をする人、スマホを見ながら自転車を運転する人、車を運転しながらスマホを見る「ながらスマホ」は、お互いに怖いと思っています。自転車や車を運転中の「ながらスマホ」は、車も自転車も罰則の対象です。歩行者も歩きスマホは危険なのでやめましょう。また、自転車を運転していて危険に感じるマナーについても意見をいただいているので紹介します。
「ヒヤリ・ハット」な経験談や自転車運転に関する意見
「ヒヤリ・ハット」な経験
- 夜間の無灯自転車の飛び出し
- いきなり横からでてきた子供とぶつかりそうになった
- 走行してきた自転車がスマホを見ていて衝突しそうになった
- 夜間運転で雨の日に人にかすってしまった
- 歩道を走行中にビルから出てきた男の人にぶつかりそうになりよろけた
- 見通しの悪い狭い通路を曲がろうとしたときに自転車同士でぶつかりそうになった
- こちらが歩行者で、横断歩道で信号が青になって歩き出したところ、信号無視の自転車が減速もせず、猛スピードで目の前ギリギリをすり抜けていって、危うく接触しそうになった
- 車道の左側を走行していて左折した際、歩行者とぶつかりそうになった
- 歩道走行中に子供がお店から飛び出してきたので、急ブレーキで私自身は自転車ごと転倒、子供は無傷だったのでよかった
- スピードを落とさないでカーブを曲がろうとした時や、自転車がカーブを曲がろうととして、車道に膨らんできたときに衝突しそうになった
- 自転車に乗っていて左折車に巻き込まれそうになった
- 段差でタイヤが滑って転びそうになり、通過する人にぶつかりそうになった
- 子供が自転車に乗れるようになったばっかりの頃 公道を走っていた時蛇行運転になり車道にはみ出し、車が急ブレーキをかけ止まってくれ間一髪だったことがある
交通ルールとマナーに関する意見
- 歩きスマホで周りを見ずに歩いている
- 車が突然、方向指示を出さずに曲がる時がある
- 一時停止無視、道路の斜め横断、後方確認をせずにいきなり進路変更をするなど自殺願望があるかのような自転車運転
- 道路中央を並走する自転車が怖い
- 車道に突然飛び出す自転車は怖い
- 歩行者専用の道で、後ろから自転車に「軽くぶつけられた事が何度もある」
- 周囲を確認しないで角を飛び出してくる自転車が怖い
- 自転車も歩行者もイヤホンをしている人が増え、周りを確認せずに急に方向を変える人が増えた
- イヤホンをつけながら歩きスマホしている人が怖い
- 自転車の相手が赤信号で、突っ込んできた
- バスを降りた時に急に自転車が来た
- 後ろからきてベルを鳴らさず追い抜いていく、すぐ脇をスピードを落とさずに追い抜いていく、狭い歩道を二列で進んでいることがある
- 横断歩道を自転車は通行不可なのに9割方が降りて押していない、反対側の歩道(右側)を走行している
- 傘をさして自転車を運転している人が怖い
自転車に乗る時は交通ルールを守り、事故の備えも忘れずに!
自転車は、道路交通法上、軽車両となり原則、車道を走行しなければいけません。車道を走行する時は道路の左側に寄って通行し、飲酒運転・二人乗り・並進走行は禁止されています。自転車の運転は交通ルールを守って安全に走行するように心がけましょう。道路では、車の運転者も自転車も歩行者もお互いが思いやり安全を心がける事が大切です。
道路は、たくさんの人が利用するため、いつ、どこでどのような危険があるか分からない場合があります。自分では気を付けていても事故にあってしまったり、事故に巻き込まれてしまうときもあります。自転車を運転する人は、自転車は「車のなかま」だという事を認識し、道路を通行する時は「車」として交通ルールを守る事が大切です。自転車は子供から大人まで幅広い年齢層の人が気軽に乗れる乗り物でもあり、自転車と歩行者の接触事故などで高額な損害賠償請求となってしまうような事故も起きています。自転車を利用する人は、自転車での事故についての備えについてしっかり考えておくことが大切です。