自転車保険の加入義務化のまとめ。対象地域やどう対応したらよいかを簡単解説!

投稿日:2020年3月30日 更新日:

自転車保険に入っていますか?と聞かれても、自分自身で自転車保険に入っているか分からない人も多いと思います。昨今自転車の事故などが相次いでおり、自転車の交通ルールが厳しい形へと改正がされつつあります。自転車は歩行者ではなく「車」の仲間であり、自動車と同じように車道の左側を走る事や、自転車自体のメンテナンスの責任、ながらスマホやイヤホンを付けた形での運転の禁止、事故を起こした際の相手への賠償等、車に乗る事から生じる責任を果たさなければなりません。

そうした中、国土交通省は自転車損害賠償責任保険等への加入義務付けを各都道府県に要請しており、各自治体では自転車を運転する人の自転車保険の加入義務化をしはじめました。総じて自転車保険の義務化と呼ばれていますが、本記事では対象地域、どういった保険に入っていれば良いかなどをまとめています。

自転車保険の加入義務化とは

自転車保険の加入義務化とは、自転車の利用者に対して自転車損害賠償責任保険等の加入を義務付けるものです。この自転車損害賠償責任保険等を世の中一般的には自転車保険と呼んでいますが、具体的には自転車事故により歩行者等の第三者を死亡させたり怪我を負わせたりした結果、法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害を補償する保険(特約)や共済を指します。自転車保険と販売されている商品もあれば、火災保険や自動車保険といった他の保険に付随して付ける個人賠償責任保険に入っている場合でも加入している事になります。

自転車保険の加入義務化の背景

自転車保険の加入義務化の背景には自転車の事故でも高額賠償事故になるケースがあり、さらには加害者が小学生を含む若年になるケースも出てきていることがあります。特に自転車の事故の約38%が未成年(平成29年 自転車運転者(第1当事者)の年齢層別交通事故件数公益財団法人交通事故分析センター)であり、加害者側が賠償責任能力を持っていないケースも存在しています。そうした場合などで被害者側が泣き寝入りとなることがないよう、自転車保険の加入義務化が進んでいるのです。

自転車事故の高額賠償事例

賠償額
(万円)
裁判所 判決日 被害者 被害内容 加害者・過失
9,521 神戸 平成25年7月4日 女性62歳 歩行者
後遺障害
小学生(11歳)
無灯火
9,266 東京 平成20年6月5日 男性24歳 自転車運転
後遺障害
男子高校生
交通違反
6,779 東京 平成15年9月30日 女性38歳 歩行者
死亡
男性
交差点進行
5,438 東京 平成19年4月11日 女性55歳 歩行者
死亡
男性
信号無視
4,746 東京 平成26年1月28日 女性75歳 歩行者
死亡
男性
信号無視

出典:国土交通省_自転車活用推進本部_自転車事故の損賠賠償に係る現状

賠償額9,521万円の事故は小学生が起こしました。この事故の場合には親が監督義務を果たしていないということが認められて親に賠償が命じられています。被害者である女性が意識が戻らぬままとなっていることで慰謝料などが高額となり、賠償額が跳ね上がっています。自転車事故の賠償は高額化しつつあり、保険に入っていない場合には自己破産のケースも存在しています。しかし、加害者が自己破産になった場合には被害者にお金は判決通りには渡りません。このような状況から国土交通省が各自治体に対して自転車保険の加入を促進する通達を出し、全国的に自転車保険の義務化のニュースが話題になりました。

自転車保険の加入義務化で誰が何をしなければならない?

自転車保険の加入義務化によって「自転車に乗る人」が「自転車保険(損害賠償責任保険等)」に入らないといけなくなります。今の所入っていなくても罰則が無いケースがほとんどですが、自転車の事故においては高額の賠償責任を背負う可能性がありますので早めに自転車保険に入る事をお勧めします。

自転車保険の加入が義務化になっている地域は?

自転車保険の加入義務化になっている地域は以下の通りです。

都道府県 義務化の有無 いつから
北海道 努力義務 平成30年10月1日
青森県 喚起のみ -
秋田県 喚起のみ -
岩手県 無し -
山形県 義務 令和2年7月1日
宮城県 検討開始 -
福島県 喚起のみ -
栃木県 喚起のみ -
茨城県 努力義務 -
群馬県 喚起のみ  
埼玉県 義務 平成30年4月1日
千葉県 努力義務 平成29年4月1日
東京都 義務 令和2年4月
神奈川県 義務 令和1年10月1日
新潟県 喚起のみ -
長野県 義務 令和元年10月1日
山梨県 検討中  
静岡県 義務 平成31年4月1日
愛知県 喚起のみ -
岐阜県 喚起のみ -
富山県 喚起のみ -
石川県 無し -
福井県 喚起のみ -
滋賀県 義務 平成28年10月1日
三重県 喚起のみ -
奈良県 義務 令和2年4月1日
和歌山県 努力義務 令和元年10月1日
京都府 義務 平成30年4月
大阪府 義務 平成28年7月1日
兵庫県 義務 平成27年10月
鳥取県 努力義務 平成28年10月14日
岡山県 無し -
島根県 喚起のみ -
広島県 喚起のみ -
山口県 無し -
香川県 喚起のみ -
愛媛県 義務 平成27年4月1日
徳島県 喚起のみ -
高知県 努力義務 平成31年4月1日
福岡県 努力義務 令和元年10月1日
佐賀県 喚起のみ -
長崎県 喚起のみ -
大分県 喚起のみ -
宮崎県 喚起のみ -
熊本県 喚起のみ -
鹿児島県 義務 平成29年10月1日
沖縄県 喚起のみ -

※本調査は一般の利用者のみを対象としており、自転車貸付業者、自転車を事業の用に供する事業者は対象にしていません。また、都道府県単位での調査となっており、市区町村にて義務化を行っている場合もあります。

現状では各自治体によって義務であったり、喚起であったりとそれぞれ異なります。

どんな自転車保険があるの?

自転車保険においては主に以下のような分類があります。

保険の種類 保険の概要
個人賠償責任保険 自動車保険・共済の特約 自動車保険・共済の特約で附帯した保険
火災保険・共済の特約 火災保険・共済の特約で附帯した保険
傷害保険・共済の特約 傷害保険・共済の特約で附帯した保険
自転車向け保険 自転車事故に備えた保険
団体保険 会社等の団体保険 団体の構成員向けの保険
PTAや市区町村の保険 PTAや学校が窓口になる保険
TSマーク付保険 自転車の購入や整備点検時に自転車の本体にかける保険
クレジッドカードの附帯保険 クレジットカード会員向けに附帯した保険

自転車保険の義務化といっても世の中で「自転車保険」として販売されている商品に入る必要はありません。あくまで自転車の事故の際に賠償が行える保険に入っていれば問題ありません。中でも自動車保険や火災保険では一般的に個人賠償責任保険が特約として付いているパターンが多いと思われます。

しかし、自転車保険として販売がされている保険の方が

  • 賠償金額の上限が自転車事故に沿った形になっている(1億円以上)
  • 示談代行が付いている
  • 事故を起こして自分自身がケガをした場合に治療費が出る
  • 自転車ロードサービス

といった機能が付いていたりと自転車に乗られる方向けのサポートが非常に手厚い傾向です。考え方次第ではありますが、自転車に乗られる頻度が高い場合には自転車保険として販売されている商品を検討してみましょう。また、現在自動車保険や火災保険に加入されている場合で個人賠償責任保険の特約を付けている場合には「示談代行」と「補償金額」を必ず確認しましょう。示談代行が付いていない場合は事故の相手方との交渉を全て自分で行う必要があるので、示談代行が付いている方が助かるでしょう。補償金額も1億円未満などの場合は高額化する自転車事故の賠償金額に届かない可能性があります。今ご加入中の保険を入り直すのも1つの手です。なお、個人賠償責任保険では業務で自転車を使用中に発生した事故は補償されません。

未加入のままでも大丈夫?必要な補償額は?

自転車保険が義務化されている地域において自転車保険には入る必要はありますが、未加入でも罰則は現在のところはありません。しかしながら、自転車事故を起こした際に賠償をすることは必要になってきます。世の中として自転車事故における高額賠償が社会問題化しており、自転車保険に入っていなかった場合には路頭に迷うことにもなりかねません。必ず自転車保険には入るようにしておきましょう。

また、補償額は1億円超を選択しておきましょう。自転車事故の最高賠償額はまだ1億円を超えてはいませんが、被害者の年齢や年収、被害の程度などによっては超えることも想定しえるからです。

まとめ

自転車保険の義務化は自転車の事故における賠償額の高額化や、自転車と歩行者の事故が中々減らないこと、そして自転車同士の事故が増加傾向にあることが要因です。国土交通省ではこれらを受け自転車損害賠償保険等の加入促進に向けて動いており、全国の自治体に加入の促進を促しています。実際に加入を促すると加入率が上がることから、今後も全国の自治体では義務化といった検討を進めていくことになるでしょう。自転車利用者にとっても安心して自転車に乗ることもできるようになりますので、必ず自転車事故に関する賠償ができる保険には入っておきましょう。

  • この記事を書いた人

インズウェブ

「保険(Insurance)」とインターネット「ウェブ(Web)」の融合から、サイト名『インズウェブ(InsWeb)』が誕生しました。自動車保険の見積もりを中心として2000年からサービスを提供しています。現在の運営会社はSBIホールディングス株式会社となり、公正かつ中立的な立場で自動車保険に関する様々なお役立ち情報を提供しています。(保険の窓口インズウェブとは

Copyright© SBI Holdings Inc. All Rights Reserved.