交通事故死亡者数は減少傾向にありますが、これがゼロになるにはまだまだ先が長そうです。一つの目安として、ある一日に一人も交通事故によって死亡する人がいない確率を計算してみました。とても低い数字ですが、これを達成できるように一人一人が努力することが大切です。
交通事故で死亡する人がいない確率
毎年、多くの人が交通事故により死傷していますが、日本では一日当たり何人の命が交通事故で失われているかご存知でしょうか?警察庁交通事故統計によると令和2年の交通事故死者数は2,839人でした。これは単純計算で一日当たり7.8人、おおよそ3時間に1人亡くなっていることになります。
令和2年の一日当たりの交通事故死者数をもとにポアソン分布を仮定し、ある一日に一人も交通事故によって死亡する人がいない確率を計算すると、約0.04%となります。およそ2500分の1の確率で、お茶碗に軽くよそったご飯の中から1粒を当てるくらいの確率です。年末ジャンボ宝くじで例えると4等と5等の間くらいの確率です。何となく達成できそうな気がしてきませんか?
初めて交通死亡事故ゼロを達成
交通事故死者数は減少傾向にあり、令和2年の死者数は統計が残る昭和43年以降で最少となりましたが、交通事故で連日1人以上は亡くなっており、日本国内で交通死亡事故が発生しなかった日はありませんでした。
しかし、令和3年4月8日は全国で交通事故による死者が1人もいなかったのです。警察は交通事故が発生してから24時間以内に亡くなった人を死者として計上していますが、4月8日は死亡事故が発生しなかったうえ、前日の事故のけが人が亡くなって死者として計上されることもありませんでした。
これは、安全装置(自動ブレーキやバックモニター、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、車線逸脱制御装置等)の開発が進んだ事や、自動車の安全基準等の拡充・強化、私たちドライバー一人一人の心がけによって達成できたのではないでしょうか。
全国交通安全運動
交通安全に関する啓発のため、毎年春(4/6-4/15)と秋(9/21-9/30)に全国交通安全運動が行われています。令和3年4月6日~4月15日に行われた令和3年春の全国交通安全運動の期間中では8,619件の事故、56人の死者が発生してしまいました。
都道府県別にみると、青森県、岩手県、福島県、茨城県、栃木県、山梨県、富山県、石川県、岐阜県、三重県、奈良県、鳥取県、岡山県、広島県、徳島県、長崎県、熊本県、鹿児島県、沖縄県の19県で交通死亡事故が起きなかった一方、千葉県では5人、大分県では4人と多くの死者が発生していました。
10日間で死者数ゼロを達成した都道府県は19県でしたが、ここで都道府県別に10日間連続で交通事故によって死亡する人がいない確率を算出してみました。
順位 | 都道府県 | 令和2年年間交通事故死者数 | 1日に交通事故死者数ゼロの確率 | 10日間連続で交通事故死者数ゼロの確率 |
---|---|---|---|---|
1 | 鳥 取 | 17 | 95.4% | 62.8% |
2 | 和歌山 | 18 | 95.2% | 61.1% |
3 | 島 根 | 18 | 95.2% | 61.1% |
4 | 徳 島 | 20 | 94.7% | 57.8% |
5 | 山 梨 | 21 | 94.4% | 56.3% |
6 | 沖 縄 | 22 | 94.2% | 54.7% |
7 | 奈 良 | 25 | 93.4% | 50.4% |
8 | 富 山 | 26 | 93.1% | 49.1% |
9 | 青 森 | 28 | 92.6% | 46.4% |
10 | 山 形 | 30 | 92.1% | 44.0% |
11 | 佐 賀 | 33 | 91.4% | 40.5% |
12 | 高 知 | 34 | 91.1% | 39.4% |
13 | 長 崎 | 34 | 91.1% | 39.4% |
14 | 宮 崎 | 36 | 90.6% | 37.3% |
15 | 秋 田 | 37 | 90.4% | 36.3% |
16 | 石 川 | 40 | 89.6% | 33.4% |
17 | 福 井 | 41 | 89.4% | 32.5% |
18 | 山 口 | 42 | 89.1% | 31.6% |
19 | 岐 阜 | 43 | 88.9% | 30.8% |
20 | 大 分 | 43 | 88.9% | 30.8% |
21 | 宮 城 | 44 | 88.6% | 29.1% |
22 | 群 馬 | 45 | 88.4% | 28.4% |
23 | 岩 手 | 46 | 88.2% | 28.4% |
24 | 長 野 | 46 | 88.2% | 28.4% |
25 | 熊 本 | 46 | 88.2% | 26.8% |
26 | 愛 媛 | 48 | 87.7% | 15.5% |
27 | 滋 賀 | 49 | 87.4% | 26.1% |
28 | 京 都 | 49 | 87.4% | 26.1% |
29 | 鹿児島 | 53 | 86.5% | 23.4% |
30 | 福 島 | 57 | 85.5% | 21.0% |
31 | 香 川 | 59 | 85.1% | 19.9% |
32 | 栃 木 | 60 | 84.8% | 19.3% |
33 | 岡 山 | 62 | 84.4% | 18.3% |
34 | 新 潟 | 64 | 83.9% | 17.3% |
35 | 広 島 | 71 | 82.3% | 14.3% |
36 | 三 重 | 73 | 81.9% | 13.5% |
37 | 茨 城 | 84 | 79.4% | 10.0% |
38 | 福 岡 | 91 | 77.9% | 8.3% |
39 | 静 岡 | 108 | 74.4% | 5.2% |
40 | 兵 庫 | 110 | 74.0% | 4.9% |
41 | 埼 玉 | 121 | 71.8% | 3.6% |
42 | 大 阪 | 124 | 71.2% | 3.3% |
43 | 千 葉 | 128 | 70.4% | 3.0% |
44 | 神奈川 | 140 | 68.1% | 2.2% |
45 | 北海道 | 144 | 67.4% | 1.9% |
46 | 愛 知 | 154 | 65.6% | 1.5% |
47 | 東 京 | 155 | 65.4% | 1.4% |
10日間連続で交通事故死者数がゼロである確率は、交通事故死者数が一番少ない島根県で62.8%でしたが、40都道府県では50%に満たないという結果です。しかし、20%以上ある都道府県は30とかなりの数にのぼっています。また、ある1日に限定した場合は、36府県で80%以上の確率となっています。最も低い東京都でも65.4%となっています。
今後も交通事故死者数がゼロとなる日を達成するにはドライバー一人一人の心がけが重要です。皆さんも安全運転を心がけるようにしてください。