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認知症と高額賠償

近年、認知症の高齢者が徘徊中に起こした事故について、認知症の高齢者を介護する家族に損害賠償請求が認められる裁判例が出され、社会的に注目されています。認知症の高齢者を介護する家族としては、どのような対策をしておけばよいのでしょうか。

65歳以上の4人に1人

日本においては、高齢化の進展により認知症の人口が増加しています。厚生労働省によると、平成22年 時点で、65歳以上の高齢者では、7人に1人程度が認知症とされており、また、認知症の予備軍となる軽度認知障害(MCI)を合わせると、65歳以上の4人に1人の割合に達すると推計しています。認知症は、年齢を重ねるごとに発症する可能性が高まるため、今後も認知症の人口は増加し続けることが予想されています。

認知症高齢者の交通事故

2022年(令和4年)の交通事死亡事故を年齢別にみると65歳以上の人が被害者となっている事故は56.4%と全体の半数以上を占めているようです。同年10月1日現在の65歳以上の人口は3,623万6千人(人口構成率:29.0%)で人口構成率と比較しても高い水準となっています。

また、同年における65歳以上高齢者の年齢層別・状態別死者数の推移をみると、歩行中の交通事故が最も多く48.0%、次いで自動車運転中が31.1%で全体の約8割を占めています。高齢になると認知機能や判断力の衰えも顕著になってきます。認知症の高齢者が増えている中、認知症高齢者による事故も増加しているものと考えられます。

警察庁_統計表 交通事故統計総務省統計局_人口統計より

例1. 認知症高齢者の鉄道事故

裁判例では、認知症で徘徊していた男性が電車にはねられ死亡したという鉄道事故について、鉄道会社が死亡した男性の面倒をみていた妻と子どもに対し、振替輸送費や人件費等の損害の賠償を請求した事件において、男性の妻に対して、約360万円の支払いが命じられた例があります(名古屋高裁平成26年4月24日判決、男性の妻と子どもに対して約720万円の支払いを命じた第1審を変更)。

この裁判例においては、認知症の男性は責任無能力であったとして、同男性の監督義務者である妻の監督義務違反を理由に損害賠償が認められました。

この裁判例に対しては、認知症の高齢者を自宅で介護する家族にとっては酷な判断ではないかとの批判があるものの、事故の相手方からすれば、認知症であったからといって損害賠償を受けられないとするのは妥当でないとの意見もあります。 この裁判例の事例は鉄道事故でしたが、この判例の論理によれば、認知症高齢者のその他の事故においても、同様に、認知症高齢者の家族に対する損害賠償が認められる可能性があることになります。

例2. 監督者に高額の賠償責任

小学5年生が自転車で時速20~30キロメートルで走行中、歩行中の女性と正面から衝突し、その女性が頭がい骨骨折等の重傷を負った事件で、事故当時11歳であった小学生自身には責任能力がないとして、小学生の母親の監督義務違反を認め、母親に約9500万円もの損害賠償を認めた裁判例があります(神戸地裁平成25年7月4日判決)。

先ほどの鉄道事故の裁判例からも分かるとおり、事故一般において、認知症の高齢者を持つ家族に対し、監督義務違反に基づく損害賠償責任が認められることがあり、ケースによっては、賠償額が高額にのぼることもありますので注意が必要です。

万が一の賠償責任に備える

認知症の高齢者の面倒を見ている家族に対して、高額の損害賠償責任が認められることがあることは、これまで述べてきたとおりです。また、最近では、自転車事故など認知高齢者が引き起こす可能性の高い事故でも、高額賠償が発生するケースが珍しくありません。

しかし、認知症の高齢者を持つ家族としては、どんなに気を付けて面倒をみていたとしても、徘徊等を完全に防ぐことは難しいのが現実かと思います。

そこで、万が一認知症の高齢者が事故を引き起こしてしまった場合に備えて、個人賠償責任保険に加入しておくとよいでしょう。監督義務者の責任を追及された場合であっても、個人賠償責任保険で対応できる場合が多くあります。個人賠償責任保険は自動車保険や火災保険の特約としてつけることが可能な場合が多く、その保険料も通常年間数千円程度です。

まとめ

通常の事故の場合には、損害賠償を請求する側(被害者側)が、加害者側の故意又は過失を主張・立証しなければならない(民法第709条)のに対し、責任無能力者が事故を起こした場合、その監督義務者については、自らの監督義務を怠らなかったこと又は監督義務を怠らなくても損害が発生すべきであったことを立証しない限り、損害賠償責任を負うものとされています(民法第714条)。

したがって、監督義務者は、責任無能力者の現に行った行為に対する具体的な予見可能性があるとはいえない場合でも、それが監督義務を怠ったことにより生じたものである限りは、損害賠償責任を免れません。 認知症の高齢者を持つご家族は、常に損害賠償のリスクと隣り合わせの状態にあると言えます。 認知症の高齢者を介護しているご家族はもちろんのこと、高齢化社会が進展している現代においては、今は健康上問題のないご家族もいつかは認知症の症状が出てくる可能性があります。

ぜひこの機会にご自身の保険に個人賠償責任保険がついているかどうか確認され、ついていない場合には加入されることをお勧めします。

投稿日:2018年9月7日 更新日:

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