
法人として契約している自動車保険を個人名義に切り替えることはできるのでしょうか?また、その際にこれまで積み上げてきた等級を引き継いで、保険料の割引率を維持できるのかどうかも気になるところです。
この記事では、自動車保険の等級の仕組みと法人から個人へ切り替える際の等級の引き継ぎ方のほか、切り替え時の必要書類について解説します。
もくじ
自動車保険の等級は記名被保険者に紐づく
自動車保険の等級制度とは、過去の事故の実績に応じて保険料の割引・割増を行う制度です。等級は契約者ではなく記名被保険者(主な運転者)に紐づいています。
契約者が同じでも記名被保険者が変われば基本的に等級を引き継げません。ただし、元の記名被保険者の配偶者や同居の親族に変更する場合などでは、変更前後の記名被保険者を同一とみなして等級を引き継ぐことができます。

自動車保険の等級を法人から個人へと引き継げる?
原則として、記名被保険者を法人から個人へと変更して等級を引き継ぐことはできません。これは、法人と個人が「別人格」と見なされるのが理由です。契約を切り替えた場合、個人としての新規契約の扱いになり、6等級(セカンドカー割引適用の場合は7等級)からのスタートとなります。
ただし、法人として契約していた自動車保険を個人の契約に変更する場合、下記の条件を満たして審査を通過すれば、これまでの等級を引き継げる可能性があります。
<法人から個人へ等級を引き継げる条件の例>
- 現保険契約がノンフリート契約である
- 法人を解散し、事業内容が同一の個人事業主となる
- 車両が同一であり、使用目的も同一である
等級を継承するには、法人を解散し、個人事業主としてその事業を継承することが重要です。法人が存続しているままで、法人が所有する車両を個人に売却し、それに伴い契約内容を変更するというような場合では等級を引き継げず新規契約となります。また、会社を解散した後に事業を継続しない場合などでも等級を引き継ぐことはできません。
逆に、個人事業主が法人を設立する場合でも、事業の同一性などの条件を満たせば等級を引き継げる場合もあります。法人契約で事業用であれば全額を経費計上できるなどメリットも大きくなります。ただし、こちらについても法人設立時に限るなど条件やタイミングが限られるので、事前に保険会社に相談することをおすすめします。
自動車保険を法人から個人へ名義を変更する手順
自動車保険を法人から個人へ記名被保険者の名義を変更するには、どのようなステップを踏む必要があるのでしょうか。ここでは、自動車保険を法人から個人に名義を切り替える手順について解説します。
1.保険会社に確認する
まずは、法人から個人への記名被保険者の名義変更について、契約する保険会社に条件や必要書類などの確認をしておきましょう。等級継承はいつでも・誰に対してもできるものではなく、条件やタイミングが限られるものなので、事前に確認して準備を進めておくのがよいでしょう。
2.法人を解散して個人事業主として事業継承する
続いて、法人を解散し、その代表が法人として行っていた事業を個人事業主として継承します。なお、事業継承しない場合は、法人から個人への等級継承ができず、新規契約となる点に注意してください。
3.必要書類を準備して名義変更手続きを行う
記名被保険者の名義変更は、保険会社に必要書類を提出して完了します。この手続きは保険会社によって方法が異なるので、電話や代理店窓口などで事前に確認しておくと安心です。法人が解散したことを証明できる書類(閉鎖事項証明書など)や事業の同一性が証明できる書類などが必要となるでしょう。
変更手続きは、できる限りすみやかに行いましょう。書類を提出後、保険会社内で審査を行い、問題がなければ手続き完了の連絡が届くはずです。
新規契約となる場合、保険料を安くするには?
等級を引き継げず、新規契約となる場合には6等級からの開始となるので保険料が高くなってしまいます。保険料を安く抑えるためにはダイレクト型(ネット型)自動車保険を検討してみましょう。
ダイレクト型自動車保険は保険会社と契約者の間に代理店を挟まないので、中間コストなどを削減でき、代理店型の自動車保険よりも保険料が安い傾向にあります。担当者と対面で直接相談するというようなことはできませんが、メールやWeb上のチャットなどで疑問点を質問し、解消することもできます。

また、ダイレクト型自動車保険は国内に何社もあるので、その中でも各社に特色があり、保険料に違いがあります。一社一社見積もりを取って比較するのは大変なので、一括見積もりサービスを利用し、各社の保険料を比較してみるとよいでしょう。
まとめ
法人を解散させて個人事業主として開業したり、車両名義が同一だったりといった条件を満たすことで、法人で契約していた自動車保険の等級を個人での契約に継承することができます。20等級まで進んでいたら63%の割引、契約してから2年間しか経っていなくて8等級という場合でも38%の割引と、等級を引き継げた場合の割引の効果は大きなものとなっています。計画の段階から保険会社・代理店に相談して必要な条件や書類などを確認しておくとよいでしょう。
等級を引き継げない場合は新規契約で6等級からの開始となるので、保険料が高くなってしまいます。一括見積もりサービスを利用するなどして各社の保険料を比較してみましょう。







