自分に過失がないもらい事故で事故相手が無保険あるいは支払い能力が十分でなく、自分の車両保険を使わざるを得ないとき、無過失事故に関する特約に入っていれば等級に傷をつけることなく車両保険を使うことができます。
無過失事故に関する特約とは?
無過失事故に関する特約とは、自分に過失がないもらい事故で、事故相手の自動車が確認できた場合などのいくつかの条件を満たした場合に、次年度の等級や事故有係数適用期間に影響することなく(ノーカウント事故)、車両保険を使うことができる特約です。この特約が付いていない場合、車両保険を使うと等級が3等級下がってしまいます。
この特約が適用についての注意事項としては、車対車の事故である必要があるので、自転車にぶつけられてできた傷に対して車両保険を使った場合は通常通り3等級下がることや相手の自動車が特定されている必要があるので、当て逃げなどで相手がわからない場合にも適用されないということです。
一般的なもらい事故の事例
無過失事故に関する特約の対象となる、自分の過失割合が0となるようなもらい事故にはどのような事例があるのか紹介します。
- 後ろから追突された事故
- 相手が赤信号を無視して起こった事故
- 相手がセンターラインをオーバーして起こった事故
- 自分が停車中にぶつけられた事故
なお、事故時の状況によっては、上のような事例でも自分に過失が認められる場合もあります。
相手からの賠償で賄えるのでは?
自分の過失割合が0である場合、通常は相手の自動車保険の対物賠償保険から過失相殺されることなく保険金が支払われます。しかし、相手の車が必ずしも自動車保険に加入しているとは限りません。また、加入していても年齢条件や運転者限定に引っかかって補償範囲外となってしまっている場合もあり得ます。
相手が自動車保険に未加入の場合、あるいは何らかの理由で自動車保険を使えない場合、相手が十分な資産を持っていて賠償の支払いに応じてくれるのなら問題はありませんが、そうでない場合は修理代金の回収は困難です。こうなると、自腹で修理代金を払うか車両保険を使わざるを得なくなります。
それでは、自動車保険に未加入だという人はどれくらいいるのでしょうか。損害保険料率算出機構「2022年度自動車保険の概況」によると、自動車保険と自動車共済を合わせた2022年3月末の対人賠償普及率は88.7%です。基本的には対人賠償保険に加入していれば対物賠償保険にも加入していると考えられるので、今回問題となる対物賠償の加入率もこれくらいでしょう。
自動車保険未加入の車のすべてが公道を走る車というわけではありませんが、10台に1台は自動車保険に加入していないとも言えます。そのような車に追突された場合、相手が悪いのに自分の保険料が3年間高くなってしまうのは口惜しいものがあります。車両保険に自動付帯される保険会社もありますが、そうでない保険会社の場合は無過失事故に関する特約も加入することを検討してみてはいかがでしょうか。