2017年の交通事故死者数は、3,694人。前年より210人少なく、警察庁が保有する昭和23年以降の統計で最少となりました。今後もこの調子で交通事故死者数がますます減ることを祈るばかりです。
ところで、こうしたニュースで必ず耳にする「交通事故死者数」とは、いったい何を基準にカウントされているか、みなさんはご存知ですか?「事故から1週間後に亡くなった被害者は、交通事故死者に数えられるのでしょうか?」という質問を受けましたので、今回はこの点について簡単に説明をしておきましょう。
30日死者の実態
実は、事故発生から1週間後に亡くなった被害者は、警察庁が発表する「交通事故死者数」には含まれていません。日本では、事故発生から24時間以内に死亡した人のみを「交通事故死者数」として統計をとっているのです。
極端な言い方をすれば、「事故発生から25時間後に亡くなった人は、交通事故死者数の中には入らない」というわけです。そのような人たちの実態を示す統計はないのかというと、国際比較のために必要ということもあり、平成5年から「30日以内死者」の集計も行っています。
ちなみに、 2017年 、事故発生から24時間以内に死亡した人は3,694人で、24時間経過後30日以内に死亡した人(30日死者)は737人。30日以内に死亡した人を合計すると4,431人にのぼりました。(警察庁交通局「平成29年中の30日以内交通事故死者の状況」)実は、事故発生から30日まで枠を広げると、死者数は約2割押し上げられることになるのです。
30日死者の特徴
30日死者の状況についてのデータをさらに詳しく見てみると、24時間死者とは違った特徴がみえてきます。
まず、30日死者は、24時間死者に比べて自転車乗車中に被害にあった人の比率が高いことです。即死に至るような受傷ではないけれど、頭部を強打するなどして、結果的には数日後に亡くなってしまうというケースが多いようです。
また、65歳以上の高齢者の死亡率が高いことも30日死者の特徴のひとつです。若年層の人ならなんとか乗り切れる傷害も、高齢であるために克服できないことがあるのでしょう。
保険の備えが大切
即死事故は、言うまでもなく悲惨ですが、何日もの間生死をさまよいながら、それでも結果的に亡くなってしまうという「30日死者」の事故もまた、当事者や家族にとっては大変に辛いものです。
こうした重篤な被害者は大半の場合、救命救急の措置を受けていますので、わずか数日間でも医療費は数百万円に上ることが少なくありません。こうなると、自賠責保険(傷害の上限120万円)はすぐに底をついてしまいますので、任意の対人保険の加入は不可欠です。
「私に限って、絶対に事故は起こさない」 そう言い切れる人は、誰もいません。「交通事故死者数が減少」というニュースに安心せず、被害者、加害者、双方の立場で、しっかりと保険の備えをしておくことが大切です。