
子供が小さなときは隣の車との距離感がわからず、ドアを勢いよく開けて「ドアパンチ」してしまうことがあります。その際に、自動車保険による補償は適用されるのでしょうか。子供がドアパンチをしてしまったときの対応時の注意点や、予防策も知っておきたいところです。一方で、隣の車にドアパンチされたケースの保険適用についても、認識しておいたほうがよいでしょう。
この記事では、子供が他車にドアパンチしたら保険は使える?対応時の注意点と予防策について解説します。
記事のポイント
- 子供がドアパンチしてしまった場合、自動車保険の対物賠償責任保険で補償される。
- ドアパンチも物損事故なので、警察に連絡せず立ち去ると当て逃げになる可能性がある。
- のちに修理金額や範囲などでトラブルになるのを防ぐため、示談交渉は保険会社に任せるのがよい。
- 保険を使うと翌年度に3等級ダウンして保険料が上がる。保険会社による示談交渉の結果、修理費用が低額なら保険を使わずに自腹で支払ってもよい。
もくじ
子供が隣の車にドアパンチをしてしまったときに保険は使える?
自分の子供が隣の車にドアパンチをしてしまったときは、自動車保険(任意保険)を使うことができます。具体的には、自動車保険の「対物賠償責任保険」で相手の車の修理費用を負担することになるでしょう。なお、自賠責保険は対人賠償のみなので、相手の車の損傷は補償の対象外となります。
なお、子供のドアパンチで隣の車に与えた損傷に自動車保険を使った場合は、3等級ダウン事故として扱われ、次年度の等級が3等級下がり、保険料が上がります。そのため、保険会社に見積もりを取り、金額上昇後の保険料と比較した上で、相手の修理費用を自己負担することも検討したほうがよいでしょう。
個人賠償責任保険では補償されない
子供によるドアパンチの賠償は、個人賠償責任保険では補償されません。個人賠償責任保険とは、家族が日常生活において他人の物を壊したり、ケガをさせたりしたときに、それらの損害を補償する保険です。子供が自転車事故で相手にケガをさせてしまうリスクに備えて加入している方も多いと思います。
個人賠償責任保険で子供のドアパンチが補償されない理由は、「車の使用」による事故だからです。この車の使用には運転だけでなく、ドアの開閉なども含まれます。車に関する事故は基本的に個人賠償責任保険ではなく、自動車保険の範疇と考えておきましょう。
子供が隣の車にドアパンチをしてしまったときの対応の流れ
子供が隣の車にドアパンチをしてしまったら、どのように対応すればいいのでしょうか。ここでは、子供が隣の車にドアパンチをしてしまったときの対応の流れについて解説します。
1.相手を見つけて謝罪する
子供が隣の車にドアパンチをしてしまったときは、まず、相手(隣の車の持ち主)を見つけて謝罪しましょう。
相手がその場にいない場合は、車のもとに現れるまで待つのが原則です。「予定があって急いでいるから」といった理由でその場を立ち去るのは、「当て逃げ」として扱われるリスクがあるので、絶対に避けてください。
2.警察に物損事故として報告する
警察に連絡し、物損事故として報告することも隣の車にドアパンチをしてしまったときにやるべき対応のひとつです。たかがドアパンチと思うかもしれませんが、ドアパンチも物損事故なので警察への報告が道路交通法上の義務となっています。これは公道だけでなく、商業施設の駐車場や月極駐車場といった私有地でも、該当すると考えたほうが無難でしょう。
なお、「交通事故証明書」の発行は警察への報告が前提となっています。任意保険の保険金請求に必要となる場合があるので注意してください。
警察を呼んだら、状況を説明し、その後の手続きのため、双方の連絡先を交換します。相手の氏名や住所、電話番号のほか、加入保険会社名やナンバープレート番号などを控えてください。また、事故状況がわかる両車の写真も撮影しておきたいところです。
3.保険会社に連絡する
隣の車にドアパンチをしたことを警察に報告したら、加入する保険会社にも連絡しましょう。保険会社は多くの場合、交通事故証明書を取得し、相手と示談交渉した上で、保険金の支払い手続きを進めることとなります。
保険会社に連絡せず当事者同士で示談交渉を進めると、修理費用や修理をする範囲について後でトラブルになる可能性があります。保険会社に連絡したら必ず自動車保険を使わなければならないということはないので、トラブル防止のためにも示談交渉は保険会社に任せるとよいでしょう。
なお、ドアパンチによる事故の場合、相手に事故の過失がないため、相手方の保険会社は示談交渉に介入しません。
子供によるドアパンチの対応時の注意点
子供によるドアパンチに対応する際には、いくつか気をつけたいポイントがあります。ここでは、子供によるドアパンチの対応時の注意点について解説します。
そのまま立ち去ると当て逃げとして扱われる
ドアパンチをしてしまった後、警察に連絡せずにそのまま立ち去ると「当て逃げ」として扱われる可能性があります。当て逃げとなった場合、刑事責任を問われる可能性があるので注意してください。
<当て逃げで問われる刑事責任>
- 報告義務違反:3ヵ月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金
- 危険防止措置義務違反:1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金
また、当て逃げをすると、違反点数7点が加算され、免許停止処分を受けることになりかねません。子供のドアパンチによる相手の車のダメージが軽微でも、警察には必ず報告するようにしましょう。
その場で金額交渉しない
相手とその場で修理費用などについて金額交渉しないようにしましょう。警察や保険会社が介在しない交渉は、あとで大きな金銭トラブルになるおそれがあります。例えば、相手にドアパンチでできた傷以外の傷も後日「この傷もドアパンチによるものだ」と主張された場合、それを客観的に確かめる方法がないからです。
ドアパンチによる事故は、どれほど小さな傷でも、警察や保険会社を介して処理しましょう。
子供によるドアパンチの予防策
子供が隣の車にドアパンチをして自動車保険を使うことになるのを避けるには、前もっていくつかの手を講じておく必要があります。ここでは、子供のドアパンチの予防策について解説します。
駐車場では広いスペースや端のスペースに停める
駐車場では車を広いスペースや端のスペースに停めることが、子供によるドアパンチの予防策といえます。一台あたりのスペースは「車室」とも呼ばれますが、大きさは駐車場によって異なります。できる限りこのスペースが広い駐車場を選んで停めると安心です。駐車の際には、スペースの中央にまっすぐ停め、左右の空間を確保しましょう。
また、自車の片側にだけ車が停まる端のスペースであれば、少なくとも一方へのドアパンチを防ぐことは可能です。ただし、壁や柱にぶつけないように注意してください。
スライドドアの車に乗り換える
子供のドアパンチの予防策として、スライドドアの車に乗り換える方法があります。車体に沿って水平に開くスライドドアは、ミニバンや軽自動車の後部ドアに多く採用されています。
スライドドアの車に乗り換えることで、狭い駐車場でのドアパンチのリスクは大幅に軽減されるでしょう。開口部が大きく、子供の乗り降りがしやすいのもメリットです。
チャイルドロックを使う
チャイルドロックを使うのも、子供のドアパンチの予防策として有効といえます。チャイルドロックは、子供がドアを内側から開けられないように、運転席でロックする装置です。
子供が勝手にドアを開け放たなければ、隣の車にドアパンチすることも、運転中に誤って開けてしまうこともありません。なお、チャイルドロックはヒンジドア・スライドドアのいずれにも装備されています。
クッションなどのドアパンチ防止グッズを取り付ける
子供によるドアパンチを防ぐには、ドアにクッションを取り付けることを検討してもいいかもしれません。ドアエッジ(端部分)に取り付けたクッションが緩衝材となれば、子供がドアを勢いよく開けても、隣の車のボディに傷をつけるのを防いでくれます。
また、ドアが大きく開きすぎるのを防ぐベルトも、ドアパンチ防止に効果的です。車内のアシストグリップに通して使うベルトにより、ドアの開閉角度を制限することができます。
ドアパンチの被害に遭ったら?
自分の子供がドアパンチをするだけでなく、駐車場に停めていた自分の車がドアパンチの被害に遭うことも考えられます。ここでは、自分の車がドアパンチの被害に遭ったときについて解説します。
相手を探す
ドアパンチの被害に遭った場合、まず相手を探します。相手が見つかり、ドアパンチを認めた場合は連絡先を交換し、相手の自動車保険における対物賠償保険での補償を受けることになるでしょう。
なお、相手が見つからない当て逃げの場合は、相手に修理費用を請求できないため、車の修理に自分の車両保険を使うことになるかもしれません。車両保険を使うと3等級ダウンすることになり、次年度の保険料がアップするので注意が必要です。
写真などで証拠を残す
写真などでドアパンチの傷について証拠を残すことも、被害に遭ったときに取るべき対応のひとつです。ドアパンチの傷が記録として残っていれば、後日、当て逃げ相手が見つかった場合に証拠として提出できます。
写真を撮る際には、傷の位置や大きさが正確に把握できるように、複数の方向から撮影しておくようにしてください。
また、駐車監視機能付きのドライブレコーダーを搭載している場合には、記録したドアパンチ時の映像を確認し、警察に提出するようにしてください。場合によっては相手のナンバープレート番号などが記録されており、当て逃げ車を発見する手がかりになる可能性もあります。
警察と保険会社に連絡する
ドアパンチの被害に遭ったら、警察と保険会社に連絡することも忘れずに行いましょう。物損事故として届け出た上で、相手の加入保険会社への保険金請求を行います。
なお、ドアパンチは自分に過失がない事故のため、自分の加入する保険会社の示談交渉代行サービスは適用外です。そのため、自分で事故相手の保険会社と示談交渉することになりますが、交渉が難航するといった場合は、弁護士に交渉を依頼することも検討してください。
まとめ
子供によるドアパンチは、軽微な傷に見えても物損事故として適切に対応することが大切です。万が一の際は、相手への謝罪、警察への報告、保険会社への連絡を落ち着いて行い、保険を使うか自己負担にするかは修理費用と翌年以降の保険料への影響を比較して判断しましょう。
あわせて、今の自動車保険で対物賠償責任保険や車両保険、弁護士費用特約などがどこまで備わっているか確認しておくと安心です。子供との車の利用が多い家庭は、補償内容と保険料のバランスを見直すよい機会です。自動車保険一括見積もりサービスを使って複数の保険会社を比較すれば、必要な補償を備えながら保険料を抑えられる可能性もあるため、更新前や車の使い方が変わったタイミングで一度確認してみましょう。







