自動車保険における等級は、契約者の事故歴に応じて決まります。この等級は、ほかの保険会社に乗り換えても引き継がれます。
また、車の所有期間に空白があっても、中断証明書で過去の契約における等級を引き継ぐことが可能です。それでは、他社への乗り換えで中断証明書を利用することはできるのでしょうか?
この記事では、中断証明書の発行条件と使用条件、自動車保険を他社に乗り換えるメリットについて、詳しく見ていきましょう。
もくじ
契約者の事故歴に応じて保険料が変わる、自動車保険の等級制度
自動車保険の等級制度とは、契約者の事故歴に応じて保険料の割引・割増を適用する制度のこと。自動車保険の等級は20段階に分けられており、数字が大きくなるほど保険料が安くなる仕組みです。
初めて自動車保険に契約する際には、6等級からスタートします(2台目以降の車で一定条件を満たす場合は、セカンドカー割引により7等級からスタートとなる)。
仮に事故を起こした場合、等級は事故内容によって、1等級ダウンまたは3等級ダウンし、無事故であれば1年につき1等級ずつ上がっていき、保険料が安くなる仕組みです。
自動車保険の等級制度の詳細については、下記の記事で紹介しています。ぜひご確認ください。
自動車保険の等級制度とは?無事故で保険料が安くなる!
自動車保険には等級制度というものがあり、保険料を決めるうえで重要な役割を果たしています。事故を起こさない人の保険料が安く、事故を起こした人の保険料が高くなるようになっています。保険料を安く抑えたいので ...
中断した自動車保険の等級を引き継げる中断証明書
自動車保険の中断証明書は、特定の条件で自動車保険を中断(満期で更新しないあるいは解約すること)した場合に、保険会社に申し出ると発行される書類です。中断証明書があれば、廃車や転居に伴う売却・譲渡などによって車の所有期間に空白が生じ、そのあいだ保険契約を中断していたとしても、再契約時に過去の等級を引き継ぐことができます。
なお、中断証明書の有効期間は、中断日翌日から最大10年間です。
中断証明書の発行条件
中断証明書は、これまで契約していた保険会社に、自動車保険を解約する際に申請すれば取得できます。なお、保険会社によって違いがあるものの、中断証明書には下記のような発行条件があるので注意してください。
<中断証明書の主な発行条件>
- 中断する契約の次の等級が7等級以上
- 自動車保険の満期日あるいは解約日から所定期間内に申請
- 満期日あるいは解約日以前に以下のいずれかの事由が発生(海外渡航する場合は除く)
- 契約車両が自動車検査証(車検証)の有効期間満了日を迎えており、継続検査を受けていない
- 契約車両を廃車(永久抹消登録)・売却(譲渡)している、またはリース会社に返還している
- 契約車両が盗難された
- 他の契約の減車等に伴い、契約車両を他の契約に車両入替した
- 災害により契約車両が滅失した
- 転勤などで海外渡航する場合、満期日あるいは解約日が海外渡航日(出国日)の6ヶ月前の日以降である
中断証明書は、保険を解約した後でも、契約していた保険会社へ所定期間内に申請すれば取得できます。中断証明書の発行期間は、中断日翌日から5年以内という会社が最近は多いですが、13ヵ月以内としている保険会社もあります。
その他、中断証明書を発行するための条件が細かく保険会社によって異なる部分がありますので、契約している(していた)保険会社に確認するようにしましょう。
再開時は他社の中断証明書も使える
中断した自動車保険を再開するときに、中断前とは別の保険会社と契約する場合でも中断証明書を使って等級を引き継ぐことができます。他社からの乗り換えだからといって条件が特別に増えることもありません。
もちろん、同じ保険会社で再開させる場合と同様に、中断証明書を使って等級を引き継ぐための条件は満たす必要があります。
<中断証明書の適用条件>
- 新しい契約の始期日が中断証明書の有効期限内であること
- 新しい車の取得から1年以内であること
- 海外渡航による中断の場合、帰国から1年以内であること
- 中断証明書を他の契約で使用していないこと
- 中断前の車の用途・車種と新しい車の用途・車種が同一の区分であること
- 新しい契約の記名被保険者が以下のいずれかであること
- 中断証明書に記載の記名被保険者
- 中断証明書に記載の記名被保険者の配偶者
- 中断証明書に記載の記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
- 新しい契約の車両所有者が以下のいずれかであること
- 中断証明書に記載の車両所有者
- 中断証明書に記載の記名被保険者
- 中断証明書に記載の記名被保険者の配偶者
- 中断証明書に記載の記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
保険会社によって条件が異なる場合もありますので、確実に等級を引き継ぐためには契約予定の保険会社に条件をご確認ください。また、一部共済からは等級を引き継ぐことができないのでご注意ください。
家族が等級を引き継ぐこともできる
上で記載した条件の中で記名被保険者に関する条件がありますが、それを見ると中断前の記名被保険者本人だけでなく、記名被保険者の配偶者や同居の親族も中断証明書を使って等級を引き継ぐことができることが分かります。これは、自動車保険を契約中に等級を引き継ぐ場合と同じです。
父親の中断証明書を使って子どもが等級を引き継ぐ、祖父が免許返納して中断した契約の等級を孫が車に乗るようになったため引き継ぐ、というようなことも可能です。子や孫が高い等級を引き継ぐことができれば、新規契約するよりも保険料を安く抑えることができます。
自動車保険の等級引き継ぎのメリット
自動車保険の等級の引き継ぎによって、過去に積み上げた等級(高い割引率)を引き継いで適用されるため、保険料を安くできるメリットがあります。
自動車保険を新規契約する場合、通常は6等級からのスタートとなり、保険料はどうしても高くなりがちです。しかし、高い等級を引き継ぐことができれば、割引率が高くなり保険料を安く抑えられます。
等級 | 割増引率 |
---|---|
新規6等級 | +3% |
無事故20等級 | -63% |
また、子や孫が車を運転するようになった場合、自分で中断証明書を使わずに子や孫に譲ることも考えられます。例えば祖父が中断していた20等級の契約を、免許を取り立ての同居中の孫へと引き継ぐようなパターンです。事故率が高い10代や20代は自動車保険料も高く設定されていますので、高い割引率の等級を引き継ぐことができれば大きな節約になります。
また、祖父や父がまだ車を運転するという場合、等級を譲った祖父・父は新規契約が必要となりますが、年齢条件やゴールド免許割引などで、孫・子が新規契約するよりも保険料は低めに設定されることになるでしょう。ですから、家計全体で見た場合の金銭的負担を、減らすことができるのです。
自動車保険を他社に乗り換えるメリット
自動車保険を契約する保険会社を乗り換えることで、さまざまなメリットをもたらす場合があります。ここでは、自動車保険を他社に乗り換えるメリットを解説します。
支払う保険料が安くなる傾向がある
自動車保険を他社に乗り換えることで、等級は同じでもこれまでより安い保険料で契約できる可能性があります。これは、保険会社ごとに設定する保険料が異なることが理由です。
特に、代理店型の自動車保険からネット型の自動車保険に乗り換えると、代理店手数料等が不要になるので保険料が安くなる傾向があります。
ただし、どの保険会社の保険料が安いのかを調べるため一社ずつ見積もりを取るのは、手間がかかるのが難点です。手間なく保険料を比較・検討するには、自動車保険の一括見積もりサービスを利用するといいでしょう。
自身のライフスタイルにマッチした補償内容を選べる
自動車保険の他社への乗り換えは、契約者にとって最適な補償内容を得る機会となります。事故相手の治療費や慰謝料などを補償する「対人賠償」や、壊してしまったものを弁償する「対物賠償」といった基本補償は各社で大きな違いはないものの、ロードサービスや特約の内容などは異なります。契約満期日といったタイミングで、現在のライフスタイルにマッチした補償内容を提供している保険会社を選びましょう。
保険会社間の補償内容を比較・検討する場合、自動車保険の一括見積もりサービスの利用がおすすめです。
自動車保険を他社に乗り換える際のデメリット
自動車保険をほかの保険会社へ乗り換えると、不利益が生じる場合もあるので注意が必要です。ここでは、自動車保険を他社に乗り換える際に生じるデメリットについて解説します。
必要な補償が外れる場合もある
自動車保険を他社へ乗り換えたことが原因で、必要な補償が外れるおそれがあるのはデメリットといえるでしょう。これは、保険料の安さだけに着目し、安易に乗り換えてしまうことによるものです。
自動車保険の乗り換えの際には、保険料だけでなく、補償内容をよく比較・検討して選ぶ必要があります。自動車保険の一括見積もりサービスを利用して、しっかりと選びたいところです。
一部の共済では引き継ぎできない
自動車保険の等級は、保険会社間で引き継ぎは可能ではあるものの、一部の共済とは引き継ぎができないので注意が必要です。一部の自動車共済は、自動車保険の等級との互換性がないことがその理由です。
保険会社によって引き継ぎが可能な共済は異なりますので、乗り換えの際に確認しましょう。
自動車保険を他社に乗り換える際には、十分な比較・検討を
自動車保険の等級は、中断証明書を使う場合でも他社へ乗り換える際に引き継ぐことができます。
また、保険会社によって、自動車保険の保険料や提供する補償内容は異なります。他社への乗り換えは保険料が安くなったり、補償内容がよりマッチしたものになったりすることがありますので、自動車保険の契約時には、複数の保険会社に見積もりを依頼して、比較・検討してください。
ただし、各保険会社のウェブサイトで見積もり依頼はできるものの、手間や時間がかかります。そこで、一括見積もりサービスを利用して、手軽に見積もり依頼をしましょう。
自動車保険の保険料を複数の保険会社で比較・検討する際には、インズウェブの「自動車保険一括見積もりサービス」が便利です。複数社の見積もりが一度に取れるので、比較・検討がしやすくなります。ぜひ、インズウェブの「自動車保険一括見積もりサービス」をお試しください。