車を運転する人は、必ず自賠責保険(共済)への加入が必要です。自動車損害賠償保障法の第五条で自動車を走行する際には自賠責保険(共済)の加入が義務づけられています。また、道路運送車両法により車検を受けていない車は公道を走る事ができませんが、自賠責保険(共済)に加入していないと車検を受ける事ができません。そのため、車検に合格して公道を走行するためには自賠責保険(共済)の契約が切れていない状態にしておくことが必要となります。それでは、自賠責保険(共済)の契約が切れないようにするにはどうすればいいのでしょう。また、どのようにしておくと無保険になってしまうようなリスクを避けられるのか確認しておきましょう。
もくじ
自賠責保険(共済)の更新は車検と同時
一般的に自賠責保険(共済)の更新は車検の時に行います。その理由は、車を運転する人は、必ず自賠責保険(共済)への加入が必要で自賠責保険(共済)の契約がないと車検が受けられないという関係性があるからです。そのため、車検時と自賠責保険(共済)の更新は同時に行う事が効率的だと言えるでしょう。
新車、中古車を問わず車を購入した時は、販売店で自賠責保険(共済)に加入します。新しく販売店やディーラーなどから購入する車は購入時点で検査済みの車です。自賠責保険(共済)の保険料は、特別に申し出を行わない限り、自動車の購入代金や自動車税などと一緒に支払います。
通常、車検の案内は車を購入した販売店やディーラーなどからハガキの案内などで車検の有効期限2~3カ月前に知らせを受ける事が多いです。車検の更新通知は国や地方自治体などから自動的に連絡が届くわけではないため自分で注意しておくことが重要となります。自賠責保険(共済)の保険期間や車検の有効期間を意識し車検のタイミングが近いようであれば車検を行う先などについて早めに確認をしておきましょう。
車検先では、車検での整備費用と一緒に自賠責保険(共済)の保険料を支払う事で自動車販売店や自動車整備工場などが手続きを行ってくれます。車検を通った車は、新しい車検証と自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険証)の発行を受けましょう。公道で車を走行する時には、車検証と自動車損害賠償責任保険証明書は、必ず携帯していなければならないとされています。自動車保険の契約などで確認が必要な場合もあるでしょう。確認が必要な時のために自宅にはコピーを保管し、車には常に原本を保管しておくようにしましょう。(自賠責保険証を所持していなかった場合は、30万円以下の罰金です。)
自賠責保険(共済)は、1カ月単位で契約することが可能です。車検期間に合わせて自賠責保険(共済)の保険期間も設定しますが、実際には1カ月長く設定するケースが多いようです。
新車の場合
購入した車が新車の場合、初回の車検は3年後となります。新車購入時から36カ月(3年)が最初の車検期間となります。車検は自賠責保険(共済)の契約がある状態でなければ受ける事ができないため、自賠責保険(共済)の契約は車検期間の36カ月にプラスして1カ月の37カ月が保険期間として設定することが多いようです。
自賠責保険(共済)の保険期間を車検の有効期間より1カ月長く設定しておく理由は、車検を受けている間に整備不良などで時間がかかったり、手続きの遅れなどが生じたりして車検前に自賠責保険(共済)の保険期間が切れてしまうような事態が発生してしまうリスクを避けるためです。
車検の有効期間 | 36カ月(3年) |
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自賠責保険(共済)の保険期間 | 37カ月(3年+1カ月) |
新車以外の場合
新車以外の場合は、初回の車検後の車検期間は24カ月(2年)となります。新車以外の場合も新車の場合と同様に自賠責保険(共済)の契約は車検期間の24カ月に1カ月プラスの25カ月の保険期間に設定することが多いです。
車検の有効期間 | 24カ月(2年) |
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自賠責保険(共済)の保険期間 | 25カ月(2年+1カ月) |
自賠責保険(共済)の保険料例(2023年4月1日以降始期契約)
(本土用、単位:円)
37カ月契約 | 36カ月契約 | 25カ月契約 | 24カ月契約 | ||
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自家用乗用自動車 | 24,190 | 23,690 | 18,160 | 17,650 | |
軽自動車 | 検査対象車 | 24,010 | 23,520 | 18,040 | 17,540 |
※沖縄県、離島などの一部地域については、上記保険料例と異なります。
車検切れになってしまったらどうすればいい?
既に説明している通り、車検が切れている車で道路を走行した場合は、無車検運転となり違反となります。自賠責保険(共済)切れで走行した場合も法令違反です。うっかり車検を受け忘れてしまい車検と一緒に更新していた自賠責保険(共済)の期限も切れてしまうような事がないようにすることが原則です。
無車検運転の罰則と罰金・違反点数
違反点数 | 6点 |
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罰則と罰金 | 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
行政処分 | 免許停止 |
無保険(自賠責保険切れ)運転の罰則と罰金・違反点数
違反点数 | 6点 |
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罰則と罰金 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
行政処分 | 免許停止 |
車検切れの場合は、「自動車臨時運行許可申請」を!
車検のタイミングをうっかり逃してしまったなどの理由により車検が切れてしまっても車検が切れた車は公道を走行することはできず、車検を受けたくても車を運転して車検を受ける施設に走行していくことができません。そのような時は、臨時運行許可を申請しましょう。臨時運行許可は、ナンバープレートが盗難に遭ってしまった車や車検切れの自動車が継続審査を受けるための運行目的・期間・経路を特定したうえあれば特例的に運行を許可し、市町村などが臨時運行許可標(仮ナンバー)を貸し出す制度です。
また、無車検の車で自動車臨時運行許可を受けるためには、臨時運行許可中に有効な自賠責保険が必要になります。自賠責保険の有効期限も切れているようであれば、臨時運行許可中に有効な自賠責保険の加入が必要になります。自賠責保険の加入は自動車保険会社や車の販売店などで申し込む事が可能です。契約している任意の自動車保険会社に相談してみてもよいでしょう。
※臨時運行許可は、単に車検切れの車を運行する目的では許可していません。
車を運搬してもらう方法
車検切れとなってしまった車は公道を走行することができないので、車検を依頼する業者に運搬を依頼するという方法があります。車検切れの車は公道走行の定義に当てはまるためレッカー車で運ぶことができません。車を運搬するためにはセーフティーローダーを持っている業者に相談し運搬が可能か確認してみましょう。
自動車保険の賠償金は自賠責保険(共済)を超えた分です!
自賠責保険(共済)は、自動車事故による被害者を救済するために加害者が負うべき経済的な負担を補てんすることで基本的な対人賠償を確保することを目的とした強制保険です。自賠責保険の加入がなければ公道を走行することはできず、走行中は自賠責保険証を携帯していなければいけません。
うっかり車検のタイミングを逃してしまい、同時に自賠責保険の有効期限も切れてしまっているような時に車を走行して事故を起こしてしまったらどうなるのでしょう。そもそも無車検での走行も自賠責保険切れの無保険での走行も法令違反ですが、自賠責保険(共済)から支払われる賠償金もすべて自己負担しなければいけなくなります。任意で契約する自動車保険の契約があっても任意の自動車保険の補償は自賠責保険(共済)の補償限度額を超えた分です。例えば、被害者が死亡してしまったような事故において、自賠責保険(共済)から支払われる保険金(共済金)は最高で3,000万円です。自賠責保険(共済)の加入がなければ任意の自動車保険の契約があっても3,000万円を自己負担しなければいけません。
このような最悪なケースが起こらないように車を運転する時の法令遵守は基本です。車の車検の有効期間や自賠責保険(共済)の保険期間は十分注意し、日々の車のメンテナンスや交通ルールをしっかり守って走行することを心がけましょう。自動車を運転するという事は事故のリスクがゼロではありません。車検をクリアしたメンテナンスされている車であっても車両トラブルによる事故は起こる可能性があります。自賠責保険(共済)は被害者への最低限の補償として加入が義務付けられている保険です。万が一事故を起こしてしまったときに、相手に十分な補償を行えるように任意の自動車保険でもしっかり備えておくことが大切です。