
車の塗装の色あせは、さまざまな外的要因によって起こります。車の塗装にダメージを負い、本来の艶や光沢を失うと、売却の際に査定への影響が出る可能性があります。塗装面を守るためにも、色あせの原因や日焼けの対策を十分に講じておきたいところです。
この記事では、車の塗装の構造と色あせの原因のほか、日焼けによる色あせの影響と日焼け対策について解説します。
もくじ
車の塗装の構造
車の塗装は、ボディパネルを構成する鋼板の上に塗り重ねられており、主に4層構造になっています。具体的には、下記のとおりです。
| 塗装名 | 内容 | ボディ面 |
|---|---|---|
| トップコート(クリアコート) | 塗装の保護や光沢を出す | 外側 ↑ ↓ 内側 |
| 上塗り(ベースコート) | 目に見える、いわゆる「ボディカラー」の塗装 | |
| 中塗り(サーフェイサー塗装) | 塗装の密着度を高め、色合いを引き立たせる | |
| 下塗り(電着塗装) | 鋼板の錆びを防ぐ |
ベースコート塗装には、色味そのものを表現した「ソリッドカラー」をベースに、アルミフレークを配合した「メタリックカラー」、光を反射・屈折させる鉱物である雲母(マイカ)を配合した「パールカラー」「マイカカラー」など、光の加減で輝いているように見える塗装もあります。
「パールカラー」の種類によっては、上塗りにさらに「パール層」を塗るため、5層構造になることもあります。
車の塗装が色あせする原因
車の塗装は、なぜ色あせするのでしょうか。ここでは、車の塗装が色あせする原因について解説します。
紫外線による日焼け
車の塗装が色あせてしまう主な原因が、紫外線による日焼けです。紫外線は塗装の成分を分解し、劣化させます。これによって、塗装が色あせるのです。
ちなみに、色あせしにくいベースコートの色は、白系や明るい青系の色です。反対に、黒系や黄系のほか、赤系などの塗装は色あせしやすいといえます。
なお、紫外線は最上層であるクリアコートに直接当たるため、塗装表面のつやがなくなったり、ひび割れたりするなどの影響も及ぼします。製造から10年以上経過した車や、ソリッドカラーの車の場合は紫外線で塗装が劣化しやすく、チョークの粉を吹いたような「チョーキング現象」を起こしやすいので注意が必要です。
鳥のフン
車の塗装が色あせする原因として、車に付着した鳥のフンも挙げられるでしょう。
鳥のフンは強い酸性のため、車の塗装面を侵食してしまいます。長い期間放置すると浸食度合いが大きくなり、色あせやシミのほか、クレーター(くぼみ)を発生させるので、早めの除去が求められます。
花粉・黄砂・鉄粉
花粉や黄砂、鉄粉は、車の塗装が色あせする原因になります。
花粉には、タンパク質である「ペクチン」が含まれています。付着した花粉が雨などで濡れることでペクチンが染み出し、車の塗装面にダメージを与えるのです。
また、黄砂に含まれる化学物質や空気中に漂う鉄粉も、塗装面に小さな傷をつくったり侵食したりして、結果的にシミや色あせ、ボディの錆びを発生させます。
水垢
水垢の放置は、車の塗装を色あせさせる原因になります。
水垢には、大きく分けて水性の水垢と、油性の水垢の2種類があります。
水性の水垢は、大気中のほこりやチリがボディに付着・蓄積した状態で、水道水や雨水に濡れたまま蒸発することで発生します。これは「イオンデポジット」と呼ばれ、白いうろこ状になるのが特徴です。
一方、油性の水垢は、カーワックスなどが残ってできるもので、黒っぽい筋状になるのが特徴です。
水垢を放置すると、洗車だけでは落としにくくなるばかりでなく、塗装面に侵食し、色あせやシミなどの原因となります。
日焼けによる車の色あせの影響
日焼けによる車の色あせの影響は、塗装面だけではありません。内装にも影響を及ぼし、革製のシートが劣化するほか、樹脂製のヘッドライトの表面が黄ばんだりくすんだりすることもあります。
このような色あせは、見た目を悪化させ、中古車市場における再販価値の低下につながります。具体的には、車買取業者などの査定金額が低くなるなどの影響を及ぼす可能性があるのです。
ちなみに、日焼けによる車の塗装の色あせは事故による損害ではないため車両保険の補償対象外となっており、加入する自動車保険では対応できないことに注意しましょう。
車の塗装を日焼けによる色あせから守る方法
車の塗装を日焼けさせないためには、いくつかの方法があります。ここでは、車の塗装を日焼けによる色あせから守る方法について解説します。
ボディカバーをかける
車にボディカバーをかけるのは、塗装を日焼けによる色あせから守る有効な方法です。
ボディカバーは屋外の駐車スペースでも車の塗装面を手軽にカバーできるだけでなく、鳥のフンや花粉・黄砂などに対しても効果を発揮します。
ただし、ボディカバーをかける際には、車の塗装面やボディカバーに汚れが付着していないかどうかを確認しましょう。砂や汚れが塗装面やボディカバーに付いている場合、強い風が吹いたときに擦れ、小さな傷が付くおそれがあるからです。また、サイズが合っていないボディカバーも同様の理由でNGです。
カーポートで保管する
車の塗装を日焼けによる色あせから守る方法として、屋根と柱で構成された「カーポート」という駐車スペースで保管する方法があります。屋根があれば、紫外線を防げるだけでなく、雨からも車を守ることができるでしょう。
ただし、ガレージと異なり壁がないカーポートは、強い風による砂やほこりが横から吹き込むことを防げない場合があるので注意してください。また、都市部の住宅事情によっては、カーポートの設置が難しい場合もあります。
カーコーティングを施す
カーコーティングを施すことも、日焼けによる色あせから車の塗装を守る方法のひとつです。
カーコーティングとは、車の塗装面をガラスやポリマー樹脂などの被膜で覆い、保護することです。カーコーティングによって、紫外線などから塗装面を守り、日焼けによる色あせを一定程度予防できるでしょう。また、クリアコートが本来持っている光沢も維持できます。
なお、カーコーティングを施工したとしても、紫外線を完全にカットすることはできない点に注意が必要です。ボディカバーやカーポートとの併用がおすすめといえます。
こまめに洗車する
車の塗装を日焼けによる色あせから守る方法として、こまめに洗車することが挙げられます。
こまめな洗車で鳥のフンや花粉・黄砂などを洗い流すことで、塗装面への浸食を防ぐことが可能です。塗装面に定着しないよう、できる限り早めに洗い流しましょう。
なお、洗車時に水滴がそのまま残っていると、蒸発した際に水垢の発生原因となるため、きれいに拭き取ることを心掛けてください。
日焼けにより色あせした車の塗装を復活させる方法
紫外線による日焼けで車が色あせしてしまった場合、復活させる手立てはないのでしょうか。最後に、日焼けによって色あせした車の塗装を復活させる方法について解説します。
カラーワックスをかける
カルナバ蝋(ろう)を原料としたカラーワックスを塗装面にかけることで、日焼けによって色あせした車の塗装を復活させることができます。カラーワックスとは、通常のカーワックスにカラー顔料や研磨剤が含まれているものです。ボディカラーと完全に同一の色ではなくとも、同じ系統のカラーワックスを使えば問題ありません。
作業は簡単で、カーワックスと同様に、洗車後に塗装面に塗り込んで拭き取るだけです。傷んだ塗装面にカラー顔料が入り込み、色あせたボディを蘇らせてくれます。ただし、カーワックスの持続期間は数週間~数ヶ月間と短いのがデメリットといえるかもしれません。
コンパウンドを使用する
日焼けで色あせした車の塗装を復活させる方法として、コンパウンドを使用することが挙げられます。コンパウンドとは、塗装面の傷んだ部分を研磨剤で削り取る方法です。コンパウンドは屋根やボンネットなど、一部が色あせている場合に適しています。
作業としては、洗車のあと、研磨力の強さを表す「番手」の数字が小さい(研磨粒子が粗い)コンパウンドを使って、徐々に番手の大きなコンパウンドに移行していくようにしてください。なお、ボディ全体にコンパウンドをかける場合、電動ポリッシャーという電動工具を使用すると効率的ですが、DIYでは難しい作業といえます。
再塗装する
車全体の塗装が日焼けで色あせている場合、再塗装は最終手段といえるかもしれません。再塗装によって、車の見た目も良くなり、再販価値も向上する可能性があります。
ただし、車全体の塗装(オールペン)は数十万円単位の費用がかかる点に注意が必要です。車種や塗装の内容によっては、100万円に達する場合もあります。
日焼けによる色あせ対策は万全に行おう
日焼けによる車の塗装の色あせは、自動車保険の車両保険の補償適用外です。そのため、色あせ予防としてボディカバーをかけたり、こまめに洗車したりすることをおすすめします。また、塗装を保護するためにはカーコーティングが効果的です。カーコーティングに関しては、事故で車に損害を被った場合、車両保険で補償できる場合があります。
なお、車両保険の内容は、保険会社によって異なります。複数の保険会社に見積もりを依頼して、比較・検討してください。
難点としては、各保険会社のウェブサイトで見積もり依頼はできるものの、手間や時間がかかること。そこで、自動車保険の一括見積もりサービスを利用して、手軽に見積もりを依頼するのがおすすめです。
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