ディーラーで車を購入すると自動車保険の加入をすすめられることがあります。しかし、自動車保険はディーラー経由で加入する以外にもダイレクト型(ネット型)の自動車保険に自分で入る、専業の保険代理店で加入するなどの選択肢もあります。ディーラーで自動車保険に入る場合、他の経路で入るのと比べてどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
ディーラーで保険に加入するメリット・デメリット
ディーラーで自動車保険に加入する場合のメリット・デメリットを紹介します。
メリット
保険の対応と修理の対応がワンストップ
ディーラー経由で自動車保険に加入した場合、そのディーラーが保険代理店となるので契約の手続きや事故時の手続きをワンストップで行えます。事故を起こしてしまったときに保険の連絡も修理の連絡もディーラーで済ませることができるので、事故という普段とは違う状況下であちこち連絡せずに済むというのはメリットです。
メーカー独自のサービスがついた保険を契約できる
すべてのディーラーで契約できるわけではありませんが、メーカー独自のサービスがついた自動車保険を契約できる場合があります。内容はメーカーによって異なりますが、車両のちょっとした傷について車両保険を使わずに修理費用の補償を受けられるというような内容になっています。保険期間中1回などと限られていますが、自腹を切るか等級が下がっても車両保険を使うかということに悩まされずに済むというのはメリットでしょう。
デメリット
保険料が高い
ディーラーで契約するのは基本的に代理店型の自動車保険なので、ダイレクト型(ネット型)の自動車保険と比べると保険料が高くなることが多いです。また、団体割引もないので職場で団体扱いとなる保険に加入するという場合よりも基本的に高くなります。保険料のことを考えるのであればディーラーでそのまま自動車保険に加入するのではなく、ダイレクト型なども検討してみるとよいでしょう。
担当者が保険に詳しいとは限らない
ディーラーでは担当者が自動車保険について深く理解しているとは限りません。もちろん、中にはとても詳しい方もいますが、多少突っ込んだ質問には答えられないという方もいます。担当者として不勉強な人が当たってしまうと適切な契約ができない可能性もあります。保険の内容についてすべて担当者任せにするのではなく、自分でもしっかりと内容を把握する気持ちで臨むのが大切でしょう。
保険を変更したくなったときに気まずい
ディーラーで自動車保険を契約した場合、ダイレクト型などそのディーラーで取り扱いのない保険会社に変更したくなったときに、保険会社の変更を言い出すのが少し気まずいと感じる方もいるのではないかと思います。対面契約できるというのは契約時にはメリットに感じるかもしれませんが、顔を知っている分、他の保険に変更したいときにはデメリットと感じるかもしれません。
自動車保険会社は変更できます!
代理店型とダイレクト型の違い
ディーラー経由に絞らず、代理店型とダイレクト型の主な違いについてまとめます。どちらにもメリット・デメリットがあるので見比べてより自分に合っている方を選択するとよいでしょう。
代理店型 | ダイレクト型 | |
---|---|---|
加入方法 | 代理店を通して自動車保険に加入する。 代理店担当者と対面で手続きすることが可能。 | ウェブや電話などで保険会社と直接契約する。 |
保険料 | 代理店手数料が必要となり、ダイレクト型と比べて高め。 | 代理店手数料が不要で代理店型よりも安め。 事故リスクが高い層は保険料が高いことも。 |
補償内容の決め方 | 代理店担当者と相談して決めることができる。 知識が少なくても必要な補償内容を確保しやすいが、必要以上の補償内容で保険料が高くなることもある。 | 自分の知識や調べた内容で決めるが、ウェブや電話で分からないことを保険会社に聞くことも可能。 |
事故現場へのかけつけ | 代理店の担当者によっては事故現場にかけつけてくれる。 | 保険会社の担当者が事故現場にかけつけることはない。 一部保険会社では警備会社のかけつけサービスを提供。 |
事故後のやりとり | 保険会社と直接あるいは代理店の担当者を通してやりとりを行う。 | 保険会社と直接やりとりを行う。 |
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保険の代わりに車の値引きや下取り額アップは法律違反
ディーラーで保険に加入すれば手数料が入るのだから、その分購入する車の値引きをしたり下取りに出す車の査定額を上げたりしてくれないか、と思う方もいるかもしれませんが、そうした行為は法律違反であり行うことはできません。
保険業法第三百条第五項において、「保険契約者又は被保険者に対して、保険料の割引、割戻しその他特別の利益の提供を約し、又は提供する行為」が禁止行為として掲げられています。つまり、保険に加入したら車を割引する、下取り額を上げる、金券をプレゼントするといった行為は法律違反となります。
保険会社各社は代理店に向けて特別利益提供の禁止を徹底しているので、(昔はいざ知らず今では)ディーラー側から持ち掛けてくることはないと思いますが、こちらから持ち掛けてディーラーを困らせるということはないようにしましょう。
その場で決めずに一括見積もりを利用しよう
ディーラーで自動車保険に加入すると手続きが楽かもしれませんが、そこが自分にとって最良の自動車保険とは限りません。自動車保険の契約を持ち掛けられてもその場で決めずに一度持ち帰って考えてみるとよいでしょう。特に、保険料についてはダイレクト型の方が基本的に安くなります。
どの自動車保険がよいのか検討する際には自動車保険の一括見積もりサービスを利用するのが便利です。車の情報や運転者の情報、希望する補償内容の情報などを入力することで一度に複数社の自動車保険の見積もりを取ることができます。各社の見積もり結果とディーラーで提示された自動車保険とを比べてどちらが自分に合っているのか考えてみるとよいでしょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。