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対人・対物賠償は保険料よりも保険金額を優先に

投稿日:2018年5月30日 更新日:

自動車保険を契約する際に、保険料の安さだけを優先して肝心の保険金額を必要以上に削ってしまっては、万が一のための備えとして意味がありません。特にメインとなる対人賠償、対物賠償は無制限とするのが基本です。

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対人・対物賠償は無制限が基本

自動車保険の補償内容の中でもメインとなる対人賠償と対物賠償ですが、これらの保険金額は無制限とすることが基本です。以下に対人賠償と対物賠償とに分けてその理由を説明します。

対人賠償保険

対人賠償保険は契約している車の事故で第三者を死傷させた場合に発生する法的賠償責任に対応する保険です。自賠責保険から支払われる保険金額を超過した部分について補償されます。

自賠責保険の補償額は必ずしも十分ではなく、死亡の場合は最高3,000万円、後遺障害の場合は最高4,000万円、ケガの場合は最高120万円となっています。一方で、交通事故で人を死亡させたり、重度の後遺障害を負わせてしまうと、1億円、2億円という高額の賠償金を請求されることも珍しくありません。

もちろん、人の命や健康な身体はお金では元に戻りませんが、十分な償いができなければ、被害者側にそれ以上に苦痛を与えてしまうことになります。そのため、対人賠償保険をかけるときは、「無制限」とするのが基本です。

実際に、自動車保険において対人賠償保険を「無制限」でかける車は全体の99.6%、自家用普通乗用車に限ると99.9%と圧倒的に高くなっています。また、そもそも無制限以外を選択できないことがほとんどです。対人無制限での加入は、今やドライバーの常識と言えるでしょう。

出典:損害保険料率算出機構「2023年度_自動車保険の概況」

参考:交通事故高額賠償判決例(人身事故)

認定総損害額判決日裁判所被害者性別被害者年齢被害者職業
5億2,853万円2011/11/01横浜地裁男性41歳眼科開業医
4億5,381万円2016/03/30札幌地裁男性30歳公務員
4億5,375万円2017/07/18横浜地裁男性50歳コンサルタント
4億5,063万円2021/08/26札幌地裁男性19歳大学生
4億3,961万円2016/12/06鹿児島地裁女性58歳専門学校教諭
3億9,725万円2011/12/27横浜地裁男性21歳大学生
3億9,510万円2011/02/18名古屋地裁男性20歳大学生
3億9,095万円2017/03/30神戸地裁男性32歳ティーチングアシスタント
3億8,281万円2005/05/17名古屋地裁男性29歳会社員
3億7,886万円2007/04/10大阪地裁男性23歳会社員

出典:損害保険料率算出機構「2023年度_自動車保険の概況」

対物賠償保険

対物賠償保険は被保険者の事故で、第三者の車両や家や塀、ガードレールなどを壊した場合に発生する法的賠償責任に対応する保険です。

相手の車の損害に対する賠償のみであれば対物賠償を無制限とまでにする必要はないかもしれません。しかし、賠償責任を負う可能性のある損害は車に対してのもののみではありません。近くの店舗に突っ込んでしまい、商品の賠償や休業補償が生じた場合や踏切内で電車に衝突した場合などでは1億円以上の損害賠償が認定されるような裁判の判例が出ています。

保険の自由化前までは対物賠償は1000万円が当たり前のような時代がありましたが、自動車事故による高額な損害認定事案の増加に伴い、対物の無制限加入も一般的なものとなってきました。2022年度のデータでは、新契約台数全体の96.3%、自家用普通乗用車に限ると98.8%が対物賠償を無制限としています。

出典:損害保険料率算出機構「2023年度_自動車保険の概況」

参考:交通事故高額賠償判決例(物件事故)

認定総損害額判決日裁判所損害物
2億6,135万円1994/07/19神戸地裁車の積荷(呉服・洋服・毛皮)
1億3,450万円1996/07/17東京地裁パチンコ店
1億2,036万円1980/07/18福岡地裁電車・線路・家屋
1億1,798万円2011/12/07大阪地裁トレーラー
1億1,347万円1998/10/26千葉地裁電車
6,124万円2000/06/27岡山地裁積荷
4,141万円2008/05/14大阪地裁積荷
3,391万円2004/01/16名古屋地裁大型貨物車・積荷
3,156万円2001/12/25東京地裁4階建ビル
3,052万円2001/08/28東京地裁サーフショップ

出典:損害保険料率算出機構「2023年度_自動車保険の概況」

弊サイト利用者から、以下のような声もよせられていました。

電車や踏切内の事故等で保険金支払い額以上の請求があった事例を聞き、驚きました。 身近での事例だったので、今回無制限にしましたが、意外と保険料の差額が少額でした。

(58歳 女性 公務員)

今後の補償内容決定において、ぜひ参考にしてください。

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