10代・20代は交通事故を起こしやすいという統計データがあります。年齢条件を設定して事故を起こしやすい年代の人を保険の補償範囲から外せば保険料を安く抑えることができるのですが、その設定方法には少し間違いやすい点があります。
リスクを反映した年齢による保険料の差
下記は、令和5年の原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別免許保有者10万人当たり交通事故件数です。10代、20代前半の10万人当たり交通事故件数が多く、そこから徐々に件数が下がり、60歳以上で上昇に転じていることが分かります。令和5年度のデータになりますが、毎年同じようなグラフとなっています。
令和5年の原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別免許保有者10万人当たり交通事故件数
年齢 | 16~19歳 | 20~24歳 | 25~29歳 | 30~34歳 | 35~39歳 | 40~44歳 | 45~49歳 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
件数 | 1025.3 | 589.5 | 418.6 | 333.9 | 294.9 | 285.4 | 293.1 |
50~54歳 | 55~59歳 | 60~64歳 | 65~69歳 | 70~74歳 | 75~79歳 | 80~84歳 | 85歳以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
303.5 | 304.7 | 313.3 | 312.7 | 345.5 | 387.9 | 432.6 | 519.9 |
警察庁 交通事故の発生状況 より
このような、「年齢」による危険度の違いを保険料に反映させたのが、自家用5車種(自家用普通乗用車、自家用小型乗用車、自家用軽四輪乗用車、自家用軽四輪貨物車、自家用小型貨物車)に適用される年齢条件です。各保険会社によって違いがありますが、概ね以下の通りになっております。保険会社によっては35歳以上補償が存在しない場合もあります。
- 全年齢補償
- 21歳以上補償
- 26歳以上補償
- 30歳以上補償
- 35歳以上補償
全年齢補償が一番保険料が高く、年齢条件が高くなるほど保険料が安くなります。統計から事故の危険性が大きいと考えられる10代や20代を除くことができるからです。
また、年齢条件による保険料の節約についてではありませんが、保険会社によっては、高齢者の事故による保険金の支払が多くなっていることから、主な運転者の年齢が60歳以上の場合、特に70歳以上の場合に保険料を高くするところも出てきてるようです。
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年齢条件の対象となる範囲に注意
年齢条件は車を運転する人の中で一番年齢が若い人に合わせると思いがちですが、年齢条件の対象となるのは記名被保険者(主に車を運転する人)と配偶者および同居の親族のみです。別居している子供や年下の友人が車に乗る場合があるという場合については、年齢条件を満たしていなくても補償の対象となります。ただし、運転者限定特約を付けている場合はその範囲内に限ります。
ケーススタディ
- 家族構成
- 主な運転者:Aさん(50歳)、妻(48歳)、長男(26歳)の3人暮らし
- 次男(24歳)は別居で未婚
Aさん、妻、長男、次男の4人ともを補償の対象とする場合に適切な運転者限定と年齢条件は何でしょうか?車を運転する人はこの4人のみとして考えてください。
正解は、運転者限定は家族限定(存在しない保険会社の場合は限定なし)、年齢条件は26歳以上補償とすることです。
別居で未婚の次男は家族限定の範囲には入りますが、別居しているので年齢条件の対象には含まれません。そのため、年齢条件を26歳以上としていても24歳の次男も補償の対象となるのです。
仮に、20歳の三男もいて同居していた場合には、年齢条件を全年齢対象としないと三男が車を運転した場合に補償の対象とはなりません。
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年齢条件を変更すべきタイミング
年齢条件は高いほど保険料を安くすることができます。以下の年齢条件を変更すべきタイミングでは年齢条件の見直しを行うようにしましょう。
車に乗る一番若い人の誕生日
車に乗る一番若い人が、21歳、26歳、30歳の年齢条件の境目となる年齢を超えた時には年齢条件の見直しを行いましょう。
特に10代~20前半の保険料は高いので、年齢条件を厳しくしても補償の対象となる年齢を迎えたのなら早めに保険会社に連絡しましょう。
同じ車を運転していた子供が独立したとき
年齢条件は同居の親族が対象なので、子供が別居となる場合は年齢条件による制限に含まれなくなります。そのため、他に運転する人が年齢条件に引っかからない場合は、子供の別居と合わせて年齢条件の区分を変更することができます。
なお、保険料が安くなる場合だけでなく、子供が免許を取り車に乗るようになった、子供が就職のために実家に戻ってきたという場合にはその子供の年齢に合わせて年齢条件を下げる必要があります。この場合、保険料が高くなりますが、年齢条件を変更しないと子供が車を運転しても補償の対象となりません。
保険会社は一人一人の契約者が年齢条件を変更すべきタイミングを感知しているわけではありません。保険料を少しでも安くするため、あるいは補償対象に漏れがないようにするために、年齢条件を変えるべきタイミングでは忘れずに申告するようにしましょう。
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