生命保険では1人の人に対して死亡保障を複数の保険会社で重複してかけたり、家族で別々の保険会社の死亡保障をかけたりすることができます。それでは自動車保険では同一車両に複数の自動車保険をかけたり家族で所有する複数の車両に別々の保険会社の自動車保険をかけたりすることはできるのでしょうか。
同一車両に重複して契約することはできない
生命保険では1人の人に複数の保険をかけることができますが、自動車保険では1台の車にかけられる保険は1つのみです。保険会社間で契約情報の共有が行われており、重複して契約することはできないようになっています。重複して契約した場合は保険の始期日が先の方が有効となり、始期日が遅い方は無効となります。保険会社間で情報を共有するのに2,3か月かかることがあるので申し込み自体はできてしまうのですが、申し込めても無効となるので何もメリットはありません。
また、無効となるので意味のない仮定ですが、重複契約ができても自動車保険をはじめとした損害保険は損害の穴埋めのためのものであり、損害額以上の保険金は支払われません。焼け太りができないようになっているのです。
2台目の車は別の保険会社でもOK
家族であるいは1人で複数台の車を持っているという場合、2台目以降の車も1台目と同じ保険会社としなければならないということはありません。別々の保険会社でも大丈夫です。同じ保険会社にした方が良いか、別々の保険会社にした方が良いかはその人・車の条件次第です。同じ保険会社に複数台契約すると割引を受けられたりキャンペーンの適用を受けられたりする会社もありますが、別の保険会社の保険料がその割引額以上に安くなる可能性もあります。一括見積もりサービスなどを利用して複数の保険会社の保険料を比較してみるのが良いでしょう。
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2台目の自動車保険は別の会社でも大丈夫?
一人や家族で2台以上の車を持っている場合、2台目以降の車は条件を満たせばセカンドカー割引で7等級からスタートできます。セカンドカー割引の適用を受けるには2台目の車の自動車保険は1台目と同じである必要は ...
セカンドカー割引は別会社でも大丈夫
家族で2台目(3台目以降でも可)の車に初めて自動車保険をかける場合、所定の条件を満たせばセカンドカー割引が適用されて通常6等級からのところ7等級から契約を開始することができます。セカンドカー割引の適用を受けるにはすでに保有している車と新しく契約する車のそれぞれで条件を満たす必要があります。
1台目の車の条件
※すでに複数台の車を保有している場合、保有している車のうち1台が以下の条件を満たす必要があります。
- 1台目の車の等級が11等級以上であること ※1
- 1台目の車の用途・車種が自家用8車種であること ※2
- 1台目の車の所有者が個人であること ※3
- 1台目の車の自動車保険の記名被保険者が個人であること
2台目の車の条件
※3台目以降の場合は2台目を新しく契約する車と読み替えてください。
- 2台目の車が今回初めて自動車保険を契約する車であること
- 2台目の車の用途・車種が自家用8車種であること ※2
- 2台目の車の所有者が個人で、以下のいずれかであること
- 1台目の契約の記名被保険者かその配偶者
- 1.の同居の親族 ※4
- 1台目の車の所有者
- 2台目の車の記名被保険者が個人で、以下のいずれかであること
- 1台目の契約の記名被保険者かその配偶者
- 1.の同居の親族 ※4
※1 1台目の契約が1年を超える長期契約の場合、1台目の契約の保険始期日時点での等級で11等級以上である必要があります。
※2 自家用8車種とは、以下の用途・車種の車のことです。
自家用普通乗用車・自家用小型乗用車・自家用軽四輪乗用車・自家用小型貨物車・自家用軽四輪貨物車・自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)・自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下)・特種用途自動車(キャンピング車)
※3 所有者がディーラー・ローン会社・リース業者(1年以上のリース)の場合には、車検証記載の使用者を所有者とみなします。
※4 親族とは6親等以内の血族および3親等以内の姻族のことをいいます。
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家族で複数台の車を持つ場合は補償の重複に注意
家族で複数台の車を持つという場合はそれぞれの車でかける自動車保険間の補償の重複に注意が必要です。補償の重複があるとその分の保険料を無駄に払うことになります。重複の可能性が大きい補償内容としては、人身傷害保険、個人賠償責任特約、弁護士費用特約、ファミリーバイク特約などがあります。これらの補償は補償範囲に同居する親族も含まれており、複数台の車にそれぞれ補償をつけると補償が重複してしまいます。また、補償が重複していても保険金を2倍3倍と受け取れるわけではないのでその分の保険料が無駄となってしまいます。
人身傷害保険は「契約車両に搭乗中のみ補償するタイプ」と「他人の車に搭乗中や歩行中の自動車事故も補償するタイプ」の2種類用意されていることが多く、後者の補償範囲が広いタイプを複数台の契約に付けていると補償内容が重複します。補償範囲が広いタイプはどれか1台にし、他の契約では契約車両に搭乗中のみ補償するタイプで契約すれば補償の重複を解消することができます。
個人賠償責任特約、弁護士費用特約、ファミリーバイク特約についてはどれか1台の自動車保険契約のみに付けて他の契約では付けないことで重複を防ぐことができます。なお、個人賠償責任特約は火災保険など自動車保険以外の保険で契約していることもあります。その場合でも重複しては受け取れないのでどれか1つを残すようにしましょう。
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補償の重複を解消して自動車保険料を安くしよう
家族内で複数の車を所有している場合、自動車保険の補償内容の重複が起こりやすくなります。また、自動車保険以外の保険と補償内容が重複することもあります。補償内容が重複しているとその分の保険料が無駄となって ...
まとめ
自動車保険は生命保険とは違い、1つの車両で複数の自動車保険に加入するということはできません。複数台の車両を持っていてそのそれぞれで別の保険に加入するということは可能です。このとき、同じ保険会社にするのと別々の保険会社にするのとでどちらが得かはその人や車の条件にもよります。一括見積もりサイトなどを利用して保険料を比較してみるとよいでしょう。また、複数台所有している場合は補償の重複に注意して無駄な保険料を払わないようにしましょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。