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自動車保険の弁護士費用特約は必要?どんな場合に役に立つ?

投稿日:2020年5月18日 更新日:

自動車保険には様々な特約が用意されていますが、その中の一つに弁護士費用特約があります。弁護士費用特約は知名度は高い方の特約ですが、なかなか弁護士に依頼するという場面も想像が難しいのではないでしょうか。弁護士費用特約がどのような場面で役に立つのか紹介します。

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弁護士費用特約とは

弁護士費用特約とは、自動車に関する被害事故などで相手方に損害賠償請求をするため弁護士に委任したり相談したりした場合の費用について補償する特約です。弁護士に委任する場合の弁護士報酬や訴訟費用などは1事故1被保険者につき300万円まで、相談費用は同10万円までとなっているのが一般的です。なお、事前に保険会社に承認を得る必要があります。

弁護士費用特約の種類

自動車保険の弁護士費用特約では自動車事故に関する弁護士費用・相談費用のみ補償の対象となる保険会社と自動車事故に限らず犬にかまれた場合や自転車同士の事故の場合などの日常生活での事故の解決にも使えるタイプも選択できる保険会社があります。補償範囲が広くなれば保険料も高くなるので日常生活の事故も含めるか選択できる場合は使う場面があるのか考えて選択しましょう。

【補償のタイプと補償の範囲】

弁護士費用特約のタイプ自動車事故で被害者となった場合自動車事故以外の日常事故で被害者となった場合
自動車事故のみ×
自動車+日常事故
弁護士特約を使っても「等級」に影響はない
弁護士費用特約のみを使っても翌年度の等級には影響がなく等級は下がりません。
ほかに等級の下がる補償を利用していなければ、弁護士費用特約のみを使っても翌年度は1等級上がることになります。

弁護士費用特約はどんな場合に役に立つ?

弁護士費用特約がどのような場合に役に立つのか紹介します。

もらい事故の被害にあったとき

弁護士費用特約が役に立つ場面としてよく紹介されるのがもらい事故にあった時です。自分には過失がないもらい事故の場合、自分が契約する保険会社は事故相手との示談交渉を行うことができません。

保険会社が示談交渉できない理由としては弁護士法の絡みがあります。もらい事故の場合だと、被害者側に事故相手への損害賠償責任が発生しないので保険会社は事故とは無関係の立場になります。この場合、事故相手との示談交渉という法律事務を行うと弁護士法第72条(非弁活動の禁止)に違反することとなってしまいます。ゆえに、もらい事故の場合は保険会社は示談交渉できないのです。

したがって、もらい事故の場合は事故相手との示談交渉は自分自身で行うか、弁護士に委任して示談交渉をしてもらうかする必要があるのです。示談交渉を自分でできるのであれば問題ありませんが、素人が加害者側(多くの場合は加害者が加入している保険会社)と示談交渉するのは骨が折れますし丸め込まれてしまう可能性もあります。また、弁護士への相談や委任は弁護士費用特約がなくてもできますが、高額な弁護士費用を自費で払う必要があります。

もらい事故の場合は弁護士費用特約に加入していると話がこじれてしまった時も安心できるでしょう。

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相手が無保険で交渉に応じる気がないとき

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相手が任意保険に加入していない場合、弁護士に依頼しなければともに素人同士の交渉となることが考えられます。そのような場で、相手が過失を認めようとしなかったり想定される水準よりはるかに低い賠償額を示してきたりすることも考えられます。こうした場合には、弁護士に依頼することで自分の手間をなるべく省き、また、面倒になって折れてしまうということも少なくなります。

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弁護士費用特約の注意点

利用するのに保険会社の事前承認が必要

弁護士等に委任する費用について、弁護士費用特約を使うのには保険会社に事前に申し出て承認を得る必要があります。できるだけ早く交渉を進めたいという気持ちはあると思いますが、余計な費用負担をしたくないのであればきちんと事前に承諾を得ましょう。

家族で補償が重複する可能性がある

家族で複数台の車を持っているという場合、すべての車に弁護士費用特約を付けると補償内容が重複して保険料の無駄払いとなってしまいます。弁護士費用特約は記名被保険者(主な運転者)に加えて、配偶者、同居親族、別居の未婚の子も補償の対象となります。つまりは家族で複数の車を持っている場合にはどれか1台に弁護士費用特約を付ければ十分なのです。複数の契約があっても多くの保険金が受け取れるわけではないので、どれか1台の契約に残して他は解約するのが良いでしょう。

※車両保有者や契約車両搭乗者への補償など完全に重複しているわけではない部分もあります。

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自動車にかかわらない事故は対象外となることも多い

自動車保険の弁護士費用特約は、多くの場合、自動車に関する事故のみを補償の対象としています。自転車同士の事故の場合や歩いていて自転車にぶつかられた場合、その他日常生活上の事故については補償対象とならないことが多いです。しかし、最近では補償範囲を日常生活の事故にまで広げたタイプの弁護士費用特約を付けられる保険会社もあります。→補償のタイプと補償範囲を確認

事故後に契約しても使えない

事故の被害を受けた後に弁護士費用特約を契約してその事故についての弁護士費用の補償を受けるということはできません。話がこじれて面倒になった、あるいは弁護士費用が想像していたより高額だったとしても、契約前の事故について補償は受けられません。家族で弁護士費用特約を契約している人がいればそちらを使うことができるので、弁護士費用特約を使いたいけど自分では契約していないという場合はまずは家族で契約していないか確認してみましょう。また、火災保険やクレジットカードの特約で契約できる場合もあるので、自動車保険だけでなくそちらの契約についても確認してみましょう。

弁護士費用特約はあると安心できる

もらい事故の場合、自分が契約している保険会社は相手との示談交渉を行うことはできません。自分で示談交渉ができるのであればよいですが、そうでないのならば弁護士費用特約があると安心です。また、自分で示談交渉できる自信があったとしても、示談交渉を自分で行うのは大変です。もらい事故は自分がいくら気を付けていても相手側の不注意で起こってしまうものです。万が一に備えて弁護士費用特約の契約があると安心できるでしょう。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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