車の燃料タンク内のガソリン残量が不足すると、オレンジ色のランプが点くのを見たことはありませんか。このガソリンランプが点いた場合、残り何km走ることができるのか、気になる人も多いのではないでしょうか。また、もしガソリンが底をついてガス欠（燃料切れ）になった場合に、どのように対処したらいいのか不安に感じる人もいるかもしれません。

この記事では、ガソリンランプが点いた場合にあと何km走れるのか、点いた場合の対処法や注意点、ガス欠時の解決法について解説します。

ガソリンの残量不足を知らせるガソリンランプとは？

車のガソリンランプは給油ランプとも呼ばれますが、正式には「燃料残量警告灯（エンプティランプ）」といいます。これは、燃料タンク内にあるガソリンなどの燃料が一定量を下回った際に作動するランプです。ガソリンランプはメーターパネル内に設置されており、アイコンは、給油所の給油機をモチーフにしたものとなっています。

このガソリンランプが点くタイミングは、自動車メーカーや車種ごとに異なり、一般的には燃料タンク容量の10～15％になったときに作動する仕組みです。例えば、50Lの燃料タンクを搭載する普通乗用車の場合、残り5L程度でガソリンランプが作動する計算になります。

ちなみに、ガソリンランプの表示方法としては「点灯」と「点滅」の2パターンが存在します。こちらもメーカーや車種によって異なるものの、点灯パターンが一般的です。ただし、残量が少なくなると点滅したり、燃料計の異常がある場合に点滅したりする車種もあるので、注意してください。

ガソリンランプが点いてから何km走れる？

ガソリンランプが点いた場合、一般的な走行可能距離は、50km程度とされています。燃費は「走行距離÷ガソリン給油量」で表せられるので、燃費が10km/Lの大型SUVの場合は、燃料タンクのガソリン残量が5Lだと、走行可能距離は50kmという計算になります。
一方で、燃費が20km/Lのエコカーや軽自動車の場合、5Lの燃料が残されていれば、残り100kmの走行が可能です。

ただし、どれぐらいの距離を走行できるのかは、車種や燃費のほか、道路状況などによって変わります。例えば、坂道を走行していて車体が傾いている場合、ガソリンが燃料タンク内で移動して偏ることによって、ガソリンランプが点くこともあるからです。

また、搭乗者数や荷物の積載量が多かったり、渋滞に巻き込まれて停止と走行を繰り返していたりする場合は燃費が悪化するため、走行距離が短くなる点に注意が必要です。

ガソリンランプが点いた場合の対処法

ガソリンランプが点いた場合、いくつかの方法で安全に対処できるでしょう。ここでは、ガソリンランプが点いた場合の対処法について解説します。

急加速・急減速はできる限り避ける

ガソリンランプが点いた際、対処法として急加速・急減速をできる限り避けることが挙げられます。急激なアクセルワークは大量のガソリンを消費させるため、なるべく穏やかに運転することが大切です。

急加速を避けるためには、アクセルペダルをゆっくりと踏み込み、エンジン回転数を急激に上げないようにします。車の発進時は特に注意が必要です。丁寧なペダル操作を心掛けましょう。

急減速を避けるには前方の交通状況をよく観察し、十分な車間距離を保つようにしてください。急にブレーキをかけて速度を落とすと、その後の再加速にも無駄なガソリンを使うことになります。

エアコンのスイッチをオフにする

エアコンのスイッチをオフにすることも、ガソリンランプが点くような緊急時に燃料を節約できる方法です。エアコンを稼働させると、コンプレッサーを作動させるためにエンジンの負荷が増え、結果として燃費は悪化しがちです。

そもそも、車のカタログ燃費（WLTCモード）の測定は、エアコンをオフにした状態で行われています。一般社団法人日本自動車工業会（JAMA）が発行した「気になる乗用車の燃費」（2020年3月）によれば、エアコンのスイッチ「A/C」をオンにしていた場合、燃費は1割以悪化するとされています。

ですから、ガソリンランプが点いた際には、できる限りエアコンをオフにしましょう。なお、夏場や冬場にエアコンをオフにすると、車内の快適性が大きく損なわれ、集中力が低下する可能性もあります。ガソリン残量と給油所までの距離で総合的に判断し、エアコンを使用するようにしてください。

市街地などではEVモードで走行する

ハイブリッド車（HEV）やプラグインハイブリッド車（PHEV）の場合、「EVモード」を活用すれば、ガソリン消費を抑えることができます。EVモードとは、電気自動車のように駆動用バッテリーから供給される電力を使い、モーターのみで走行するモードのことです。

ただし、EVモードは駆動用バッテリーの充電残量が低下したり車速を上げたりしたときのほか、道路状況やアクセルペダルの踏み込み量などによって自動的に解除されることもあります。そのため、長距離移動や高速走行に適しているとはいえません。それでも、市街地の低速走行時などでは積極的にEVモードを活用し、ガソリンの消費量を最小限に抑えましょう。

エンジンブレーキを多用して減速する

エンジンブレーキを多用することで燃料消費を抑えられるので、ガソリンランプが点いたときの対処法として覚えておくことをおすすめします。エンジンブレーキとは、エンジンの回転数低下を利用して車を減速させる方法です。

車は通常、アクセルペダルを踏むことでエンジンに燃料が供給されます。一方で、減速する際にアクセルペダルから足を離し、エンジンブレーキを使うことで、エンジンへの燃料供給がカットされる「フューエルカット」機能が作動します。これによってガソリンを使わずに惰力で走れるので、結果として走行距離を伸ばすことができるのです。

車の燃費は、一定速度を維持して走ることで向上します。エンジンの回転数を低く保ち、減速時にはエンジンブレーキを多用すれば、たとえガソリンランプが点いても、給油所まで安全にたどり着ける可能性が高まるでしょう。

高速道路でガソリンランプが点いた場合の注意点

高速道路で走行中にガソリンランプが点いた場合、いくつか気をつけたいことがあります。ここでは、高速道路でガソリンランプが点いた際の注意点について解説します。

高速道路では大きなリスクが伴う

高速道路でガソリンランプが点いた場合には、特に注意が必要です。なぜなら、高速道路上でガス欠を起こして停車してしまうと「高速自動車国道等運転者遵守事項違反」となるからです。普通車の場合、9,000円の反則金が科されるとともに、違反点数2点が加算されます。

そのため、ガソリンランプが点いた場合にはすみやかな給油が必要ですが、高速道路上の給油所の設置間隔にも注意しなければなりません。パーキングエリア（PA）は15kmごと、サービスエリア（SA）は50kmごとに設置されていますが、地域によってはそれ以上の距離が離れている区間も存在するうえ、すべてのPA・SAに給油所があるわけではないからです。100km以上も給油所が存在しない区間も数多くあり、中には150km以上給油所が存在しない区間もあります。

そのため、ガソリンランプが点いた時点で次のPA・SAまでの距離を必ず確認し、燃料が持たないと判断した場合は、最寄りのインターチェンジで高速道路を降りて給油するようにしましょう。

給油所の営業時間が限定されている場合がある

高速道路においては、給油所の営業時間に気をつけてください。特に深夜や早朝といった時間帯に走行している場合には、営業時間外となっている場合があります。

近年は人手不足とエコカー普及による需要減少に伴い、地方部ではセルフ式にもかかわらず、営業時間が7：00～19：00や8：00～20：00などに限定される給油所もあるので注意が必要です。

ガス欠になった場合の解決法

走行中にガソリンランプが点いたものの近くに給油所が見当たらず、結果としてガス欠になった場合は、どのように解決したらいいのでしょうか。
ここでは、ガス欠になった場合の解決法について解説します。

JAFに連絡する

ガス欠になった場合は、JAF（一般社団法人 日本自動車連盟）に連絡して、救援要請するのが一般的です。JAFのロードサービスは、JAF会員であれば無料で何度でも利用可能です。もしガス欠になった場合は、ガソリンを持って駆けつけてくれ、給油してくれます。JAF会員の場合、燃料代のみの実費負担です。

JAFに入会していない場合は、3万2,610円（2025年6月時点、サービスカー通行料・燃料代が別途必要）を負担することになります。なお、JAFの「ロードサービス 主な出動理由TOP10 2023年度 年間（四輪）」によれば、一般道路・高速道路でJAFが出動したトラブルのうち、「燃料切れ」は約4万6,000件も発生しているので注意してください。

自動車保険のロードサービスを呼ぶ

加入する自動車保険に付帯するロードサービスでも、ガス欠などのトラブルを解決するのに役立ちます。ロードサービスはほとんどの保険会社で自動付帯されています。

ただし、ロードサービスの内容は保険会社によって異なるので、注意が必要です。また、ガス欠時のガソリン配達と給油サービスが無料で受けられることが多いものの、基本的には保険期間中に1回までと決まっています。ガソリン代が有料となる場合もあるので注意しましょう。

ロードサービスの詳細については、下記の記事で紹介しています。ぜひご確認ください。

近くの給油所で携行缶を借りる

一般道でガス欠を起こした場合、近くにある給油所でガソリンの入った携行缶を借りて給油するのも、解決方法のひとつです。デポジット（預かり金）を支払うことで、少量のガソリンが入った携行缶をスタッフから受け取れるでしょう。

ただし、ガソリン携行缶の貸し出しは、すべての給油所で対応しているわけではない点に注意してください。危険物であるガソリンが入った携行缶の貸し出しについては、2020年の法令改正によって、本人確認と使用目的の確認を行うとともに、販売記録の作成が義務付けられました。この法令改正に伴い、ガソリン携行缶の貸し出し対応をする給油所は減少しています。

自動車保険のロードサービスは比較・検討して選ぼう

車種などによるものの、ガソリンランプが点いてからも50km程度は走ることが可能です。しかし、高速道路によっては給油所の間隔が150kmを超える場合もあるため、注意してください。万が一、高速道路でガス欠になった場合には、JAFや自動車保険のロードサービスに救援を依頼しましょう。

なお、自動車保険のロードサービスの内容は、保険会社によって異なります。自身に合ったロードサービスを探すには、複数の保険会社に見積もりを依頼して、比較・検討してください。
難点としては、各保険会社のウェブサイトで見積もり依頼はできるものの、手間や時間がかかること。そこで、自動車保険の一括見積もりサービスを利用して、手軽に見積もりを依頼するのがおすすめです。

自動車保険の保険料を複数の保険会社で比較・検討する際には、インズウェブの「自動車保険一括見積もりサービス」が便利です。複数社の見積もりを一度に取れるので、比較・検討がしやすくなります。
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