1日だけあるいは数日だけ友人や実家の車を借りて運転したいというときに便利なのが1日自動車保険です。ここ数年で多く名前を聞くようになってきましたが、どのような保険なのでしょうか。1日自動車保険の基礎知識について紹介します。

1日自動車保険とは

1日自動車保険とは、その名の通り1日（24時間）単位で加入することができる自動車保険です。友人・知人の車を借りて運転するという場合や実家の帰省時に親の車を借りて運転するという場合など他の人の車を借りて運転する際に加入できます。

友人や親などに車を借りて運転する場合、友人や親の自動車保険に運転者の範囲を限定する特約が付いていたら事故を起こしても補償を受けられないかもしれません。また、仮に補償範囲に入っていたとしても事故を起こして保険を使うと等級が下がって翌年度の保険料が高くなってしまいます。

車を借りて運転する場合に、車の所有者に迷惑をかけないよう24時間単位で自動車保険に加入できるというのが1日自動車保険の魅力です。

どんな車が対象？

1日自動車保険に加入できる車には条件があります。1日自動車保険に加入できるのは、自分や配偶者以外が所有する自家用普通乗用車・自家用小型乗用車・自家用軽四輪乗用車です。ナンバープレートでいうと、3・5・7ナンバーで、かつ、ナンバープレートが「白地に緑文字」または「黄地に黒文字」です。

他人名義であっても自分や配偶者が実態として所有している場合やレンタカーなどは対象外となるので注意が必要です。また、一部の外車やスポーツカーについても対象外となっています。法人所有の車についても一律で対象外としていたり、対象となる場合でも一定の条件を満たしている必要があったりするのでご注意ください。

どこで申し込める？

1日自動車保険はスマートフォンやコンビニ（セブンイレブン、ローソン、ミニストップ、ファミリーマート）で申し込むことができます。保険会社によってはスマホからの手続きはキャリア決済が使えるドコモ、au、Softbank、Y!mobile、UQ mobileのスマホからのみ申し込めるとしているところもあります。また、コンビニによって申し込める保険会社が異なりますので注意しましょう。

1日自動車保険の補償内容は？

1日自動車保険はスマホやコンビニで1日単位で申し込める手軽さがよいところですが、補償内容が不十分であれば加入する意味はありませんよね。1日自動車保険にはどのような補償内容があるのか紹介します。

対人賠償責任保険

借りた車を運転中の事故で他人にケガをさせたり死亡させてしまったりして法律上の損害賠償責任を負った場合に、自賠責保険等で支払われる部分を除いて保険金が支払われます。保険金額（保険金が支払われる上限額）は各社とも無制限となっています。死亡させたり後遺障害を負わせたりしてしまった場合は1億円を超える賠償を請求されることもあり、非常に重要な補償です。

対物賠償責任保険

借りた車を運転中の事故で車や塀、ガードレールなど他人の財物に損害を与えたり、借りた車が線路に立ち入って電車等を運行不能にしたりして法律上の損害賠償責任を負った場合に、保険金が支払われます。保険金額は各社とも無制限です。ただし、申し込むプランによっては事故時に5万円の自己負担が必要な場合があります。店舗に突っ込んでしまった場合や電車を止めてしまった場合などは非常に高額な賠償を請求されることもあり、対人賠償とあわせて重要な補償内容です。

対物超過修理費用特約

対物賠償責任保険で保険金の支払対象となる事故で相手の車に時価額を超える修理費が発生し、その差額を実際に負担した場合に、50万円を限度として「差額×過失割合」の金額の保険金を支払います。法律上の賠償責任は時価額までしかありませんが、事故相手ともめるのを避けるためにもあると便利な特約です。

搭乗者傷害特約

借りた車を運転中の事故により、乗車中の方が死傷した場合にあらかじめ決められた金額が保険金として支払われます。支払われる保険金はケガの程度や死亡・後遺障害に至るかによって異なります。

自損事故傷害特約

借りた車を運転中の電柱に衝突したなどの自損事故（相手方がない事故）や信号待ち中の車に後ろから衝突したなどの相手に過失がない事故などで借りた車に搭乗中の方が死傷して自賠責保険などで保険金が支払われないときにあらかじめ決められた保険金が支払われます。

ロードサービス

借りた車を運転中の事故や故障などで走行不能（車が動かなくなった状態または法令等により走行してはいけない状態）となった場合に、レッカー搬送に必要な費用や応急処置費用を保険金として支払われます。

車両補償

借りた車を運転中に事故により借りた車に損害が生じ、修理費あるいは代替となる自動車の購入費用を負担した場合、300万円を限度に保険金が支払われます。代替となる自動車を購入する場合は修理費、代替となる自動車の購入費用、借りた車の時価額のうち、いずれか低い額が上限です。

なお、契約するプランによってはこの補償がつかないこともあります。また、プランの内容によって10万円または15万円の自己負担額が発生します。

ドライバー保険との違いは？

借りた車を運転する場合の自動車保険について、1日自動車保険のほかにドライバー保険というものもあります。ドライバー保険は契約期間が原則として1年間であること、等級制度があること、保険料が等級や年齢によって変わること、車両補償がないことといった点で1日自動車保険と違いがあります。

契約期間や等級制度があることを考えると、頻繁に継続して他人の車を借りて運転する機会がある場合はドライバー保険、そうでない場合は1日自動車保険の方が向いていると言えるでしょう。

自分で車を持っている場合は他車運転特約も確認を

自分で車を所有しているという場合は、その車で契約している自動車保険に他車運転特約（他車運転危険補償特約）がないか確認してみましょう。もし、他車運転特約がある場合は借りた車を運転する際に1日自動車保険を契約しなくても自分の自動車保険の内容で補償を受けることができます。他車運転特約は自家用8車種が対象となるので、1日自動車保険では対象とならない4ナンバーの軽トラなどや8ナンバーのキャンピングカーも対象となります。

注意点としては、自分の車の自動車保険に準じた補償内容となるので、例えば車両保険をつけていない場合は車両の補償を受けられないこと、保険を使うと等級が下がってしまうこと（ノーカウント事故を除く）が挙げられます。また、1日自動車保険では対象となる同居親族から車を借りた場合も補償の対象外となることには注意が必要です。

自家用8車種とは

他車運転特約で対象となる自家用8車種は以下の車を指します。

• 自家用普通乗用車
• 自家用小型乗用車
• 自家用軽四輪乗用車
• 自家用小型貨物車
• 自家用軽四輪貨物車
• 自家用普通貨物車（最大積載量0.5トン以下）
• 自家用普通貨物車（最大積載量0.5トン超2トン以下）
• 特種用途自動車（キャンピング車）

まとめ

1日自動車保険とは、他人に車を借りて運転する場合に1日単位で加入できる自動車保険です。自分や配偶者以外が所有する自家用普通乗用車・自家用小型乗用車・自家用軽四輪乗用車を借りる場合に加入することができます。事故相手や車の所有者に迷惑をかけないよう、車を借りて運転するという場合は忘れずに1日自動車保険に加入しましょう。

また、自分の車を所有しているという場合はその車で契約している自動車保険に他車運転特約がないか確認しましょう。他車運転特約があれば追加で1日自動車保険を契約しなくても補償を受けられる場合があります。ただし、等級の面や同居の親族に借りた場合は対象外であることなどには注意が必要です。補償内容を確認し、うまく1日自動車保険や他車運転特約を活用しましょう。