自動車保険の等級は1等級~20等級までありますが、6等級と7等級のみ「6A」、「6F」、「7C」といったアルファベットがついた表記がされる場合があります。このアルファベットにはどのような意味があるのでしょうか。
もくじ
そもそも等級制度とは
等級制度とは、保険会社各社が導入して共同で運用している、契約者の事故歴に応じた保険料の割引・割増を適用する制度です。
等級は1等級から20等級まであり、初めて契約する際には6等級から(契約条件によっては7等級から)スタートします。1年間保険を使う事故を起こさなければ次年度に等級が1つ上がり、逆に保険を使う事故を起こした場合には、次年度に等級が3つまたは1つ下がります。なお、人身傷害保険のみを使った場合など事故件数にカウントしない「ノーカウント事故」もあり、ノーカウント事故のみを起こした場合は翌年の等級は無事故と同様に1つ上がります。
無事故を続けて等級が20等級に近づくほど、保険料の割引率が高くなり、保険料が安くなります。逆に事故を起こして1等級に近づくほど、割引率が小さくなり(1~4等級は割増になります)、保険料が高くなります。
どうしてアルファベットがつくの?
自動車保険の等級のうち、6等級と7等級のみ後ろにアルファベットがつきます。このアルファベットは前年契約なしの新規契約か前年に契約がある継続契約かの区別と年齢条件を表しています。
なぜ6等級と7等級だけかというと、この2つの等級は数字だけでは前年に契約があるのか否かの区別がつけられないからです。自動車保険に新規に加入する場合は6等級あるいはセカンドカー割引適用で7等級からの開始になります。しかし、前年に契約があって5等級や6等級から無事故で1等級上がったり、9等級や10等級から事故を起こして3等級下がったりした場合も6等級や7等級になります。
自動車保険に初めて加入する場合、その人が事故を起こしやすいか否かの判断材料が少ないです。そのため、年齢条件を1つの指標としてアルファベットごとに割引率を設定しているのです。
等級につくアルファベットの意味
6等級や7等級につくアルファベットの意味を紹介します。
「A・B・C・E・G」は新規契約の年齢条件
「A・B・C・E・G」は新規契約の場合に年齢条件に応じてつけられます。各アルファベットが表す年齢条件は以下の通りです。
アルファベット | 年齢条件 |
---|---|
A | 全年齢補償 |
B | 21歳以上補償 |
C | 26歳以上補償 |
E | 30歳以上補償 |
G | 35歳以上補償 |
例えば「6B等級」は新規契約の6等級で年齢条件が21歳以上補償ということになります。なお、保険会社によって採用している年齢条件が異なりますのでEやGが存在しないこともあります。
「S」と「F」は新規か継続か
「S」は新規契約、「F」は継続契約(前年に契約あり)を表します。例えば6等級の場合、前年に契約がなく新規で契約した場合は6S等級、前年が5等級で1等級上がった場合や前年が9等級で3等級下がった場合などは6F等級となります。先ほどの「A・B・C・E・G」も新規契約が前提ですが、保険会社によっては新規契約の等級の表記を年齢条件で区分せずに一律で「S」としています。なお、「6S等級」「7S等級」となっていても年齢条件が存在しないというわけではなく、あくまでも等級の表記のみの問題です。
「D」はないの?
年齢条件を表すときに「C」の次は「E」となっていて、「D」が飛ばされてしまっています。「D」は存在しないかというとそんなことはありません。ただし最近は影が薄くなってしまっています。
「D」は年齢条件が適用されない貨物車やキャンピングカーなどの特殊車両の場合に使用されています。しかし、現在では貨物車などでも年齢条件が適用される保険会社も多くなっており、それによって「D」という表記も少なくなっています。
アルファベットの意味まとめ
最後に、アルファベットで表される意味を以下表にまとめます。
アルファベット | 意味 |
---|---|
A | 新規契約で年齢条件が「全年齢補償」 |
B | 新規契約で年齢条件が「21歳以上補償」 |
C | 新規契約で年齢条件が「26歳以上補償」 |
D | 新規契約で年齢条件の適用がない車 |
E | 新規契約で年齢条件が「30歳以上補償」 |
F | 前年に自動車保険の契約あり |
G | 新規契約で年齢条件が「35歳以上補償」 |
S | 新規契約 |
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年齢条件で保険料が変わる
新規契約に限ったことではありませんが、運転者の年齢条件の設定によって保険料が変わります。区分は保険会社によって異なりますが、「全年齢補償」、「21歳以上補償」、「26歳以上補償」、「30歳以上補償」、「35歳以上補償」などとなっていて、条件が厳しくなるほど保険料が安くなります。これは交通事故の統計上、10代や20代の事故率が高くなっており、この年代の運転者を補償範囲から外すことができるからです。
出典:警察庁交通局「令和5年中の交通事故の発生状況」
年齢条件で注意が必要なのは、年齢条件が適用される範囲が記名被保険者、配偶者、同居親族だということです。別居の子供や年下の友人、後輩などが運転する機会があるという場合でも年齢条件を緩くする必要はありません。勘違いをしていたという場合は適切に設定して保険料を安くしましょう。
まとめ
自動車保険の等級において、6等級と7等級のみ後ろにA~G、Sのアルファベットがついています。これは新規契約か継続契約かと年齢条件を表しています。6等級と7等級は新規契約と継続契約のどちらか分からないため、こうしたアルファベットがついているのです。年齢条件によって同じ6等級・7等級でも保険料に差異が出てきます。別居の子供や友人などは年齢条件の適用範囲外なので、勘違いで保険料が高くならないように気を付けましょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。