行楽シーズンなどは特に、グループで出かけられる方も多いのではないでしょうか。友人同士でドライブの計画があったり、車で行楽地のキャンプ場などに出かける方も増えるでしょう。夏は海水浴、冬はスキーにと大人数でのイベントは楽しいものです。友人の車を借りて仲間と運転を交代しながら出かける場合など、自動車保険の「他車運転特約」があれば他車を運転時のリスクにも備えられます。
もくじ
他車運転特約について知っておこう!
「他車運転特約」(他車運転危険補償特約) とは、他人の車を借りて運転中に起こしてしまった自動車事故を自分の車の自動車保険を利用し、補償を受ける特約となります。友人の車を借りて運転していた時に起こした事故など、他人の自動車を運転していた時に起こした事故に対して、自分の車の自動車保険から保険金を支払ってもらえるのです。補償内容は自分の所有する自動車保険の内容に準じます。
事故の種類 | 支払われる保険金 | 注意事項 |
---|---|---|
対人事故 | 対人賠償責任保険から支払われます。 | 自身の車の契約内容に準じます。 |
対物事故 | 対物賠償責任保険から支払われます。 | 自身の車の契約内容に準じます。 |
車両事故 | 対物賠償責任保険から支払われます。 | 自身の車に車両保険の契約があり、その車両保険の条件で保険金を支払える事故に限ります。 |
自身の死傷 | 人身傷害保険から支払われます。 | 自身の車の契約内容に準じます。 |
車の運転を交代で友人と出かけた経験や、友人や知人、親戚の車を借りて運転した経験があるという方も多いのではないでしょうか。普段自分の運転している車の自動車保険に他車運転特約があれば自分の車以外の運転の時のリスクにも自分の車と同様の補償を受けることができるのです。
対象となる車
他車運転特約は自分の車で契約している自動車保険の補償を他人の車を運転した時にも適用できる特約ですが、対象となる車にも制限があります。対象は、自家用8車種となりますので確認しておきましょう。
- 自家用普通乗用車
- 自家用小型乗用車
- 自家用軽四輪乗用車
- 自家用小型貨物車
- 自家用軽四輪貨物車
- 自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)
- 自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下)
- 特殊用途自動車(キャンピング車)
「他人」の車であることに注意
借りた車が自家用8車種であっても他車運転特約の対象とならない場合があります。ポイントは「他車」です。
他車運転特約は他人に借りた車が対象となるので、以下の方が所有・常時使用する車を借りて運転する場合には補償の対象とはなりません。
- 記名被保険者
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者または配偶者の同居の親族
なお、他人の車であっても以下のような場合は対象となりませんのでご注意ください。
- 他人から常時借りて使用している車で事故にあった場合
- 無断で借りた車で事故にあった場合
- 勤務先の所有する車を業務のために運転している際に事故を起こした場合
補償の対象範囲
他車運転特約は以下の方が他車を運転する場合に補償の対象となります。記名被保険者だけでなく、家族も対象となるのはうれしいところです。
- 記名被保険者
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者または配偶者の同居の親族
- 記名被保険者または配偶者の別居の未婚の子
- 記名被保険者の業務(家事は除く)に従事中の使用人
※保険会社によって異なる場合があります。
※運転者の限定がある場合は、他車運転特約もその運転者の範囲内になります。例えば、本人限定をつけている場合は他車運転特約も記名被保険者のみが対象となります。
他車運転特約のメリット
通常、車を運転中に事故にあってしまったり、相手を死傷させてしまったりした場合はその車で契約している自動車保険を利用して賠償対応を行います。しかし、友人や知人の車で事故を起こし、その車の持ち主の保険を使った場合、自分ではなく友人や知人の等級が下がり、保険料が上がってしまうことになるのです。
自分が起こした事故で友人や知人の等級が下がってしまい。保険料も翌年より上がってしまってはとても気まずい思いをすることになるでしょう。しかし、自分の契約している自動車保険に他車運転特約があれば、自分の自動車保険で補償をすることができるので、そうした事態は避けることができます。
こんな場合ありませんか?
- 友人の車で仲間と運転を交代しながらドライブ
- 知人の所有する軽トラックを借りて荷物の運搬
- 知人の所有するキャンピングカーを借りて家族でオートキャンプ
他車運転特約の注意点
車を借りて運転する場合に便利な他車運転特約ですが、いくつか注意点があります。思わぬところで補償を受けられないケースもあるため、よく確認しておきましょう。
車両保険をつけていない場合、他車運転特約でも使えない
自分の車の自動車保険で車両保険をつけていない場合、他車運転特約でも車両保険を使うことはできません。つまり、借りた車の損害の補償を受けられないことになります。また、車両保険を契約していても、エコノミー型で自損事故を起こした場合などでは、同じく補償を受けられません。
車両保険の保険金の上限は借りた車の時価額
自分の車で車両保険をつけていた場合は他車運転特約でも車両に対する補償を受けることができますが、その場合の保険金の上限は借りた車の時価額となります。例えば、自分の車の車両保険金額が300万円、借りた車の時価額が50万円の場合、受けられる補償の上限は50万円となります。
借りた車の時価額以上の修理費用が必要となったとしても、その時価額以上が支払われるわけではないので注意してください。
駐車中や停車中の事故は対象外
他車運転特約は運転中の事故のみを対象とするのが一般的です。そのため、駐車中や停車中の事故は対象外となります。例えば、車を駐車場にとめて買い物に行き、戻ってきたら当て逃げされていた、というようなケースでは他車運転特約で補償を受けることはできません。
運転者限定や年齢条件によって制限される
自分の車の自動車保険の契約で運転者限定や年齢条件をつけている場合、他車運転特約でもその範囲内での補償となります。
例えば、自分の車の契約で本人・配偶者限定をつけている場合、子供が友人の車を運転したときの事故には他車運転特約を使うことはできません。また、運転者限定なし・26歳以上補償というような場合、24歳の同居の子供が運転して起こした事故には他車運転特約を使えません。
他車運転特約を使ったら等級が下がる
他人の車で起こした事故であっても自分の保険を使って補償を受けるので、他車運転特約を使用した場合は自分の車で保険を使ったのと同様に翌年度の等級が下がります。
例えば、他車運転特約で対物賠償保険を使用した場合、翌年度の等級は3等級下がり、事故有係数適用期間が3年加算されます。
レンタカーでの事故には使える?
レンタカーであっても自家用8車種であれば他車運転特約の補償対象となります。ただし、レンタカーを借りるときにはその会社が用意する保険に入ることになります。他車運転特約を使うと等級が下がってしまうので、レンタカーを借りるときに加入する保険を優先して使った方がよいでしょう。
他車運転特約の出番となるのは、何らかの理由でレンタカー契約時に加入した保険だけでは補償が不足する場合です。なお、無免許運転や酒気帯び運転で借りた車を壊してしまった場合などはレンタカーの保険でも他車運転特約でも補償対象外となります。
レンタカーでの事故で注意が必要なのがNOC(ノンオペレーションチャージ)です。事故や汚損などで修理や清掃が必要となった場合、その期間中の営業補償の一部として数万円程度のNOCの支払いが必要となります。NOCに対しては他車運転特約を使えないので注意してください。
レンタカーで事故を起こした場合、自動車保険の補償はどうなる?
車を運転する以上、レンタカーであっても事故を起こす可能性があります。自分の車で事故を起こした場合は自分で契約している自動車保険を使うと思いますが、レンタカーで事故を起こした場合、自動車保険の補償はどう ...
まとめ
他車運転特約は、他人から借りた車(他車)を運転中のリスクにも備えることができる特約となります。補償内容は自分の所有する自動車保険の内容となることを覚えておきましょう。
他車運転特約は、多くの保険会社で自動セットされていることが多いようです。加入している自動車保険の保険証券に他車運転特約があるか確認できますので見てみましょう。補償の範囲は、保険会社によってそれぞれ規定が違う場合があるため確認が必要です。他車を運転するケースが多い人などは、他人の車を運転することも考えて自動車保険の補償内容を組み立てられたらいいですね。
自動車保険の一括見積もりサイトなどで条件を入力し保険料を比較する事も可能ですので確認してみるものいいでしょう。
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