自動車保険料を節約する方法の一つに、自動車保険に「運転者限定特約」をつけることがあります。だれが運転してもよい状態から運転する人を限定することでリスクを減らし、結果として保険料を安くすることができるのです。
運転者限定特約とは
運転者限定特約とは、補償される運転者の範囲を限定する特約のことです。例えば、運転する人を本人と配偶者に限定した場合、子供や友人がその車を運転して事故を起こしても補償されません。主に車を運転する人(記名被保険者)を中心として誰が運転しても補償される状態から、運転する人を限定する(=保険金請求のリスクを小さくする)ことで保険料を安くすることができるのです。
限定できる範囲
運転する人を限定するといっても、自分と友だちのAさんといとこのBさんに限定するというように好き勝手に限定範囲を決められるわけではありません。限定できる範囲は概ね、本人限定、本人・配偶者限定、家族限定の3つです。近年の家族構成の変化に伴い、家族限定は廃止される傾向にあります。
限定する範囲 | 運転できる人 | 保険料 |
---|---|---|
限定なし | 誰が運転しても補償される | |
家族限定 | 本人+本人の配偶者+同居の親族+別居の未婚の子 | |
本人・配偶者限定 | 本人+本人の配偶者 | |
本人限定 | 本人のみ |
※家族限定について、保険会社によって限定できる範囲が異なる場合があります。
運転できる人の範囲を理解しよう
運転者を限定する際、言葉だけを見て内容を理解せずに契約するといざという時に補償されず痛い目に合うかもしれません。特に家族限定は間違いやすいので、十分に理解しておく必要があります。
配偶者とは
配偶者は、法律上の届出をしている場合に限らず、内縁関係にある場合も含みます。内縁関係にある場合、婚姻の届出をしていないからといって限定なしにする必要はありません。
なお、勝手に主張するだけでは認められず、内縁関係にあるということを保険会社が確認する必要があります。詳細については保険会社にご確認ください。
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同居の親族とは
同居の親族で理解する必要のある言葉は「同居」と「親族」です。
同居とは
まず、「同居」とは、同一の家屋の建物内部でお互いに行き来できる場合を指します。同じ敷地内であっても別々の家屋に住んでいる場合や、同じ建物であっても住宅内部で行き来ができず、玄関・トイレ・風呂などの生活用設備を共有していない場合は別居として扱われます。
つまりは、二世帯住宅に住んでいる場合、建物の構造や生活用設備の配置状況によって同居と認められたり、別居とされてしまったりします。判断が保険会社によって分かれることもあるので、同居にあたるか否かは保険会社に確認を取るようにしてください。
また、同一敷地内に建てられた「離れ」や「勉強部屋」で過ごしている場合であっても、そこに生活用設備がない場合は本家屋と同一の家屋とみなされます。
親族とは
次に「親族」ですが、「6親等以内の血族・配偶者および3親等以内の姻族」を指します。本人を基点として算定するのが血族、配偶者を基点として算定するのが姻族です。
6親等以内の血族に当てはまる範囲は結構広いです。直系血族の6親等(高祖父母の祖父母(六世の祖)、玄孫の孫(昆孫))はまず生きていないので考える必要はなく、傍系血族は6親等のはとこ(祖父母の兄弟の孫)やいとこの孫、曽祖父母の兄弟の子といった範囲まで含まれます。
別居の未婚の子とは
家族限定で間違いやすい要素の一つである子供の扱いについてです。同居している子供であれば「同居の親族」なので家族限定に含まれますが、別居の子供は家族限定に含まれる場合と含まれない場合があります。
別居の子供が家族限定に含まれるのは、その子供が未婚である場合です。結婚している場合は家族限定の対象外です。また、未婚というのは過去に婚姻歴がないことを意味するので、一度結婚して離婚後に再婚していないという場合についても対象外となります。
ちなみに、自動車保険を安くするためのもう一つの要素である年齢条件の対象は記名被保険者からみた同居の親族なので、別居の未婚の子に合わせた年齢条件にする必要はありません。例えば21歳の別居の未婚の子が帰省時に車に乗るという場合、自動車保険が家族限定・35歳以上補償であっても補償の対象となるのです。
契約途中に運転者限定特約の解除・変更は可能
自動車保険の契約中、満期日前でも運転者条件の変更は可能です。つまりは、普段は本人・配偶者限定だけど子供の帰省時には運転者限定を外し、子供が帰ったら再び本人・配偶者限定に戻すというようなことも可能です。
運転者限定を外した段階で追加の保険料の払い込みが必要となりますが、再度運転者限定をつけたタイミングで保険料が再計算されて差額が返還されます。もとに戻す連絡しないと保険料が高いままとなるので忘れずに連絡するようにしましょう。
1日自動車保険も検討しよう
数日のみ運転者限定を外したいという場合は1日自動車保険の利用も検討してみましょう。本人や配偶者の車は対象外ですが、親や友人の車を借りて乗るという場合には手軽に利用可能です。
万が一事故を起こしてしまった場合も、1日自動車保険の方を利用すれば車の持ち主がかけている自動車保険の等級は下がりません。事故で迷惑をかけて保険料でも迷惑をかけるということを避けることが可能です。
注意点として、車両補償をつけるには8日以上前に事前登録が必要となります。対人賠償や対物賠償、傷害保険などに関しては当日申し込んでも問題ありませんが、車両に対する補償が必要な場合は気をつけましょう。