3月頃から夏にかけての季節の移り変わり目で大気の状態が不安定な時に直径5mm以上の雹(ひょう)が降ることがあります。この時期は大気の不安定な状態となり雹やあられを降らせる積乱雲(入道雲)が発生しやすい条件にあります。積乱雲は冬ではなく地表付近の気温が上がる時期にできやすいため、空から氷の粒が降ってくる雹は冬ではなく夏場に多い現象です。車の運転中に急に空の様子が変化し雹が降ってきたらどう対処したらよいのでしょう。運転中の対応について紹介します。
もくじ
雹(ひょう)が降ってきたら安全な場所へ避難
雹(ひょう)もあられも同じ氷の塊で積乱雲の中で出来たものが地上に降ってきますが、氷の塊の大きさで判断します。直径5mm以上の氷の塊は雹(ひょう)、5mm未満のものをあられと言っています。
氷の塊と化した雹やあられは大きければ大きいほど、地上への落下速度は速くなり、直径50㎜(5cm)のものともなると時速100㎞を超えて落下してきます。そのため、雹の大きさによっては車が破壊したり、車に傷がついたり、凹んだりといった心配があります。
また、雹やあられは車への損傷だけでなくスリップなどでの事故の心配もあります。あられのような小さなサイズのものであっても、降り積もった上を車で走行すると非常に滑りやすく危険な道路状況となります。天候状況が悪くなるため視界不良による追突事故などにも気を付ける必要があります。もちろん、降雹による危険は、運転中のことだけとは限りません。小さくても落下速度が速い雹が人に当たればケガを負う心配もあります。
天気予報で雹が降る注意が呼びかけられていたら外出を控えることが一番の対策になりますが、外出を控えることが難しいことも多いです。また、大気が不安定な状態の季節は予報が難しく急に天候が変わり雹が降ってくることもあります。
【雹(ひょう)が降る前兆】
- 空が急に暗くなり、昼間でも周りが暗くなった
- 急にひんやりとした風が吹き肌寒くなってきた
- 空が暗くなり雷光が見えたり雷鳴が聞こえる
- 空が暗くなり急に強い雨が降ってきた
参考:ウェザーニュース「5月〜7月は雹(ひょう)に注意 氷なのに、なぜ初夏に多くなる?」より
運転中に雹(ひょう)が降ってきたら・・・
運転中に雹(ひょう)が降ってきたら屋内駐車場に避難しましょう。激しい降雹で車体が傷ついてしまう恐れもあるため頑丈な屋内に避難できればよいですが、近くに屋内駐車場がない場合もあるでしょう。屋内駐車場が近くに無い場合は落ち着いてハザードランプを点灯させながら減速し道路の路肩や路側帯に車を停車させます。車内に毛布などの車体を覆えるものがあれば降雹の様子をみてボディを覆うと車体への損傷も軽減する事ができます。
屋内駐車場に避難できず、道路脇に停車させた場合、雹が降りやむまで車内にとどまることは避けたいです。天候が不安定で雹が降ってきたら視界も悪くなり、降り積もった雹やあられによるスリップ事故に巻き込まれる危険性もあります。また、雹が降る天候の場合、雹だけでなく突風や竜巻の心配もあるため、車内に留まっていると車の窓ガラスが割れてしまったり、突風で車が横転してしまうなどの心配があり危険です。車を停車させたら、乗車している人は可能な限り近くの頑丈な建物の中に避難しましょう。
屋内駐車場に避難
近くに屋内駐車場があれば屋内駐車場に避難しましょう。近くに屋内駐車場がない場合は、ハザードランプ点灯して減速し路肩や路側帯に車を止めましょう。車内に留まっていると危険なため近くの頑丈な建物に避難しましょう。自宅の駐車場に停車中に雹(ひょう)が降ってきたら・・・
自宅の車庫に車を駐車している場合でも大きい雹(ひょう)であれば屋根を突き破って車を傷つけてしまうということもあります。自宅の敷地内であっても屋根のない場所に駐車されている時には、雹による車体への損傷が心配です。自宅に車を停車している場合でも雹による損害リスクを軽減するために降雹の状況をみて厚手のふとんや毛布などで車を覆うような対策をとるとよいでしょう。雹は氷の粒が勢いよく降ってくるため車に傷がついたりたくさんの凹みができたりします。ふとんや毛布が衝撃を吸収してくれるため損傷も少ない可能性があります。
布団や毛布で車を覆う
車庫に車を駐車している場合でも屋根を突き破って雹が降ってくることもあります。厚手の毛布や布団で車を覆うと衝撃を吸収してくれるため損傷リスクを軽減できます。雹(ひょう)が降ったら道路の冠水にも注意!
雹(ひょう)が降るような天候では、集中的に強い雨や強風となるなど、道路状況も急変しやすいです。集中的に強い雨が降るような状況では、積もった雹やあられ、強い風で落ちた木々の葉や飛ばされたゴミなどが排水溝につまり短時間で道路が冠水してしまう心配があります。
集中的な豪雨で短期間に冠水してしまいそうな危険な場所は事前に把握しておくとよいでしょう。アンダーパスとなっているような場所は、関東地方であれば国土交通省関東地方整備局の関東地域における道路冠水注意箇所マップで紹介されています。その他の地域でも各地方自治体のホームページやハザードマップなどで情報が公開されていることが多いです。天気予報で雹が降る注意が呼びかけられていたら外出前に確認しておくとよいでしょう。
冠水の心配
雹が降るような不安定な天気では、集中豪雨や強風で道路が冠水してしまうリスクが高いです。外出前に冠水しそうな場所や道路を確認しておきましょう。-
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雹害を受けた車での走行は危険!
降雹により、車に雹害を受けていたら車の被害状況を確認しましょう。フロントガラスにひびが入っていたり、割れたりしている場合もあります。サイドミラーやライトなどが割れてしまっている場合もあります。
フロントガラス、サイドミラーに損傷を受けた車での走行は視界不良となり非常に危険です。ライトに損傷を受けており、ブレーキランプの点灯や方向指示器の点灯に問題がある場合も事故のリスクが高くなります。ちなみに、フロントガラスやミラー、ライトが損傷した状態での走行は車両整備不良の車を運転したとして「道路交通法違反」に問われる恐れもあります。そのような車は車検に通らず、乗車し続けることはできないため早めに修理に出すようにしましょう。
雹(ひょう)やあられでの車両への損害は車両保険で補償
短時間に大量の雹(ひょう)が車に落ちてくると車のボディが傷ついたり、凹んだりガラスが割れたりと修理が必要な損傷を受けることも多いです。
雹(ひょう)やあられの被害は、自動車保険の車両保険の契約があれば補償を受けることができます。飛来中または落下中の他物との衝突の補償で「一般型」「エコノミー」どちらも補償対象となります。
一般 | エコノミー | |
---|---|---|
車やバイクとの事故 (相手が判明している場合) | ○ | ○ |
自転車との衝突・接触 | ○ | × |
電柱・建物などとの衝突や接触 (単独事故) | ○ | × |
あて逃げ | ○ | △※ |
転覆・墜落 | ○ | × |
火災・爆発・台風・洪水・高潮など | ○ | ○ |
盗難・いたずら・落書き | ○ | ○ |
飛来中または落下中の他物との衝突 (雹・あられ・飛び石など) | ○ | ○ |
地震(津波や地震起因の火災含む)・噴火 | × | × |
※あて逃げについて、保険会社によってエコノミー型でも補償対象となる場合とならない場合とに分かれています。
「一般型」、「エコノミー型」という名称は保険会社によって異なります。また、詳細な補償内容についても保険会社によって異なる場合があります。詳しくは保険会社または代理店にお確かめください。
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車両保険は1等級ダウン事故扱いになる
雹(ひょう)やあられによる車への損害は、自然災害による落下物が原因で自分の責任ではありません。しかし、車両保険を使って雹やあられによる被害の補償を受けると翌年度の等級に影響します。雹やあられによる損害での補償は1等級ダウンとなり、事故有係数適用期間も1年加算となるため、翌年度の保険料は高くなります。
等級 | 1等級ダウン |
---|---|
事故有係数適用期間 | 1年加算 |
※スリップして自損事故を起こしたような場合は3等級ダウン、事故有係数適用期間が3年加算となります。
雹による被害を受けた車の修理費用は、考えていた以上にかかってしまう場合があります。ボンネットやルーフなどの無数の傷やへこみの修理、フロントガラスが傷ついたことでフロントガラスの交換が必要だったりと、等級ダウンの影響による保険料の値上がりを考えても車両保険を利用して修理した方が助かる場合も多くあるでしょう。
しかし、保険料の値上がりを考えた場合、被害が小さく修理代が少額であれば保険を使わず自分で支払った方がトータルでは安くなることもあります。もし、自分で判断がつかない場合は保険会社や代理店に相談してみるとよいでしょう。
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まとめ
車を運転中に雹(ひょう)が降ってきた場合は、屋内駐車場に避難します。屋内駐車場が近くに無い場合は、減速しハザードランプを点灯して路肩や路側帯に車を停車させましょう。降雹する中、車を走らせるのは事故のリスクが高くなるため危険です。ただし、走行中の場所や交通状況によっては停車が難しい場合もあり状況判断が必要なこともあります。いずれにしても安全な場所に避難することを意識しましょう。
雹害で車に損害を負った場合は、車両保険で修理することができます。ただし、車両保険を使うと1等級ダウン、事故有係数適用期間が1年加算となります。翌年度の保険料が高くなってしまうため、車両保険を使って修理するかどうかは被害の状況により判断するとよいでしょう。