山道を走行しているときなどに動物注意の標識を見かけたことはありませんか?道路に動物が飛び出すおそれがあるので衝突しないように注意するよう示す標識なのですが、もし仮に、動物と接触してしまったときは自動車保険の扱いはどのようになるのでしょうか。
動物との事故は物損事故扱い
動物は法律上「物」として扱われるので、動物との事故はガードレールや電柱にぶつかった時と同じように単独での物損事故扱いとなります。動物が野生動物の場合は損害賠償請求されることはないかと思いますが、飼育下にある動物をはねてしまったなどの場合で損害賠償請求をされた時は対物賠償保険から支払われます。
自賠責保険は対人賠償のみなので、ペットや家畜をはねてしまって損害賠償請求された場合は任意保険に入っていないと自分で大金を払う必要があります。
なお、野生動物の場合であっても、はねてしまった動物をその場で放置してはいけません。速やかに警察に連絡し、二次被害を防止するためにも動物を交通の妨げにならない場所へと移動させましょう。動物を移動させる際には感染症のリスクを避けるために直接触れないことをおすすめします。野生動物が生きている場合は、費用はドライバーの負担となりますが、動物病院や保護施設に連れて行くようにしましょう。
轢かれて放置された動物を発見した場合には、#9910(道路緊急ダイヤル)に電話を掛けるとよいでしょう。通話料は無料ですので二次被害防止のためにも面倒がらずに電話をするようにしましょう。
車両保険の扱いは?
動物をはねてしまって自分の車が傷ついたとき、ペットや家畜の場合は管理不十分として損害賠償を求めることができる可能性がありますが、野生動物が相手の場合は基本的に単独事故扱いで車両保険を使って直すこととなります。
注意が必要なのは、車両保険がエコノミー型の場合は補償を受けられないことが多いということです。エコノミー型の場合、単独事故は補償対象外であるためです。ただし、保険会社によってはエコノミー型であっても補償対象となっている場合があります。また、鳥などが飛来してきて接触した場合や窓ガラスのみの損害の場合などで補償を受けられるケースもあります。詳細については契約中の保険会社に確認するのがよいでしょう。
自損事故 | 他車との衝突 | 当て逃げ | 台風 ・ 洪水 | 火災 ・ 爆発 | 盗難 | 落書き | いたずら | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一般 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
エコノミー | - | ○ | △ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
当て逃げについて、保険会社によってエコノミー型でも補償対象となる場合とならない場合とに分かれています。
動物との事故でケガをした場合
動物との接触でドライバーや同乗者がケガをした場合は、単独事故なので、事故を起こした車の人身傷害保険や搭乗者傷害保険、自損事故傷害特約で補償を受けることができます。これらは事故の相手の有無にかかわらずに補償を受けられるので、動物との接触でケガをした時でも利用することができるのです。
また、動物を避けるためにハンドルを切って別の車にぶつかったり人をはねたりしてしまった場合は、動物を避けるためとはいえドライバーに賠償責任が生じることがほとんどです。物損事故の場合は対物賠償保険で、人身事故の場合は対人賠償保険で補償されます。
決して珍しいことではない動物との事故
動物との交通事故というと、都心部に住んでいる方はめったにない出来事のように感じるかもしれませんが、決してそうではありません。例えば、令和4年度の高速道路でのロードキル(道路上で発生する野生動物の死亡事故)は5.1万件にも達します。(出典:高速道路会社の落下物処理件数(令和4年度))野生動物との交通事故は高速道路以外でも起きるので、日本全体では5.1万件以上のロードキルが起きていることとなります。
野生動物との交通事故は珍しいものではないということを認識し、もしもの事態に備えて自動車保険の補償内容についてしっかりと確認しておくとよいでしょう。そして、自動車保険を見直す場合は一括見積もりサービスを利用して各社の見積もりを取得して比較するのが便利です。