車が故障や事故によって自力で走行できなくなった場合、ロードサービスを呼ぶことが多いでしょう。
しかし、JAF(一般社団法人日本自動車連盟)や保険会社のロードサービスではなく、インターネットで検索したロードサービスに依頼したところ、高額な料金やキャンセル料を請求されるといったトラブルが相次いでいます。では、ロードサービスで高額請求された場合、クーリングオフをすることは可能なのでしょうか。
また、そういったトラブルに対処する方法についても知っておきたいところです。
この記事では、高額請求されたロードサービスのクーリングオフが可能かどうかとロードサービスでよくあるトラブルのほか、トラブルを回避する方法について解説します。
もくじ
クーリングオフとは?
クーリングオフとは、いったん契約締結をしても、一定の期間内であれば無条件で解除できる制度です。万が一、契約したあとでも、ユーザーは定められた期間で、冷静に考え直す時間を得ることができます。
ただし、すべての契約がクーリングオフの対象となるわけではありません。クーリングオフの適用は、特定の取引に限られる点には注意が必要です。なお、車のロードサービスに関しても、訪問販売に該当するものについてはクーリングオフが適用可能となる場合があります。
クーリングオフの適用対象となる取引
クーリングオフは適用対象となる取引と、そうでない取引があるので注意が必要です。ここでは、クーリングオフの対象となる取引について解説します。
クーリングオフ適用対象の取引
クーリングオフの適用対象となるのは、特定商取引に関する法律(特定商取引法)にもとづく下記の取引です。
取引内容 | 具体例 | クーリングオフの期間 |
---|---|---|
訪問販売 | 家庭訪販など営業所以外で行った契約、キャッチセールスなど | 8日間 |
電話勧誘販売 | 電話勧誘による原則すべての商品・役務の取引 | 8日間 |
特定継続的役務提供 | エステ・語学教室・学習塾など(店舗での契約を含む) | 8日間 |
連鎖販売取引 | マルチ商法(店舗での契約を含む) | 20日間 |
業務提供誘引販売取引 | 内職商法、モニター商法(店舗での契約を含む) | 20日間 |
クーリングオフは、ユーザーが契約書面を受け取った日を含めた期間内にハガキなどの書面によって、郵便局から「特定記録郵便」か「簡易書留」で送付して通知することが定められていました。なお、2022年6月より、ユーザーからの通知を電子メールなどの電磁的方法でも行えるようになっています。
クーリングオフ適用対象外の取引
店舗で商品を購入したり、インターネット通販やカタログ通販などの通信販売で購入したりした場合は、基本的にクーリングオフの適用対象にはなりません。具体的には、下記のとおりです。
<クーリングオフ適用対象外の主な取引>
- 店舗での販売
- 通信販売
- 営業のための契約
- 3,000円未満の現金による支払い
- 乗用車の購入契約・リース契約
- 葬儀など速やかに役務提供しなければならない契約
また、上記の特定取引であっても、クーリングオフの期間が過ぎた場合については、適用の対象外です。
ロードサービスにクーリングオフは適用される?
ロードサービスがクーリングオフの適用対象となるかは契約形態や内容などによります。自宅以外の路上などに見積もりのために来てもらいその場で契約した場合やウェブサイトに表示されている料金と実際の請求金額が大きく異なる場合などでは、訪問販売としてクーリングオフの対象となる可能性があります。
仮に自分から契約のために連絡したとしても、例えば、「基本料金2,480円~」などの記載で安い金額でロードサービスが提供されるかのような表示がされているのに、実際には15万円などと高額な請求をされたというような場合、連絡時点では15万円という高額な金額での契約の意思はなかったと考えられ、クーリングオフの適用除外には該当しない、つまり、クーリングオフできるという判断がされる可能性があります。
もしトラブルに見舞われた場合はお近くの消費生活センター等にご相談ください。
増加するロードサービスの高額請求トラブル
近年、ロードサービスの高額請求トラブルは増加傾向にあります。国が運営する独立行政法人国民生活センターが2023年に発表した資料によると、インターネットで検索したロードサービスに関する相談件数は、2022年度には前年度の約3.3倍に達しています。
■インターネットで検索したロードサービスに関する相談件数
出典:独立行政法人国民生活センター「インターネットで依頼したロードサービスのトラブル急増 ―20歳代や学生は特に注意を!―」
また、各自治体が運営する消費生活センターにも、インターネットで依頼したロードサービスに関する相談が寄せられています。
例えば、東京都消費者被害救済委員会(以下、委員会)が2024年8月に公表した資料「ロードサービスの契約に係る紛争案件 報告書」では、「2,480円~」という金額をインターネットで広告表示していた業者に依頼したところ、14万円の契約を結ばされた事例を紹介しています。
この件では委員会によって「訪問販売に該当し、クーリングオフが認められる」と判断されました。委員会はユーザーが業者に支払った契約金全額の返金を求めるあっせん案を提示し、合意に至っています。
ロードサービスでよくあるトラブル
インターネットで検索して見つけたロードサービス業者に依頼すると、さまざまなトラブルに巻き込まれる可能性があります。ここでは、ロードサービスでよくあるトラブルについて解説します。
事前説明なしの高額請求、または高額キャンセル料請求
ロードサービス業者によっては、ウェブ広告で「基本料金は○○円~」「作業は必ず見積り後に実施」などと格安な料金体系をうたい、事前に料金の詳細な説明がなく、現地の作業後になって、はじめて高額請求をする場合があります。
また、キャンセルした際に高額なキャンセル料を請求する場合もあるので、注意が必要です。
虚偽の説明
ロードサービスのトラブルとして、虚偽の説明をされるケースが生じる場合があります。
具体的には、「保険会社と提携しているので、保険会社から全額支払いを受けられる」と説明されたものの、実際には提携していないケースです。
これは結果として、多額の自己負担をすることになるリスクがあるので注意してください。
支払いの強要、車両の未返還など
ウェブ広告で「クレジットカードで支払可能」と表示しているにもかかわらず、現金で即座に支払うことを求めるロードサービス業者も存在します。
現金を持っていない場合、自宅や金融機関のATMまで同行されたり、現金での支払いが完了するまで車両を返還してもらえなかったりすることがあるので注意しましょう。
ロードサービスのトラブルに巻き込まれやすいユーザーの特徴
インターネットで検索したロードサービス業者とのトラブルに巻き込まれやすいのは、主に運転経験の少ない若いユーザーです。
一般社団法人日本損害保険協会が2025年2月に公表した「ネットで検索したロードサービスに関する消費者トラブルについて」の調査結果によれば、ロードサービス業者とのトラブル被害に見舞われたユーザーは、下記のような流れで被害に遭っていることがわかりました。
<若いユーザーがロードサービスのトラブルに遭う流れ>
- 運転経験の少ない若いユーザーが車でドライブ中に故障に見舞われる
- 運転している車は家族のものなので、故障した際にどこに連絡すればよいかわからない
- 手元にあるスマートフォンでインターネットを検索し、検索上位表示のロードサービス業者に連絡する
- 駆けつけたロードサービス業者に見てもらって故障は直ったが、広告表示と異なる高額請求される
- ロードサービス業者から「保険会社と提携しているので全額保険会社から費用が支払われる」と説明を受け、費用を立て替えるつもりで支払う
日本損害保険協会は、若いユーザーほどロードサービス関連のトラブルが起きていることを知らず、自動車保険に付帯されるロードサービスを利用可能なのに認知していない点について、問題提起しています。
また、このような若いユーザーが車の故障時にスマートフォンで検索し、上位表示されたロードサービス業者に連絡してしまう傾向があることも併せて指摘しています。
車の故障や事故の際には、スマートフォンで検索したロードサービス業者に依頼するのではなく、必ず後述するJAFや加入保険会社のロードサービスを利用するようにしましょう。
ロードサービス関連のトラブルを回避する方法
ロードサービス関連のトラブルを避けるには、どのようにしたらいいのでしょうか。ここでは、ロードサービス関連のトラブルを回避する方法について解説します。
JAFまたは加入保険会社のロードサービスを呼ぶ
ロードサービス関連のトラブル回避のための最も安全で確実な方法は、JAFや加入している自動車保険付帯のロードサービスを利用することです。JAFのロードサービスは非会員の場合や会員でも規定以上の工数がかかる作業だと有料となりますが、料金体系は明確です。また、保険会社のロードサービスは、基本的な作業対応に関しては無料となっています。いずれも、高額な料金・キャンセル料を負担するリスクは極めて低いといえるでしょう。
ちなみに、保険会社のロードサービスは作業内容によって有料になったり、年間の回数制限があったりするなど、保険会社によってサービス内容が異なるので注意が必要です。
見積もり内容や契約内容は事前によく確認する
JAFや保険会社以外のロードサービスをやむを得ず利用する場合には、インターネット広告の料金表示だけで決めず、作業内容とその範囲や追加料金のほか、キャンセル料についても確認しておきたいところです。
作業開始前には、必ず詳細な見積もり内容や契約内容を書面で受け取りましょう。口頭での口約束ではなく、書面での確認が重要といえます。
消費生活センターや警察へ相談する
ロードサービス業者から高額請求されるといったロードサービス関連のトラブルが発生した場合は、すぐに消費生活センターに相談しましょう。全国共通の消費者ホットライン「188番:いやや」という3桁の電話番号に連絡すれば、最寄りの消費生活センターを案内してもらえます。
消費生活センターに相談することで、前述の東京都の例のように契約してしまった場合でも、クーリングオフできる可能性があります。また、即座の現金支払いを求められ自宅に来られるなど、身の危険を感じた場合には、警察に相談してください。
ロードサービスが充実した保険会社を選ぼう
運転経験の少ない若いユーザーを中心に起きているロードサービス関連のトラブルは、クーリングオフの適用対象になる場合があります。トラブルになった場合には、すぐに消費生活センターに相談してください。車の故障などの際には、JAFか保険会社のロードサービスを利用するのが基本です。JAFのロードサービスは非会員の場合は有料ですが、加入している保険会社のロードサービスなら多くの場合は無料で利用できます。万が一に備えて、ロードサービスの内容を確認しておきましょう。
なお、自動車保険のロードサービスの内容は、保険会社によって異なります。自身に合ったロードサービスを探すには、複数の保険会社に見積もりを依頼して、比較・検討してください。
難点としては、各保険会社のウェブサイトで見積もり依頼はできるものの、手間や時間がかかること。そこで、自動車保険の一括見積もりサービスを利用して、手軽に見積もりを依頼するのがおすすめです。
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