車のキーを車内に入れたまま施錠する「インロック(キー閉じ込み)」は、車の使用中に生じやすいトラブルのひとつです。一般社団法人日本自動車連盟(JAF)の2023年度の救援件数だけでも、12万件以上のインロックが発生しています。
もしインロックしてしまった場合、どのように解除するのがベストなのでしょうか。また、インロックはさまざまな原因で起こりうるものです。発生原因をきちんと認識し、適切な防止策を講じるようにする必要があります。
この記事では、車のキーをインロックしたときの解除方法と原因のほか、インロックの防止策について見ていきましょう。
車のインロックとは?
車のインロックとは、車内にキーを残したままドアを施錠してしまい、ドアを開けられなくなった状態を指します。
この状況は「キー閉じ込み」や「インキー」とも呼ばれ、過去5年のJAFへの救援依頼の中でも常に上位5位以内に入るほど一般的なトラブルです。
順位 | 故障内容 | 件数 |
---|---|---|
1 | 過放電バッテリー | 75万6,712件 |
2 | タイヤのパンク、バースト、空気圧不足 | 45万3,172件 |
3 | 破損/劣化バッテリー | 17万6,709件 |
4 | 落輪・落込 | 13万9,570件 |
5 | インロック(キー閉じ込み) | 12万2,367件 |
参照:一般社団法人日本自動車連盟「よくあるロードサービス出動理由」
※対象期間:2023年4月1日~2024年3月31日
車のキーをインロックしたときの解除方法
車のキーをインロックしてしまった場合、どのようにすればいいのでしょうか。ここでは、車のキーをインロックしたときの解除方法について解説します。
スペアキーを使ってロックを解除する
車のキーをインロックしてしまった場合、簡単で確実な方法は、スペアキーを使ってロックを解除することです。納車時に受け取ったスペアキーは自宅に保管していることが多いため、スペアキーをしっかりと保管していれば、容易に解除できるでしょう。
出先でインロックした場合に備えて、スペアキーを携帯しておくのも有効です。
ロードサービスを呼んで解除してもらう
インロックが発生した場合、ロードサービスを呼んで解除してもらうことも方法のひとつとして挙げられます。
JAFや自動車保険に付帯するロードサービスを利用すると、専門のスタッフが現場に駆け付けて解錠してくれます。
JAFは会員であれば無料で対応してもらえますが、JAF非会員の場合は有料です。また、混雑時はJAF会員を優先する場合があるので注意しましょう。
車の鍵専門業者に解除してもらう
ロードサービスが利用できない場合は、車の鍵専門業者に連絡して解除してもらう方法もあります。
鍵専門業者は特殊な工具や技術を持っているため、短時間でインロックを解除してくれます。ただし、業者によっては費用が高額になることもあるため、事前に解除費用を確認するようにしましょう。
【緊急性が高い場合】119番(消防)に通報する
インロックして車内に子供やペットが閉じ込められているなど、非常に緊急性が高い状況には、119番(消防)に通報するようにしましょう。
消防の「火事ですか?救急ですか?」の問いに対しては、「救急です」とはっきり答えます。すると消防は、緊急救助の対応のために駆け付けてくれます。
このような状況下では、車の窓ガラスを割って救助するといった対応になりますが、安全を最優先に考えるようにしてください。また、あくまで緊急時のみの手段であり、気軽な通報はNGです。
車のインロックが起きる原因
車のインロックは、なぜ年間12万件以上も起きるのでしょうか。ここでは、車のインロックが起きる原因について解説します。
車内にキーを残したままの施錠
車のインロックが起きる主な原因は、車内にキーを残したままドアを施錠してしまうことです。
本来、スマートキーは、車内に置いてあるときにはロックはかかりません。しかし、スマートキーに備わるトランクオープナースイッチでトランクのみを開けて中の荷物を出し入れした際、トランク内にそのままスマートキーを置き忘れてしまうケースがあります。
最近の車は盗難防止のために、スマートキー操作による解錠後、約30秒以内にドアを開けたりエンジンスタートボタンを押したりする操作をしないと、すべてのドアが施錠される仕組みになっています。そのため、トランク内のスマートキーの置き忘れによるインロックが発生するのです。
スマートキーの電池消耗・電池切れ
スマートキーの電池が消耗していたり、電池が切れていたりすると、車がキーの存在を検知できなくなり、ロックされてしまうことがあります。
これは、車に電波を発信することでドアを開けたり閉めたりするスマートキーにおいて、長期間電池交換を行っていなかった場合に起こります。定期的な電池残量のチェックが必要です。
スマートキーの電波の遮断
スマートキーの電波が何らかの事情で遮断された場合、車がキーの存在を検知できず、インロックが起きることがあるので注意が必要です。
例えば、金属製の容器にスマートキーを入れていたり、電波を干渉する機械の近くに置いていたりすると、この問題が発生する可能性があります。
子供などによる車内からの施錠
子供やペットが、車内でスマートキーやドアのロックボタンを誤って操作し、ドアをロックしてしまうことも考えられます。このような場合、外から鍵を開ける手段がなくなり、インロックが起きることになるのです。
この状況は、特にエンジンをかけたまま、買い物などで子供を一時的に車内に残しておく場合に起こりやすいでしょう。子供やペットに熱中症のおそれもある、極めて危険な行為です。
誤作動
ごくまれに、発電所や電波塔などの近くで強い電波の干渉を受けることがあります。
すると、スマートキーが誤作動を起こし、意図せずロックがかかる場合もあるので注意が必要です。
車のインロックの防止策
車のインロックを防ぐには、いくつかの対策を講じておくのをおすすめします。ここでは、車のインロックの防止策について解説します。
車に乗るときはスマートキーを必ず携帯する
車のインロックを防ぐ最も簡単で効果的な方法は、車に乗るときにスマートキーを必ず携帯することでしょう。短時間であってもいっしょに乗車し、いっしょに降車するつもりで携帯します。
車に乗っている際も、スマートキーを車内に置かず、常にポケットやバッグなどに入れて肌身離さず持つようにする習慣をつけることで、インロックの発生を防ぐことができるはずです。
スマートキーの電池を定期的に交換する
スマートキーの電池の消耗や電池切れが原因で発生するインロックに対しては、定期的な電池交換が有効な防止策となります。
スマートキーの電池残量については、車内の警告灯やアラームなどで知らせてくれるのが一般的です。また、使用中にボタンを押しても反応が鈍いといった場合、電池の寿命が近い可能性があります。
子供やペットを車内に置き去りにしない
インロックを防ぐため、子供やペットは、どんなに短い時間でも車内に置き去りにしないようにしましょう。
特に小さな子供は、車内でスマートキーのボタンを押して遊んでしまうことがあり、それが原因でインロックが発生することもあるからです。
なお、インロックが起きなくても熱中症の危険があるため、基本的に子供やペットを車内に置き去りするのはNGだと考えておくべきです。
スペアキーもすぐに出せるよう用意しておく
電池が切れたり、電場が遮断されたりしたときに備えて、スペアキーをバッグやキーケースに入れてすぐに出せるようにすることも、インロック対策として有効です。
場合によっては、バッグにスマートキーの中身であるメカニカルキーのみを入れておくことで、電波が遮断されるような場所でのインロックでも迅速に対応できます。
ただし、スペアキーを紛失しないように注意してください。
車のインロックのNGな解除方法
車のインロックが起きたとき、焦って車にダメージを与えるような解除の方法を試みないよう、注意が必要です。最後に、車のインロックのNGな解除方法について解説します。
針金やハンガーなどでこじ開ける
車のキーをインロックしてしまったとき、針金やハンガーを使って無理矢理こじ開けようとする方法は、非常にリスクが高いといえます。なぜならこの方法は、車のドアや鍵穴を傷つける可能性が高く、結果的に修理費用がかさむ原因となるからです。
また、最近の車はセキュリティ対策が強化されており、このような方法では解除できないのが一般的です。窃盗犯と間違えられるリスクもあります。
窓ガラスを割る
インロックの緊急解除方法として、窓ガラスを割ることはおすすめできません。車の窓ガラスは非常に強度が高い上、割れたガラスの破片でケガをするリスクがあり、さらに窓ガラスの修理費用も高額になります。
子供やペットの救出の最終手段として行わざるをえない場合もありますが、それにしても自分で行うよりは119番に通報したほうが無難といえるでしょう。
自動車保険をロードサービスで比較・検討して選ぼう
車のインロックは、年間12万件以上発生している車の代表的なトラブルです。スマートキーでも操作を誤って、車内に閉じ込めてしまうことがあります。インロックが起きた際には、自分でこじ開けたり窓ガラスを割ったりせず、JAFや自動車保険のロードサービスに救援を依頼してください。
ほとんどの自動車保険にはロードサービスが付帯しており、インロックやバッテリー上がりなどの車両トラブルに対応しているのが一般的です。しかし、レッカーサービスの無料の範囲や、宿泊・帰宅・搬送費用の限度額は、保険会社によって違いがあります。そのため、自動車保険の加入・更新時は、保険料だけでなく、ロードサービスの内容についても比較・検討することをおすすめします。
ただし、それぞれの会社のウェブサイトで見積もり依頼はできるものの、相当の手間や時間がかかります。そこで、一括見積もりサービスを利用して、手軽に見積もりを依頼しましょう。
自動車保険の保険料やドライブレコーダーなどのサービス内容を複数の保険会社で比較・検討する際には、インズウェブの「自動車保険一括見積もりサービス」が便利です。複数社の見積もりが一度に取れるので、比較・検討がしやすくなります。ぜひ、「自動車保険一括見積もりサービス」をお試しください。