中古車の購入を検討するときにポイントとなるものとして年式と走行距離があります。一般に、初度登録から年数がたつにつれて車の価格は安くなっていきますが、中古車を購入するなら何年落ちのものがよいのでしょうか?また、年式と走行距離はどちらが重要となるのでしょうか?
○年落ちとは
○年落ちとは、その車両が日本国内で初めて登録された年から何年たっているかを表しています。例えば、初度登録年が2019年の車を2022年に買う場合は3年落ちのように表現されます。
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ポイントは3年・5年・7年落ち
中古車を買うにあたって、できるだけ「安くて状態のよい車を購入したい!」と思うのではないでしょうか?そうした場合にポイントとなるのが3年・5年・7年落ちの車です。なぜ3年・5年・7年かというと、車検を迎えるのを機に車を手放す人が増えるからです。すると、その年式の中古車の流通量が増えるため、車の状態の割には車両価格が安くなることが多くなります。
「すぐに車検を迎えるのであれば結局高くなりそう……」と思うかもしれませんが、中古車販売店に在庫としてある間に車検を済ませている車もありますし、車検前だとその分販売価格も安くなっていることも多いです。自分で車検代を払う方が条件のよい車が見つかることもあるので、車検後の車にこだわりすぎない方がよいでしょう。
以下では、3年落ち、5年落ち、7年落ちのそれぞれで選び方のポイントを紹介します。
3年落ちの車
3年というのは最初の車検を迎える年です。新車のメーカー保証(一般保証)が3年であることから分かる通り、3年落ちくらいでは車の故障や不具合は非常に少なく、まだまだ状態のよい車が多いです。しかしその分、低年式の車(年式の古い車)よりも車両価格は高くなります。そこで狙い目となるのが年式に対して走行距離が多い車です。そうした車は高速道路の走行といった長距離運転で走行距離が伸びた可能性があり、走行距離が多いために車両価格が安くなっている場合があります。高速道路は一定の速度で走行する距離が長いので、車体へのダメージは抑えられます。つまり、車両の状態の割に価格が安い中古車を手に入れやすいのです。
5年落ちの車
2度目の車検のタイミングともなる5年落ちの車は多くのモデルでお得に中古車を手に入れることができます。残価設定型ローンを利用する場合、返済期間を5年と設定することが多く、結果として中古車の流通量が多くなります。また、メーカーの特別保証が切れるタイミングでもあるので、今後のメンテナンス費用・修理費用を考えて車を手放す人もいます。日本自動車工業会の調査では、車を買い替えた人で前の車が新車だった場合、保有期間4年・5年で買い換えた人は13%でした。
~1年 | ~3年 | ~5年 | ~7年 | ~10年 | 10年超 | 平均 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
全体 | 1% | 11% | 18% | 19% | 29% | 22% | 7.1年 |
前新車 | 0% | 8% | 13% | 17% | 32% | 29% | 7.7年 |
前中古車 | 3% | 17% | 25% | 22% | 22% | 11% | 5.9年 |
※標本サイズは、全体:n=2887、前新車:n=1853、前中古車:n=1034
※保有期間平均値の算出には、各カテゴリーに対して次の代入値(ウェイト値)を用いている。1年以内=0.75年、2年以内=1.5年、3年以内=2.5年、4年以内=3.5年、5年以内=4.5年、6年以内=5.5年、7年以内=6.5年、8年以内=7.5年、9年以内=8.5年、10年以内=9.5年、10年超=10.5年
そして、流通量が増えて車両価格が安くなりますが、2019年3月末時点の乗用車の平均使用年数(初度登録から抹消登録までの平均年数)は13.26年であり、購入後にもまだ長くその車に乗ることができます。
7年落ちの車
5年落ちで紹介した表の通り、新車を手放す人は保有期間5年よりも7年の方が多くなります。また、初度登録から7年もたつと車両価格の相場としてはかなり下がります。そのため、とにかく安く車を手に入れたいのであれば7年落ちの車がよいでしょう。しかし、車の状態としては3年落ち、5年落ちよりも落ちるので走行距離が短めの車が狙い目です。車両価格は上がりますが、7年落ちともなるとあまり高くは設定できません。とはいえ、7年落ちで2~3万kmなどあまりにも走行距離が短い車は長い間使用されずに放置されていた可能性もあるので注意が必要です。走行距離は一般に、1年で8,000km~10,000kmなのでそれを目安に探してみましょう。
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10年落ちの車は大丈夫?
車の寿命は10年、10万kmと言われてきました。そのため、10年落ちの車となると故障のリスクから購入に二の足を踏む方もいるのではないかと思います。しかし、近年の車は耐久性や安全性が向上しているため10年落ちの車でも購入の選択肢になりえます。
もちろん新車や高年式の車(年式の新しい車)と比べて故障や不具合は発生しやすくなりますし、タイミングベルトの交換時期の目安が10万kmとされているなどメンテナンス・整備は必要となってきます。走行距離があまりにも長い車は適切なメンテナンスがされているのか確認が必要でしょう。また、逆に10年落ちなのに走行距離が2~3万kmなどと非常に少ない場合も長い間放置されていた可能性があるので注意が必要でしょう。
そして10年落ちの車で意識しなければいけないこととして税金があります。自動車税、重量税は初度登録から13年経過すると税額が高くなります。自動車税は各排気量とも約15%高く、自動車重量税は約40%高くなります。そのため、10年落ちの車を購入する場合、数年でまた乗り換えるか維持費が上がるのを覚悟で同じ車に乗り続けるのか選ぶ必要があります。
年式と走行距離のどちらが重要?
ここまで年式をメインとして説明してきましたが、中古車選びでは走行距離も重要となってきます。どちらを重視すべきかということがよく話題となりますが、年式が新しければ問題はない、あるいは走行距離が短ければ問題ないということはなく、結局のところは個人の好みによるところも大きく、両者のバランスを見て判断することになります。
高年式の車であれば3年落ちのところで書いたように、高速道路で長距離の運転をしたような多少の走行距離の多さはむしろ狙い目となりますが、それでもやはりあまりにも走行距離が長いと消耗品類の具合が気になるところです。
また、走行距離を重視して短ければ短いほどよいということも言えません。7年落ち、10年落ちなどの低年式で走行距離が2万kmと短い場合、運転されずに放置されていた期間が長くあった可能性があります。車も適度に動かさないと劣化が進みますし、長く放置されていたような車はメンテナンスが適切に行われていない可能性もあります。
そうしたことを考えると、1年で8,000km~10,000kmを目安として、そこから機能面や性能を重視するのであれば年式の新しさを重視し、消耗品類やオイル系統の状況などを重視するのであれば走行距離を重視するというような考え方をするのがよいでしょう。
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モデルチェンジ前のバージョンも狙い目
車検を機に車を手放す人が増えることから3年落ち、5年落ち、7年落ちについて説明してきましたが、状態の割に値段の安い車を購入したいのであればマイナーチェンジが行われた車の古いモデルも狙い目となります。新しいバージョンが出るとそちらに人気が集中するため、マイナーチェンジ前のモデルの価格は下がる傾向にあります。そのため、車の状態の割には安い車も見つかりやすくなるのです。
また、フルモデルチェンジが行われた場合はマイナーチェンジよりも価格の下がり幅が大きくなります。新しいモデルへの人気の集中のほか、新型が出たのに合わせた買い替えや展示車や試乗車の入替などで流通量が大きく増えるためです。ただ、フルモデルチェンジとなるとデザインも性能も一新されることが多いので、新しいモデルの車とは別の車であるというつもりで購入するのがよいでしょう。
まとめ
車検を機に車を手放す人が多くいるため、3年・5年・7年落ちの車は流通量が増えて価格が下がりやすくなります。できるだけ安くて状態のよい車を手に入れたいのであれば3年・5年・7年落ちの車が狙い目となってくるでしょう。また、モデルチェンジが行われると古いモデルの価格は下がる傾向にあります。マイナーチェンジよりもフルモデルチェンジの方が下がり幅が大きいです。安く中古車を買いたいのであればモデルチェンジが行われた車も狙い目となるでしょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。