新潟県警によると、雪道事故の特徴であるスリップ事故は毎年一定数発生しており、雪道に慣れていない県外の運転者が引き起こした事故も含まれていますが、多くは雪道には慣れている地元の運転者が引き起こした事故によるものです。少しでも油断すると慣れていても事故の危険性が高くなるのが、雪道運転です。雪道運転初心者の方も慣れている方も、注意点を確認しておきましょう。
もくじ
凍結した道路を運転する際のコツ
雪道運転において、自分自身がスリップ・スピンを起こさないことも大切ですが、他者のスリップ・スピンに巻き込まれないことも大切です。その為には、
①「急」のつく運転操作をしない
②車間距離を十分に空ける
③スピードは抑えることが基本です。
急加速・急ハンドル・急ブレーキは厳禁
凍結・積雪路面では、急な操作や加速はスリップやスピンを引き起こし、衝突事故に繋がる可能性があります。雪道の摩擦係数は乾燥時の路面の3分の1、凍結路面だと5分の1といわれており、とても滑りやすくなっています。また、雪道は摩擦係数が低い為ブレーキの制動距離が乾燥時に比べ長くなり、追突事故になりやすい傾向にあります。
気象情報はもちろん路面情報にも注意し、「急」な運転操作はせず路面状況に応じた余裕をもった操作を行うことで事故を防ぐことができます。
車間距離を十分にとる
スリップ事故の大半は追突事故です。夏場と同じ感覚でブレーキを踏んでも雪道では止まりきれませんので、車間距離は晴天時の2~3倍取るように心がけましょう。車間距離を長めにとることで追突事故を回避するだけでなく、前車の水しぶきを浴びたり、前車が跳ね上げた雪がフロントガラスについたりするなど、視界を妨げることの回避にもなります。視界不良になると、追突事故の危険性が高まります。追突事故防止、ならびに急ブレーキを踏まなくてもすむように前車との車間距離に十分に注意しましょう。
スピードは抑えて等速走行する。
雪道の路面は乾燥時の路面に比べて停止距離が長くなり制動が効きにくくなります。スピードが速くなるほどこの停止距離は伸びてしまう為、スピードを出せば出すほどスリップの危険性が高まります。また、水溜まりのできているところでスピードを出し過ぎると、ハイドロプレーニング現象が発生する恐れもあります。
危険を感じても停止距離の増加により、ブレーキを踏んでも間に合わないことがあります。常に危険を回避できるくらいスピードは抑えて、等速走行を心がけましょう。
雪道運転時の気をつけること
スリップ事故時の路面状況で最も多いのが「圧雪・アイスバーン」状態です。圧雪・アイスバーン状態の路面を走行する際には、エンジンブレーキを活用したブレーキングとわだちを外さないハンドル操作が大切です。
ブレーキのかけ方
雪道でのブレーキングは、エンジンブレーキを使用しましょう。エンジンブレーキを使用する際も急激なシフトダウンは急ブレーキと同じことになりますので、緩やかにシフトダウンしましょう。
車を停止する際にもブレーキを強く踏むと車輪がロックしてスリップしてしまうことがありますので、ブレーキ効果を確かめながら徐々に踏み込むブレーキングが必要になります。
特に、0度前後の道路状況はアイスバーン化していることがあり、滑りやすくなっているので注意しましょう。
わだちのある雪道
わだちのある雪道では、追い抜きはせずわだちに沿って走行した方が安定します。その際はハンドルを軽く握り、走行の調整をしながら前車とは十分な車間距離をとって走行しましょう。なお、わだちが深い場合や轍から脱出する場合はしっかり握って操作しましょう。
雪道で車がスリップしない為に
スリップ事故を法令違反別に分類すると、ブレーキまたはハンドルの不適切な操作要因が大部分を占めています。したがって、路面に応じた運転操作を行うことがスリップ事故防止に繋がることが分かります。
また、スリップ事故の操作誤りは「ブレーキを強く踏みすぎてしまうこと」と「ブレーキ操作が遅れたこと」等「ブレーキ操作のミス」によるものが主な要因となっています。


雪道の路面は、晴天時の路面に比べて制動距離が長く、急なブレーキやハンドル操作が効かなくなります。同じ路面でも場所によって路面状況は大きく異なりますので、走行中は路面の変化に注意して、いつもより控えめなスピードダウン、長めの車間距離を心がけ、適切な運転操作を行うことによってスリップ事故を防ぐことができます。
スリップしてしまったら?
スリップに驚いて急なハンドル操作や急ブレーキを踏むことで、衝突事故に繋がる可能性が高まります。凍結・積雪路面では、急な運転操作は事故に繋がりやすくなっていますので、ハンドルはゆっくり操作しスリップの方向にハンドルを切りましょう。また、急ブレーキはせず、アクセルは緩めタイヤの摩擦力が回復するまで、待つことが大切です。
雪道運転の注意点
スリップ事故が特に多いポイントにおける注意点を道路形態別に紹介します。
カーブ
カーブ手前の直進時にしっかり減速
雪道のカーブで油断してスピードを出し過ぎると、スリップ事故になることが多いです。
カーブに進入する前には、スピードを落としてカーブの途中では一定の速度を保てるような丁寧なアクセル操作を心がけましょう。乾燥路面では直線に入る手前から加速しだすことも多いですが、コーナリング中のブレーキやアクセル操作は車が不安定になり、雪道ではスリップやスピンの原因となります。完全に直線になってから徐々に加速するようにしましょう。
また、雪道のカーブでは自車も他車もスリップして対向車線に突入する危険性が高いので、できるだけカーブではすれ違わないようにしましょう。
交差点
交差点とその付近は滑りやすいアイスバーン状態になっているため、スリップに注意
雪道の交差点やその近辺は、多くの自動車がブレーキを踏んだりして路面を滑り磨くため、つるつるに磨かれたアイスバーン状態になっていることが多く、スリップしやすい状態です。
交差点進入時には、信号が赤に変わっても停止できるように、余裕をもってかなり手前から速度を落としましょう。交差点の信号が青信号に変わった場合でも、左右方向からの車が止まりきれずに交差点に進入してくることもあります。交差点進行時は左右の安全を確認しながら、ゆっくりと交差点に進入するのが安全です。また、右左折時には、方向指示器は早めに点灯することで前方車両、後続車両に交差点で曲がろうとしていることを知らせるとともに、スリップ回避のために徐行することを心がけましょう。
赤信号で停止する場合は、停止線のかなり手前からポンピングで後続車に停止することを知らせ、エンジンブレーキで減速しましょう。早めのブレーキ操作は後続車両にも早めのブレーキ操作を促し、追突されることを避けることにもなります。信号待ちで停止する際には、突発的なスリップによる追突防止のためにも前方車両との車間距離を十分にとりましょう。
トンネル
トンネルの出入口付近は凍結しやすく、入り口手前から徐々に減速、出口付近ではスピードの出し過ぎに注意
圧雪道路を走行して来た場合、トンネルの入り口付近では、昼間、気温が高い時にトンネル内で解け出した雪が凍結していることもあり、スリップ事故が多いポイントです。
雪道走行中にトンネルが見えてきたときは、入口手前から徐々に減速しましょう。
長いトンネルの場合、トンネルの中は乾燥路面となっていますが、トンネル出口では凍結していたり、外に出た途端、圧雪路面になっていることもあります。
路面の変化から、慌てて急ブレーキを踏むことで路面凍結によるスリップをしたり、後続車に逆追突されることもあります。トンネル内では加速することなく、不測の事態に対処できるよう控えめなスピードで等速走行に努めておきましょう。
坂道
上り坂の途中で停止することは極力回避!下り坂は手前で十分な減速が必要!
上り坂の途中で停止すると、スリップして登れなくなる可能性があります。また、再度発進する際に急なアクセルを踏むとスピンをする危険性があります。
雪道の上り坂では、手前で加速しておき、高めのギアで登坂するようにして、上り坂の途中で停止することを極力回避しましょう。
特に大型車の場合は、上り坂で停止すると身動きできなくなってしまうこともありますので、スタッドレスタイヤの上にチェーンを装着しましょう。
雪道の下り坂は、スピードが出やすくスリップしやすい場所です。下り坂の手前で十分減速しておき、エンジンブレーキを併用して低速で走行しましょう。特にアイスバーン状態になっていると制動距離が予想外に長くなり、坂の途中で停止することが不能となり追突事故が発生する危険性が高まります。
途中で減速しようとしても手遅れになることもありますので、手前で十分減速しておくことが大切です。
ロードサービスは使える??
雪道でタイヤがスタックして抜け出せない状態からの救援は、事故や故障に該当しない為、ロードサービスの補償対象にはなりません。ほとんどの保険会社が有料対応として実施しています。なお、雪道の事故であったり、道路溝へ脱輪している場合は対象となります。JAF会員の場合は、JAF提供サービスの対象となります。
中には雪道でのスタックでも補償対象としている保険会社も数社ありますので、ロードサービスを比較する際に参考にしてみてください。
雪道でのスリップが原因で、追突したり他物に突っ込んだりするような事故によるロードサービス救援要請は、雪が多いエリアや積雪の日は多発します。雪道で車を使用することが多い人はロードサービスを重要視してみてください。「事故対応の口コミ」を参考にするのもおすすめです。
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