自転車は道路交通法では「車のなかま」で車道左側通行が原則です。 自転車のイヤホン運転事故やスマートフォンを見ながらの「ながらスマホ」による事故などが問題となっており、自転車の交通ルールやルール違反の罰則も強化されてきていますが、万が一加害者や被害者になってしまうリスクに備えての保険について確認しておきましょう。
自転車保険と自動車保険の自転車特約について
主に自転車に乗っている間に発生した損害を補償してくれる自転車保険。または、自動車保険にオプションで付帯できる自転車特約はご存知でしょうか。 平成29年の自転車関連事故( 自転車が第一当事者又は第二当事者となった交通事故 ) の件数は、90,407件 で全交通事故の20%を占めています。 自転車関連事故の相手当事者の84%が自動車のため自転車保険や自動車保険の自転車特約に加入しておくと安心ですが自転車で事故を起こしてしまった場合、巻き込まれた場合はその他の保険でカバーできるものも多くあります。(出典:警察庁オンライン)
自動車保険の自転車特約は自分に対する傷害補償をメインとするものと他人に対する損害賠償リスクに備えたものがあります。保険会社によっては同時に備わっているとは限らないため加入するときには補償の内容をしっかりと確認しましょう。その点、自転車保険は基本的に個人賠償責任補償がセットされていることが多く、自転車運転による大きな事故を起こしてしまった場合に備えた損害賠償責任リスクをカバーできる可能性があります。 ただし加入する際には補償内容をしっかり確認することが大切です。
ポイント
自転車保険
- 傷害補償と個人賠償責任保険がセットされている
- 自転車事故の利用においてのみの保険ではなく幅広い損害に対応可能
自動車保険の自転車特約
- 保険会社によっては傷害補償と賠償責任補償の両方とも備わっているとは限らない
自動車保険の個人賠償責任保険でカバーできること
個人賠償責任保険に加入していると相手にケガをさせてしまった時の損害賠償に対応できます。自動車保険の個人賠償責任保険に加入している場合、 契約者やその家族が他者の身体や所有物に損害を与え、損害賠償責任を負った場合に生じた 損害賠償金を補償してくれるので自転車事故においても適応となります。最近では示談交渉サービスが付いていることが多いですが、付いていないこともあるので補償内容を確認するようにしよう。
自動車保険の人身傷害補償保険でカバーできること
自動車保険の人身傷害補償保険に加入している場合、自転車事故であっても対自動車の事故の場合であれば補償が受けられます。自分が自転車を運転していて自動車とぶつかってけがを負ってしまった場合、自動車を運転していて自転車とぶつかってしまった場合などです。自動車との接触の場合のみとなり自転車同士の事故、自転車と歩行者の事故などは補償対象外です。また、自分がケガをしてしまった場合の補償となります。加入の内容によっては自動車に搭乗中の事故のみ対象の補償の場合もありますので補償内容に注意しましょう。
自分がケガをしてしまった場合はまずは健康保険を利用することになります。日本には高額療養費制度もあり医療費が上限額を超えると加入の健康保険組合や市区町村が負担してくれますので任意加入の保険はその補てん分となります。補てん分においては既に加入している生命保険などでカバーできている可能性があることも覚えておきましょう。
自転車保険加入の義務化?
自転車の運転中の事故による高額な損害賠償請求の話題などニュースになったこともあるように自転車事故も多くの死傷事故につながるリスクがあります。過去には小学生が自転車で坂道を走行中に62歳の女性と正面衝突してしまい、重症を負わせてしまった事故などもありました。その時の1億円近い賠償命令の判決には驚かされましたが最近では自転車による死傷事故の賠償額が高額化しています。
そのような影響もあり自転車保険や個人賠償責任保険の加入の義務化を発表する自治体も増えてきました。賠償リスクに備えた保険の加入義務化は各自治体の取り組みの一つとなりますが、 自転車は小さな子供からお年寄りまで運転する機会のある乗り物のためしっかりリスクに備えた準備を心がけておきましょう。加害者が子供や未成年であっても賠償責任は課せられることになるため家族でしっかり相談しておきましょう。個人賠償責任保険は火災保険に付帯されていることも多くあります。ご家庭で加入している保険と補償内容を確認しておくことはとても大切です。
まとめ
自転車事故のニュースを見たり話を聞いたりしたときに、自分にも起こるかもしれないリスクとして心配になることもあると思います。そんな時、今加入している保険を見直し自転車事故に対応する補償も付帯されていないか確認してみましょう。新たに加入しなくてもカバーできている可能性があれば必要以上に保険料を支払う必要はないでしょう。しかしながらもっと補償を手厚くしたいと考えている場合や自転車事故にカバーできる保険の加入がない場合などは加入済みの自動車保険の保険会社に相談してみるのもいいでしょう。