車を買い替えた時には保険会社に連絡して「車両入替」という手続きを行う必要があります。この手続きを行わないと、今まで入っていた自動車保険の補償を新しい車にも適用することができません。車を買い替えた時に必要な車両入替についての知識を紹介します。
もくじ
車を買い替えたら車両入替の手続きが必要
自動車保険は車を買い替えたら自動的に契約車両が変更になるということはありません。自分で保険会社または代理店に連絡して車両入替の手続きを行う必要があります。車両入替を行うことで、自動車保険の契約車両を新たに取得した車に移行することができるのです。
車両入替を行わなかった場合、事故が起こったときに保険金が支払われないこともあります。自動車保険は契約車両について生じた損害を補償するものです。車両入替で契約車両の変更がなければ、新しく取得した車は保険に入っていないのと同じです。
車両入替ができる条件は?
車両入替を行うには実はいくつかの条件があります。条件を満たさなかった場合には車両入替ではなく新規加入することとなります。その条件とは、保険会社によって異なることもありますが、おおむね以下の通りです。
- 車を新たに取得あるいは1年以上の借り入れする場合、または、複数の車を所有している場合に契約車両を廃車・譲渡・返還した場合
- 入替後の車の所有者が入替前と同じか、入替前の記名被保険者・記名被保険者の配偶者・(記名被保険者またはその配偶者の)同居の親族か、ディーラー/リース会社で使用者が記名被保険者本人・配偶者またはその同居親族であること
- 入替前後の自動車が同一の用途車種で自家用8車種※であること
※自家用8車種とは、自家用普通乗用車、自家用小型乗用車、自家用軽四輪乗用車、自家用軽四輪貨物車、自家用小型貨物車、自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)、自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下)、特種用途自動車(キャンピング車)を指します。
なお、詳細な条件については保険会社または代理店にご確認ください。また、車を譲り受けた場合には先に車の名義変更の手続きが必要となります。この場合、新規購入での車両入替よりも手間がかかることが多いので、管轄の運輸支局に流れを確認しておくとよいでしょう。
車両入替の手続きのタイミングは納車日前
車両入替の手続きは新しい車の納車日前に行いましょう。そして契約変更日を納車日に設定することで、納車日から新しい車に保険を適用することができるのです。
仮に手続きを忘れていて車両入替が納車日後になってしまっても手続きを行うことはできます。ただし、細かくは保険会社によって異なりますが、猶予の目安としては新しい車を取得した翌日から30日以内となっています。それを超えると車両入替を行うことができず、新しい車で補償を受けるには新規契約が必要になります。
新しい車を取りに行くのに古い車に乗って大丈夫?
納車日当日を車両入替日とした場合、新しい車を取りに行くのに今まで乗っていた車を運転していっても補償の対象となるのでしょうか?答えとしては、問題なく補償の対象となります。新しい車を取りに行くまでは今までの車が補償の対象となり、新しい車を運転してからは新しい車の方が補償の対象となります。
車両入替に必要なものは?
車両入替の手続きには、新しい車の車検証が必要です。また、保険料の差額の精算が必要となる場合には銀行口座の情報などが必要となります。また、車の積算距離計(オドメータ)の数値が必要な保険会社もあります。
手続きを行うまでに車検証を用意できない場合は、売買契約書などでメーカー名、車名、型式、登録番号(ナンバープレート)、車台番号、初度登録年月、所有者、使用者といった情報を用意してください。
保険会社によっては他に必要な書類や情報がある場合もありますので、契約している保険会社に連絡するときや公式サイト上などで確認するようにしましょう。
車を買い替えたら等級や保険料はどうなる?
車を買い替えても等級は引き継げる
車を買い替えてもきちんと車両入替の手続きを行えば、買い替え前の等級を引き継ぐことができます。等級が上がると保険料の割引率も高くなるので、等級を引き継げるのは安心です。
もし、車の買い替えと同時に保険会社の変更も行うつもりであれば、少し注意が必要です。保険会社を変更しても等級を引き継ぐことはできますが、満期日を待たずにほかの保険会社に乗り換える場合、等級が上がるのが遅れてしまいます。等級を上げるには、新しい保険会社に切り替えてから1年間無事故である必要があるからです。
また、変更前に保険を使っていて次の更新で等級が下がる場合、新しい保険会社に変更した時点で下がった等級での契約となってしまいます。
車を買い替えたら保険料も変わることがある
自動車保険の保険料は補償内容や等級が同じであっても契約車両に違いがあれば異なる保険料になることがあります。
普通乗用車や小型乗用車、軽四輪乗用車の場合、車の型式ごとにリスクを区分した「型式別料率クラス制度」が導入されています。事故が多く、保険金の支払実績が多い型式は保険料が高く、逆に支払実績が少ない型式は保険料が安くなるようになっているのです。そのため、車両入替によって保険料が上がることも下がることもあり得ます。
保険料が安くなった場合には、保険会社から差額分が返還されます。保険料が高くなった場合には、差額分の保険料を支払う必要があります。支払い方法は保険会社によって違いがありますが、支払いを終えないと車両入替の手続きは完了しないので支払期日までに必ず支払うようにしましょう。
車の買い替えは補償内容見直しの良い機会
普段は自動車保険の補償内容について見直す機会はなかなかないことだと思います。しかし、車が新しくなれば車両保険の有無など必要な補償内容も違うことが多いです。車両入替のタイミングで、新しい車に対する補償内容が今の補償内容で適切なのか一度考えてみるとよいでしょう。
そして、補償内容が異なれば保険料にも違いが出てきます。満期日前に保険会社を変えることにはいくつかの注意点もありますが、他の保険会社の見積もりもとってみると良いかもしれません。思わぬ保険料の節約ができる可能性もあります。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。