車を手放した、あるいは海外に渡航したなどの理由で中断した自動車保険がある場合、条件を満たせばその中断証明書を使って昔の等級を引き継いで契約を再開することができます。自動車保険を再開する場合、どのようにすればよいのでしょうか。また、再開する場合にどのような条件が必要なのでしょうか。
もくじ
中断した自動車保険を再開する方法
中断証明書を利用して自動車保険を再開する場合、中断証明書や新しく契約する車の車検証を用意して契約する保険会社やその代理店に連絡をしましょう。
保険会社によってWeb上で見積もり・申し込みができるところやコールセンターへの電話経由でしか申し込みができないところなど対応が分かれています。中断証明書の発行理由が海外渡航である場合や他社で発行された中断証明書を使うという場合はWeb上で見積もり・申し込みができないことがほとんどです。
各社で申し込み方法が異なるので、希望する保険会社に問い合わせるのが一番でしょう。
中断証明書を紛失してしまっている場合は?
契約を再開する際には中断証明書が必要となりますが、何年か経つうちに中断証明書が紛失してしまうこともあると思います。そうした場合は中断証明書を発行した保険会社に連絡して再発行を依頼しましょう。
再発行を依頼すると、「中断証明書再発行依頼書」などと書かれた書類が送られてきます。それに必要事項を記入して返送すれば再発行を受けられます。
中断証明書の再発行は依頼してから再発行されるまで2週間ほど時間がかかります。期限ぎりぎりで再発行を依頼して間に合わなかったということがないように注意しましょう。
再発行の手続きをスムーズに行うために
中断証明書の再発行の手続きをスムーズに行うために、中断証明書発行前の自動車保険の契約情報が分かれば調べておきましょう。
- 契約者名
- 記名被保険者名
- 自動車保険の証券番号
- 車の情報 (車の種類や車のナンバープレートなど)
中断した自動車保険を再開するメリット
中断前の等級で再契約することができる!
コールセンターへの電話が必要であったり中断証明書をなくして再発行が必要だったりすると、面倒なので再開させずに新規加入してもよいかと思うかもしれません。しかし、自動車保険を再開させると中断前の等級を引き継げるというメリットがあります。保険料のことを考えると、これを逃す手はありません。
たとえ再開して手に入る等級が7等級だったとしても、新規6等級が3%の割増、無事故の7等級が27%の割引であることを考えると、保険料が数万円異なる可能性は十分にあります。雑な計算ですが、等級による割増引の適用前の保険料が仮に8万円だった場合、新規6等級(6S等級)の3%割増だと82,400円、事故なし7(F)等級の27%割引だと58,400円と24,000円の差となります※。
もっと高い等級で再開できる場合はなおさら中断証明書を使って再開させた方がよいでしょう。
※等級による保険料差のイメージであり、実際の保険料の算出には他の要素も加わります。
等級 | 割増引率 |
---|---|
6S等級 | +3% |
無事故7F等級 | -27% |
無事故12等級 | -50% |
無事故20等級 | -63% |
中断証明書を使って再開できる条件
中断証明書を使って自動車保険を再開するのにはいくつか条件があります。条件を満たさない場合は以前の等級を引き継げず、新規契約で6等級から開始となります。中断証明書を使って自動車保険を再開するための条件は以下の通りです。
※保険会社によって条件が異なる場合があります。実際の適用条件については保険会社にご確認ください。
再開に必要な条件
- 中断証明書の有効期限内であること
- 新しい車を取得してから1年以内に契約を開始すること
(1か月以内とする保険会社もあります) - 海外渡航による中断の場合、出国の翌日から10年以内かつ帰国日から1年以内であること
- 中断証明書を他の契約で使用していないこと
- 中断証明書に記載の契約車両の用途車種が自家用8車種※であること
- 再開後の契約の記名被保険者が以下のいずれかであること
- 中断証明書に記載の記名被保険者
- 1.の配偶者
- 1.または2.の同居の親族
- 再開後の契約の車両所有者が以下のいずれかであること
- 中断証明書に記載の車両所有者
- 中断証明書に記載の記名被保険者
- 2.の配偶者
- 2.または3.の同居の親族
※自家用8車種とは、以下の用途車種の自動車を指します。
- 自家用普通乗用車
- 自家用小型乗用車
- 自家用軽四輪乗用車
- 自家用小型貨物車
- 自家用軽四輪貨物車
- 自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)
- 自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下)
- 特種用途自動車(キャンピングカー)
再開に必要な書類
自動車保険の再開に必要な書類は、中断理由によって異なります。
車の「廃車」「売却」「譲渡」によって中断した場合の必要書類は下記です。
- 有効期限内の中断証明書
- 印鑑
- 新たに契約する車の車検証など
海外渡航が理由で自動車保険を中断した場合の必要書類
- 有効期限内の中断証明書
- 印鑑
- 出入国日を確認するためのパスポート
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等級は同居の家族にも引き継げる
上の条件を見て分かる通り、再開後の記名被保険者は中断時の記名被保険者の配偶者や同居親族でも大丈夫です。つまり、中断した等級は記名被保険者本人だけでなく、配偶者や同居親族にも引き継ぐことが可能です。高齢のためもう自分は運転しないという場合も、同居の孫が車に新しく乗るようになったという場合は孫が高い等級を引き継いでお得に自動車保険を契約することができます。
注意点としては、等級を引き継ぐためには同居をしている必要がある(配偶者は除く)ということです。大学への進学や就職などのために同居していないという場合は等級は引き継げませんので気を付けるようにしましょう。
- ▼ここがポイント▼
- ・中断証明書があれば10年間は等級を引継げます!
・等級は家族にも引継げます!
・中断証明書は発行した保険会社以外とも等級を引継いで契約できます!
他社に乗り換えることもできる
中断証明書を使って、中断前の保険会社以外とも等級を引き継いで契約を行うことが可能です。中断前と再開後とでは車の条件や記名被保険者の条件などが変わっていると思います。そうした場合、前と同じ保険会社が最も条件がよい保険会社とはいえなくなっている可能性があります。できれば、複数の保険会社の見積もりを取って各社の保険料や補償内容を比較してみるとよいでしょう。
複数の保険会社を比較する場合、一括見積もりサイトを利用すると便利です。見積もりの条件を一度入力するだけで複数の保険会社の見積もりを取ることができます。1社1社個別に見積もりを取るのと比べて手間を省けますのでぜひ利用してみましょう。
※当サイトが提供する一括見積もりサービスは中断証明書に記載の事故件数が0件の場合のみ利用可能です。
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自動車保険の見直しも忘れずに!
中断証明書を利用して等級を引き継げる期間は10年間です。一時的に中断ていた自動車保険を10年後に再開するとなると10年前とは車を運転する状況が変わっていることが考えられます。車を運転する人の範囲や用途や車両保険の必要性などは状況が変わっていることが考えられる項目です。自動車保険を再開するときの状況で補償内容や補償の範囲を確認して契約するようにしましょう。
自動車保険を再開して契約するときの確認ポイント
- 運転者の補償範囲(運転者限定・年齢条件)
- 同乗者への補償
- 車両保険の補償範囲と必要性
自動車保険の補償内容と選び方。おすすめの特約は?
自動車保険と一口に言いますが、その中身は事故相手への補償、物に対する補償、自分や同乗者への補償、自分の車の補償などさまざまです。そして、その補償内容の選び方によって自動車保険料は左右されます。補償内容 ...
まとめ
自動車保険を再開する場合、中断証明書と新しく契約する車の車検証を用意して希望する保険会社に連絡しましょう。ただし、中断証明書を使って契約するのにはいくつかの条件がありますので注意する必要があります。また、再開するのは中断をした保険会社以外でも可能です。中断する前とは状況が変わっていると思いますので、一括見積もりサービスなどを利用して複数の保険会社の見積もりを比較してみるとよいでしょう。
※当サイトが提供する一括見積もりサービスは中断証明書に記載の事故件数が0件の場合のみ利用可能です。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。