駐車違反や一時不停止といった交通違反をしたときに交付されるいわゆる「青切符」は、正式には交通反則通告制度の「交通反則告知書」のことです。この青切符が自転車にも導入されることが決まり、話題となっています。
では、青切符と似た言葉である「赤切符」とは、何が違うのでしょうか。また、青切符を無視した場合、どうなるのかも知っておきたいところです。
この記事では、交通違反の青切符の概要と赤切符との違いのほか、もし青切符を無視した場合に起きることについて解説します。
もくじ
青切符とは、交通反則通告制度の交通反則告知書のこと
青切符とは、交通反則通告制度において交付される、青色の交通反則告知書を指します。「交通反則切符」とも呼ばれるものです。
そもそも交通反則通告制度は、比較的軽い道路交通法違反に対して適用され、刑事上の処分の罰則適用に代わって反則金を納付する制度です。刑事上の処分(未成年者の場合は家庭裁判所の審判)まで至ることなく法令違反の処理を迅速に完了できるので、違反したドライバーと警察双方の負担が軽減できるメリットがあります。
一般的な刑事処分では、法令違反を行った場合、警察が捜査・送致し、検察庁が起訴した上で、裁判所が有罪・無罪や罪の軽重を判断します。
一方、青切符を受け取った場合は、指定された期間内に反則金を納めれば、それ以上罪に問われることはありません。
なお、交通違反に対する行政上の処分には、違反点数の加算もあります。反則金を納めることで刑事上の処分には至らないものの、違反点数は加算されるので注意が必要です。
青切符の対象となる交通違反
青切符は、違反点数1~3点の、比較的軽い交通違反を反則行為として交付されます。ここでは、青切符の交付対象となる交通違反について解説します。
一時停止違反
一時停止違反とは、踏切や信号機がない交差点などで一時停止を怠った場合の交通違反です。道路交通法第33条(踏切の通過)あるいは第43条(指定場所における一時停止)違反となり、青切符が交付されます。
なお、青切符の交付による反則金は、普通自動車の場合、前者は9,000円、後者は7,000円です。
駐停車違反
駐停車が禁止されている場所に駐車や停車を行った場合、青切符が交付されます。例えば、交差点や横断歩道など、駐停車が禁止されている「駐停車禁止場所」での違反の場合、道路交通法第44条違反となり、反則金として普通自動車では1万8,000円が科されます。
なお、消火栓や道路工事区域の端から5m以内といった「駐車禁止場所」での違反の場合、道路交通法第45条違反となり、普通自動車の反則金は1万5,000円です。
信号無視違反
信号機や警察の手信号無視といった信号無視は道路交通法第7条違反となり、青切符の対象です。
赤信号などを無視して交差点を通過した場合、普通自動車では反則金9,000円が科せられます。点滅信号無視の場合、反則金は7,000円となります。
30km/h未満の速度超過
道路交通法第22条では、道路標識などで指定された最高速度を超えて走行すると、速度超過となり青切符が切られます。標識がない場合は、一般道路だと60km/hの法定速度が基準です。
30km/h未満の速度超過で青切符が交付された普通自動車の反則金は、1万8,000円です。
携帯電話使用等(保持)違反
走行中の携帯電話(スマートフォンなど)の使用・保持による、いわゆる「ながらスマホ」の事故は、近年増加中です。道路交通法第71条第5号の5で禁止されている携帯電話の使用などで青切符が交付された場合、普通自動車の反則金は1万8,000円となっています。
なお、ながらスマホによって事故を起こすなど「交通の危険」を生じさせた場合は、交通反則通告制度の反則行為ではなく、1年以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が適用されます。
青切符とほかの切符との違い
交通違反をすると交付されるものとして、青切符とよく似た名称の切符があります。ここでは、青切符とほかの切符との違いについて解説します。
赤切符との違い
赤切符は、正式には「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」のことで、反則金ではなく罰金が科される赤色の書類です。「交通反則切符」(青切符)に対して「交通切符」と呼ばれています。
青切符が比較的軽微な交通違反を対象とするのに対し、赤切符は30km/h以上の速度超過や無免許運転、酒気帯び運転など、違反点数6点以上の重大な交通違反を対象とする点が大きく異なります。
赤切符の交付を受けた場合は、免許取り消しや免許停止といった行政上の処分だけでなく、刑事上の処分も科せられます。刑事裁判(略式裁判)による罰金刑は犯罪歴となり、いわゆる「前科」扱いとなるので注意が必要です。
白切符との違い
白切符は、青切符よりもさらに軽微な交通違反に対して交付される白色の書類(告知票)で、「点数切符」と呼ばれています。白切符の対象となるのは、下記の交通違反です。
<白切符の対象となる交通違反>
- 座席ベルト(シートベルト)装着義務違反
- 幼児用補助装置(チャイルドシート)使用義務違反
- 乗車用ヘルメット着用義務違反
白切符は青切符と異なり、反則金を納める必要はありません。ただし、違反点数1点がドライバーに加算されます。
青切符交付後の流れ
交通違反による反則行為を行った場合、警察から下記のような反則告知を受け、その内容が記載された書面(青切符)と納付書が交付されます。
<交通違反の反則告知の内容>
- 反則行為となるべき事実の要旨
- 当該反則行為が属する反則行為の種別
- 通告を受けるための出頭期日および場所
青切符を受け取り、告知に同意する場合は、署名および押印(指印)を行います。この署名・押印は任意です。
告知日を含む8日間のうちに反則金を納付することを、制度上は「仮納付」といいます。仮納付は、納付書と反則金を持って銀行・信用金庫あるいは郵便局で行います。納付できるのは平日の営業時間内のみです。また、違反したドライバー本人あるいはその承諾を得た代理人が納付できます。
納付期限日までに納付できなかった場合、青切符といっしょに交付された納付書では、反則金が納付できなくなります。その場合、青切符に記載された出頭指定日に、各都道府県の交通反則通告センターにて、後述する「通告」を受け、新たに交付された「本納付書」を使って納付することになります。
なお、交通反則通告センターで通告を受けない場合は、告知日から概ね40~60日後に本納付書が郵送される仕組みです。この場合には、反則金に郵送料などが上乗せされます。
青切符を無視して、反則金を納付しなかったらどうなる?
青切符は、比較的軽微な交通違反に対して交付されるものですが、もし青切符を無視し、反則金を納めなかったらどうなるのでしょうか。ここでは、青切符を無視した場合に起きることについて解説します。
反則金未納は裁判により罰則を科せられる場合がある
告知から8日以内に仮納付しなかった場合には、出頭指定日に各都道府県の交通反則通告センターなどで「通告」を受け、ピンク色の通告書と本納付書を受け取ることになります。この通告書を受け取ってから11日間のうちに、反則金を納付しなければなりません。
通告後も反則金を納付しない場合には、行政手続きから刑事手続きに移行します。検察による起訴が行われて裁判を受けることになり、裁判で違反行為が認定されると、反則金ではなく罰金などの刑事罰が科されることになるのです。
反則金未納と出頭無視は逮捕される可能性も
警察や検察からの再三にわたる出頭要請を無視したり、長期間反則金を納めなかったりした場合、逮捕されることもあります。
実際、警視庁は2024年6月中に、5回以上のはがきでの呼び出しに応じず出頭しなかった292人の違反者を逮捕したことをX(Twitter)で公表しています。
青切符に関する注意点
青切符は、比較的軽微な交通違反に対して交付され、期間内に反則金を納めれば刑事上の処分を受けることはありません。ただし、いくつか気をつけておきたいポイントがあります。最後に、青切符に関連する注意点について紹介します。
一部の違反を除きゴールド免許を失う
青切符を受け取ると、一部の違反を除き優良運転者免許証(ゴールド免許)に影響を与えます。
ゴールド免許は、運転免許証を5年以上保有しており、そのあいだ無事故・無違反を継続したドライバーに交付される運転免許証で、帯色が金色(ゴールド)なのが特徴です。ゴールド免許保有者は、自動車保険料が安くなるなどのメリットがあります。
しかし、青切符の交付を受けて、行政上の処分により1~3点の違反点数が加算されると、無違反ではなくなります。青切符を切られたからといって、ゴールド免許が即座にブルー免許には変わらないものの、次回の免許更新時にはゴールド免許からブルー免許に切り替えられます。
なお、運転免許証の不携帯や泥はね運転、警音器(クラクション)使用制限違反などは青切符の交付対象ですが、違反点数は加算されず、反則金のみが科されます。つまりはゴールド免許に影響しません。
道路交通法改正で自転車の交通違反にも青切符が適用される
2024年5月に成立した改正道路交通法により、2026年までに自転車の交通違反にも青切符が適用されることになりました。自転車の青切符の対象としては16歳以上で、歩道での通行や信号無視など、113種類の違反行為が該当します。
これまで自転車の交通違反の取り締まりの多くは罰則のない「警告」で、悪質な違反に対して「赤切符」が交付されていました。そして、赤切符を交付されても不起訴となることもあります。自転車が関連する事故の割合が増加傾向のうえ、自転車が関連する死亡・重症事故のうち、約4分の3の事故で自転車側にも交通違反がある状況のため、実効性のある取り締まりのために自転車にも青切符が導入されることになったのです。
導入後は16歳以上の自転車利用者も青切符交付の対象となり、違反した場合には反則金が科されることになるので注意が必要です。反則金の金額は、原付バイクと同程度(5,000円~1万2,000円程度)になる見込みです。なお、飲酒運転など悪質な違反にはこれまで通り赤切符が交付されます。
なお、現在の制度としては違反点数がつくものではなく、ゴールド免許には影響しません。
青切符を切られずゴールド免許を取得したら、自動車保険を見直そう
青切符は、比較的軽微な交通違反を対象とした交通反則通告制度にもとづいて交付されます。
反則金を定められた期間内に納付すれば刑事上の処分を受けることはありませんが、違反点数が加算された場合、ゴールド免許を保有していると影響を及ぼすので注意が必要です。
車を主に運転する記名被保険者が、事故を起こす確率が低いとみなされるゴールド免許保有者だった場合、「ゴールド免許割引」によって自動車保険料が安くなります。青切符を受け取ることがないよう、無事故・無違反に努め、ゴールド免許を維持するように運転してください。
ちなみに、自動車保険のゴールド免許による割引率は、保険会社によって異なります。自動車保険の加入・更新時は、比較のため複数の保険会社に見積もりを依頼してください。ただし、各保険会社のウェブサイトで見積もり依頼はできるものの、手間や時間がかかります。
そこで、一括見積もりサービスを利用して、手軽に見積もり依頼をしてはいかがでしょうか。
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