車両保険は一般型とエコノミー型の2つの種類から選べるようになっていることが多いです。補償範囲の広い一般型と保険料が安いエコノミー型という違いがありますが、具体的にどのように違うのでしょうか?また、一般型とエコノミー型のどちらを選ぶ人が多いのでしょうか?
車両保険の一般型とエコノミー型の違い
車両保険の一般型とエコノミー型(車対車+限定A、車対車+限定危険などともいう)の違いは補償範囲と保険料です。一般型は補償範囲が広い代わりに保険料がエコノミー型より高く、エコノミー型は補償範囲が狭い代わりに保険料が一般型よりも安くなっています。
一般型とエコノミー型で補償の対象となる事故の違いは以下の表のとおりです。
※保険会社によって異なる場合があります。
一般 | エコノミー | |
---|---|---|
車やバイクとの事故 (相手が判明している場合) | ○ | ○ |
当て逃げ(相手不明) | ○ | △ |
自転車との衝突・接触 | ○ | × |
電柱・建物などとの衝突や接触 (単独事故) | ○ | × |
転覆・墜落 | ○ | × |
火災・爆発・台風・洪水・高潮など | ○ | ○ |
盗難・いたずら・落書き | ○ | ○ |
窓ガラスの損害・飛び石による損害 | ○ | ○ |
地震(津波や地震起因の火災含む)・噴火 | × | × |
上表の通り、エコノミー型では単独事故(自損事故)などで補償を受けることができません。当て逃げについてはエコノミー型でも補償される保険会社が増えていますが、補償対象外の保険会社もあります。契約する保険会社・代理店にご確認ください。
なお、相手が判明しているというのは、事故相手の車・バイクおよびその運転者または所有者が特定できることをいいます。
一般型・エコノミー型の選択割合
当サイトの自動車保険一括見積もりサービスにおいて、車両保険を付けて見積もりをした人が一般型とエコノミー型のどちらを選んだのか紹介します。
2022年度に利用した方について、車両保険を希望した人のうち88.9%が一般型で、11.1%がエコノミー型での見積もりを希望していました。なお、実際に保険会社で契約した割合ではないことにご注意ください。
※2022年4月~2023年3月に保険の窓口インズウェブの自動車保険一括見積もりサービスを利用し、車両保険をつけることを希望した利用者の選択割合
また、車両保険金額が100万円未満となる車について見積もりを取った方については一般型が85.1%、エコノミー型が14.9%とエコノミー型の選択割合が若干上昇します。車両保険金額とは車両保険で支払われる保険金の上限額のことです。契約車両の時価額をもとに決めることになります。時価額が低くなるほどの年数を乗っているので補償範囲は狭くしても問題ない、大きな金額が出なくなるので保険料をより抑えたいという気持ちが出てくるのではないかと思います。
車両保険の事故類型別支払件数
車両保険の保険金が支払われる事故にはどのようなものが多いのでしょうか。損害保険料率算出機構「自動車保険の概況2023年度」によると、2022年度における車両保険の事故類型別支払件数・支払保険金は以下の通りです。
事故類型 | 支払件数(件) | 構成比(%) | 支払保険金(千円) |
---|---|---|---|
「自動車」対「自動車」 | 822,508 | 38.2 | 278,752,002 |
「自動車」対「人」 | 22,435 | 1.0 | 6,043,733 |
「自動車」対「物」 | 608,402 | 28.3 | 249,574,193 |
自動車単独 | 683,950 | 31.8 | 243,543,840 |
合計 | 2,151,062 | 100.0 | 785,871,855 |
※合計には、事故類型不明分を含みます。
※事故類型「自動車」対「人」中の「人」には、軽車両搭乗中を含みます。
一番多いのは「自動車」対「自動車」で構成比は38.2%です。また、エコノミー型では補償対象外となる「自動車」対「物」についても28.3%と4分の1以上を占めています。なお、保険金支払についての統計なので補償対象外の事故(エコノミー型の自損事故など)や補償対象でも保険を使わなかった事故については含まれていません。
まとめ
車両保険には一般型とエコノミー型の2種類から選べることが多いです。エコノミー型は一般型よりも保険料が安いですが、当て逃げや自損事故が補償されないなど補償範囲が狭くなっています。車両保険で保険金が支払われるケースでは「自動車」対「物」の事故も全体の4分の1以上と多く、万が一に備えて車両保険は一般型での契約を希望する人が多いようです。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。