子供が運転するようになって車を主に運転する人が親から子供に変わった、など自動車保険を契約している車の主な運転者が変更になった場合、記名被保険者の変更が必要となります。記名被保険者は等級や保険料、補償範囲などにかかわる項目で変更時にはいくつか注意が必要なことがあります。契約者との違いや等級の引き継ぎ、その他注意事項について紹介します。
もくじ
記名被保険者と契約者の違いは?
自動車保険には「契約者」、「記名被保険者」、「車両所有者」の3つの名義があります。このうち、「契約者」と「記名被保険者」をうまく区別できていない人が多くいます。主に運転する人の変更でかかわるのは「記名被保険者」の方です。勘違いしていた、そもそも2つの違いが分からないという方は以下の説明をしっかりと理解しておきましょう。
契約者とは?
「契約者」とは、保険会社に自動車保険の契約の申し込みをして保険料を支払う人のことをいいます。契約者には、保険契約時の告知義務や契約内容の変更があった場合の通知義務があり、また、契約の変更・解約などを行う権利があります。事故などを起こして保険金を請求する際には、原則として契約者の同意が必要となります。
記名被保険者とは?
「記名被保険者」とは、契約の車を主に運転する人のことをいいます。自動車保険の補償の中心となる人で、補償範囲の中心となったり、記名被保険者の年齢や免許証の色などで保険料が決まったりします。等級を持っているのも記名被保険者です。契約者と同じように告知や通知の義務がありますが、契約者と同一である必要はありません。例えば、車を主に運転するのは子供だけど保険料は親が支払うという場合、記名被保険者:子供、契約者:親となります。
記名被保険者は保険料にかかわる
自動車保険の保険料はさまざまな要素で決まっていますが、そのうち記名被保険者の属性にかかわるものがあります。それは、記名被保険者の年齢、免許証の色、等級です。
年齢
年齢によって事故率が異なるため、記名被保険者の年齢によって保険料は変わります。年齢にかかわるものとしては運転者年齢条件がよく知られていますが、年齢条件が同一でも記名被保険者の年齢によって保険料が異なってきます。例えば年齢条件を同じ26歳以上補償としていても記名被保険者が35歳の場合と70歳の場合では保険料が異なるのです。
免許証の色
ゴールド免許の場合、自動車保険料が安くなるということはよく知られているの思います。ゴールド免許の人は事故のリスクが低いために保険料が安くなるのです。このゴールド免許割引が適用されるか否かは補償開始日時点の記名被保険者の免許証の色で判断されます。
ゴールド免許割引の適用タイミングはいつ?適用条件についても解説
ゴールド免許とは、5年間無事故・無違反などの条件をクリアしている優良運転者に交付される運転免許証の通称です。このゴールド免許を取得したドライバーに対しては、自動車保険の保険料が割引になる「ゴールド免許 ...
等級
記名被保険者の説明の中で書いた通り、自動車保険の等級は記名被保険者に紐づいています。契約車両を変えたり契約する保険会社を変更したりしても等級を引き継ぐことができます※が、記名被保険者を変更した場合は一部の状況を除いて等級を引き継ぐことはできません。
※自家用8車種以外の車両(二輪自動車など)に変更する場合や一部の共済に変更する場合は等級を引き継ぐことはできません。
今までの等級を引き継ぐには?
記名被保険者を変更する場合、基本的に等級を引き継ぐことはできませんが、記名被保険者を以下の3パターンのいずれかに変更する場合に限っては等級を引き継ぐことができます。
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者の同居の親族
- 記名被保険者の配偶者の同居の親族
配偶者は内縁関係でも認められますが、保険会社に内縁関係であることの証明をする必要があります。どのような確認が行われるかは保険会社によって異なるので契約する保険会社に確認してみるのがよいでしょう。また、親族というのは6親等以内の血族あるいは3親等以内の姻族(配偶者の血族)を指します。
自動車保険で内縁の妻(夫)は配偶者とみなされる?
自動車保険では補償の範囲や等級の引継ぎなどさまざまな場面で「配偶者」が関係してきます。この配偶者には内縁の妻や夫は含まれるのでしょうか?また、内縁関係の場合、何か制限は生じるのでしょうか?同性パートナ ...
配偶者以外に等級を引き継ぐ場合には同居しているかがポイントとなります。別居の場合には等級を引き継げません。子供に等級を引き継がせようと思ったら大学進学を機に別居していたため等級を引き継げなかった、ということがよくありますので注意しましょう。
補償の対象となる人が変わることに注意しよう
等級の引き継ぎ以外にも記名被保険者を変更する場合に注意が必要なことがあります。それは補償の対象となる人が変わることです。
自動車保険は記名被保険者を中心として補償範囲が決まります。それゆえ、変更前は補償範囲に含まれていた人が変更後には含まれなくなる場合が出てきます。例えば、自動車保険では「別居の未婚の子」が補償範囲に含まれる補償内容がいくつかありますが、記名被保険者の変更先によっては「別居の未婚の子」として補償範囲に含まれていた人が対象に含まれなくなります。
例:父、母、子A(父母と同居)、子B(父母とは別居・未婚)で記名被保険者を父→子Aに変える場合
変更前 | 変更後 | |
---|---|---|
記名被保険者 | 父 | 子A |
記名被保険者の配偶者 | 母 | - |
記名被保険者の同居親族 | 子A | 父、母 |
記名被保険者の別居の未婚の子 | 子B | - |
記名被保険者の変更方法
記名被保険者を変更するには保険会社に連絡を行いましょう。連絡手段は保険会社によって異なりますが、ダイレクト型の自動車保険であってもWebサイト上で手続きを行えず、電話が必要な場合も多いです。変更後の記名被保険者の運転免許証を手元に置いて契約者本人から連絡を行いましょう。
記名被保険者の変更によって保険料が変わる場合があるため、追加の保険料の支払いや保険料の返金が発生することがあります。その点は認識しておきましょう。
まとめ
車を主に運転する人が変わった場合、それに合わせて記名被保険者の変更が必要となります。記名被保険者の変更によって等級を引き継げる範囲は限られていますので注意しましょう。また、自動車保険の補償範囲は記名被保険者を中心として決まるので、別居の未婚の子など今まで補償範囲に含まれていた人が含まれなくなる場合があります。誰が補償範囲に含まれているのかしっかりと確認するようにしましょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。