車の購入は大きな買い物です。購入の際は現金一括払いだけでなく、車のローンを組んで分割払いにする人も一定数います。一般社団法人日本自動車工業会の「2023年度乗用車市場動向調査」によれば、新車を一般のローンで購入した人の割合は全体の17%、残価設定あるいは据置型ローンで購入した割合は18%でした。
現金一括 | 一般のローン | 残価設定/据置型 ローン | リース | サブスク |
---|---|---|---|---|
58% | 17% | 18% | 6% | 1% |
車のローンを組む際、注意したいのは返済期間です。返済期間を長く設定すれば支払総額が増え、短く設定すれば支払総額は抑えられます。では、車のローンの返済期間は何年で設定するのがいいのでしょうか。
この記事では、車の購入におけるローンの種類と返済期間を決める際のポイントのほか、車のローンを組む際の注意点について解説します。
もくじ
車のローンの返済期間として設定できるのは3~10年
ローンを組んで車を購入する際、借入先によるものの、返済期間は3年から10年までのあいだで選択可能です。この範囲内で、借入金額やローンの金利(利息)、月々の返済能力に応じて返済期間の設定ができます。原則的に返済期間の設定は年単位で行い、1ヵ月に1回、設定した返済額を支払います。
短期間での返済は金利負担が少なくなりますが、月々の返済額が高くなる点に注意が必要です。一方、長期間の返済にすると月々の返済額は抑えられるものの、トータルの支払総額が増加します。
返済期間は自分の支出・収入とライフスタイルなどを考慮しながら、適切な返済期間を選ぶのがポイントです。
一般的な返済期間は5年
車のローンの返済期間は、5年間(60回払い)で設定する人が多い傾向があり、この期間が一般的といえます。
なお、車の商品価値は、年数とともに低下していきます。5年間であれば、ある程度の商品価値を保ったままローンを完済できるため、売却して新たな車に乗り換える際にも有効です。
自家用乗用車の場合は、2回目の車検のタイミングとも重なります。ローン返済と車検のタイミングを、乗り換えを考える機会にするといいでしょう。
車のローンの種類
車を購入する際に組むローンには、借入先によって2つに大きく分類できます。ここでは、車のローンの種類について、詳しく見ていきましょう。
銀行ローン
銀行ローンとは、銀行などの金融機関から車の購入資金を借り入れる車のローンのことです。
銀行ローンの金利は一般的に1~4%程度で、低金利なことが特徴です。また、銀行ローンの返済期間は長めに設定されており、最長7~10年となっています。
ローンの審査は厳しく、審査期間も長いものの、審査を通れば長期間にわたって低い金利で借入可能です。
銀行ローンを組むには安定した雇用による定期収入と確かな信用情報が必要ですが、総返済額を抑えたい人にはおすすめといえます。
ディーラーローン
ディーラーローンとは、車の販売元のカーディーラーがローン会社・クレジットカード会社と提携して提供する車のローンで、車の購入時にいっしょに手続きできる手軽さが魅力です。
ディーラーローンは、返済期間が最長でも6~8年と銀行ローンより短く設定されていることが多く、さっらに金利も銀行ローンより高めの4~8%程度となっている点に注意しましょう。
なお、ローンを完済するまでは車検証上の車の所有車は自分ではなく、ローン会社名義となります。
月々の返済額を抑えられる残価設定ローン
銀行ローンやディーラーローンでは、通常のローンのほかに「残価設定ローン」を設けている場合があります。
残価設定ローンとは、車両本体価格の一部をあらかじめ「残価」として据え置き、残価以外の金額を分割して支払うローンの組み方です。残価(将来の下取り価格)として設定するのは、3年あるいは5年後の商品価値が一般的です。
残価設定型ローンは、月々の返済額を抑えられるのが最大のメリットですが、返済期間終了時に残価分を一括あるいは再ローンで支払って購入するか、あるいは売却して別の車に買い替えるか、車を売却して終了するかを選ぶ必要があります。そのため、短期間でほかの車に乗り換えたいという人に向いているローンです。
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返済期間別・車のローンのメリットとデメリット
車を購入する際に組むローンの返済期間は、長短それぞれにメリット・デメリットがあります。ここでは、車のローンの返済期間ごとに、メリット・デメリットについて解説します。
短期返済の場合
返済期間を短期に設定した車のローンを選択した場合、毎月の返済額は高くなるものの、ローンの支払総額は抑えられるメリットがあります。これは、利息が計算される期間が短くなるためで、結果的に支払う利息が減るからです。
なお、利息は下記の計算式で算出されます。
<利息の計算式>
利息=借入額×金利÷年間日数×返済期間
短期間でのローン返済は、金利負担を最小限に抑えたいタイプや、早期にローンの返済を解消したいタイプに適しているといえるでしょう。ただし、毎月の返済額が大きくなる点は人によってはデメリットともなりえます。返済のための計画性が重要です。
長期返済の場合
長期返済の車のローンを選ぶことで、月々の返済額は小さくなり、家計にかかる負担が少なくなります。これによって、日常生活を圧迫しない範囲でローンを返済することができるでしょう。
ただし、返済期間の長期化に伴うデメリットとして、トータルで支払う利息額も増加します。長期のローン返済は、結果として支払総額が多くなることを理解しておきたいところです。
また、長期の場合はローンの審査条件が厳しくなり、利用可能な金融機関の選択肢も限られる傾向があります。
車のローンを組む際の注意点
車を購入するためローンを組む際には、いくつか気をつけておきたいことがあります。ここでは、車のローンを組む際の注意点について解説します。
一度契約したら返済期間は変更できない
車のローンを契約する際に返済期間を一度設定すると、原則的に変更は難しいと考えましょう。そのため、契約前に家計の状況をしっかりと把握し、無理のない返済計画を立てることが重要です。
長期にわたる返済計画を考えていても、勤務先の状況やライフスタイルの変化によっては、支払いができなくなる可能性があります。
ローン完済前に車を売る場合は、残債を一括返済しなければならない
さまざまな事情が生じてローン返済中の車を売却する場合、基本的にはローン残債を一括返済しなければなりません。売却金額がローン残債を下回った場合には、その差額を自己負担することになります。
この点について注意しておかないと、予想外の出費に直面することになりかねません。
金利のタイプで支払総額が変わる
車のローンの支払総額は、選ぶ金利によって大きく変動します。金融市場で適用される金利のことを「市場金利」といいますが、変動する市場金利に影響を受ける金利と受けない金利があるのです。
金利には、「変動金利」と「固定金利」の2つのタイプがあります。固定金利はローンの利率がローン返済期間中ずっと同じで、支払総額も変わりません。さらに、市場金利の変動リスクから守られるため、返済計画を立てやすいメリットがあります。ただし、申込時の利率としては高めです。
一方で、変動金利はローン返済期間中に利率が変わる可能性があるタイプです。低金利時代の日本においては、固定金利より利率が低い傾向があります。ですから、金利が低いままであれば固定金利より支払総額が安くなる可能性があるのです。
ただし、金利は概ね半年ごとに見直しが行われ、市場金利が急上昇すれば、場合によっては固定金利より支払総額が高くなることがあるので注意が必要です。
車のローンで返済期間を選ぶ際には、金利タイプをどうするかも考慮するようにしてください。
車のローンの返済期間を決める際のポイント
車の購入時にローンの返済期間を決める際には、いくつかのポイントがあります。ここでは、車のローンの返済期間を決める際のポイントについて解説します。
車に対する出費
車のローンの返済期間を決める際は、車両本体価格だけでなく、維持費も考慮に入れる必要があります。車の維持費には、車検費用や自動車保険料のほか、税金と燃料代、定期的なメンテナンス費用などが含まれます。
返済期間中には維持費も継続的に発生するため、維持費分の支出も考慮に入れて、ローンの返済期間と月々の返済額を設定するようにしてください。
次の車に買い替える時期
車の買い替えサイクルも、ローンの返済期間を決める際の重要な要素といえます。一般的に、車は購入から年数が経過するごとに劣化するため、中古車市場での商品価値は下がっていきます。
また、新車発表から4、5年で商品力アップを目的にモデルチェンジすることも、市場における商品価値を下げる一因です。
ローン返済期間を長く設定すると、劣化やモデルチェンジで商品価値が下がって中古車としての売値がつきにくくなり、次の車への買い替えのための下取り時に支障をきたす場合があります。
ちなみに、家族が増えたり転勤したりする場合に、急な買い替えが必要になることも注意すべきポイントです。前の車で長期ローンを組んだため残債があると、次の車の購入の前に残債を一括返済したり、次の車のローンも同時に支払わなければならなかったりする事態も起こりうるからです。
家計の状況と返済期間中の出費見込み
ローンの返済期間を決める際には、現在あるいは今後の家計の状況と、出費見込みも考慮に入れるべきでしょう。
月々のローン返済は、家計に定期的な影響を与えます。その返済期間中に転職やリストラ、勤務先の倒産など、将来考えられる収入の変動をはじめ、出産や病気など予期せぬ出費があった場合にも、対応できるような柔軟性が必要です。
ローンの返済期間が長ければ月々の支払いは少なくなるものの、トータルで見れば支払総額は多くなります。ライフスタイルの変化をすべて予測することは難しいですが、ある程度の余裕を持った計画を立てておくことをおすすめします。
車のローンの支払総額を減らすコツ
車のローンを何年で組むべきかは一概にいえない部分もありますが、ローンの支払総額を少しでも減らすような工夫は可能です。最後に、車のローンの支払総額を減らすコツについてご紹介します。
頭金を多めに用意する
車のローンの支払総額を減らす効果的な方法のひとつは、頭金を多く用意することです。頭金とは、車の購入時に最初に支払う現金のこと。頭金を多く支払うと借入金額が減り、それに伴って利息も減少します。
頭金は車両本体価格の20~30%が一般的といわれますが、この割合以上に頭金を入れておけば、長期的に見れば月々の返済額と支払総額を減らすことができるのです。
繰り上げ返済する
繰り上げ返済(一括返済)は、ローンの残債を当初の計画よりも前倒しで返済する方法です。
繰り上げ返済を行うと、返済期間が短くなるため将来支払うべき利息が減り、結果としてローンの支払総額が減ることにつながります。繰り上げ返済は、支払総額が大きいほど、また繰り上げ時期が早いほど効果を発揮するといえるでしょう。
ただし、繰り上げ返済には、ある程度まとまった現金が必要です。また、金融機関によっては繰り上げ返済の手数料が発生する可能性もあるため、家計の状況やほかのローンの返済計画と照らし合わせ、慎重に検討することが大切です。
車の維持費を見直す際には、自動車保険も比較・検討しよう
車のローンを何年で返すのかは、車両本体価格や金利、家計の状況によって変わるため、一概にはいえません。しかし、車の経年劣化や中古車市場において車が商品価値を保っている期間、また2回目の車検やモデルチェンジなどのタイミングを併せて考えると、5年をひとつの目安とすることをおすすめします。
支払総額を減らすには、頭金を多く支払ったり、繰り上げ返済したりすることを検討してみてください。
車を所有するとローンの返済だけでなく、車検費用や税金のほか、燃料代などの維持費がかかります。維持費を少しでも減らすためには、自動車保険の見直しも検討してみましょう。
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