テレビCMなどでもネット自動車保険の広告をよく見かけるようになってきました。ネット自動車保険は「ダイレクト型」、「通販型」などとも呼ばれますが、「代理店型」の自動車保険よりも保険料が安いことが特徴です。しかし、保険料が安いということは何かデメリットがあるのではないかと不安になるのではないでしょうか。そこで、ネット自動車保険が安い理由や何かデメリットがあるのかということについて紹介します。
もくじ
ネット自動車保険はなぜ安い?
ネット自動車保険が代理店型の自動車保険よりどうして安いのか、それは端的に言えば代理店を通さないからです。代理店を間に通さない分、手数料や人件費、賃料などを安くすることができるのです。
自動車保険の保険料は大きく「純保険料」と「付加保険料」に分けることができます。「純保険料」は、保険金の支払の原資となるもので、事故が起きる確率や事故が起こった時に支払われる補償額などの過去の統計資料をもとに計算して決まります。この部分については保険会社間でほとんど差はありません。
保険料の差の要因となるのは、もう一方の「付加保険料」です。「付加保険料」とは、保険会社の事業運営に必要な経費に充てられるものです。上の図の通り、ネット自動車保険は代理店型自動車保険に必要な代理店手数料を削減できるほか、人件費や申込書などの書類の費用などの社費も抑えることができます。この部分の差がネット自動車保険の安さにつながるのです。
ネット自動車保険にデメリットはある?
ネット自動車保険が代理店型自動車保険よりも安い理由はわかりましたが、保険料が安いからには何かしらのデメリットがあるのではないかと心配になりますよね。ネット自動車保険のデメリットとして考えられるのは、代理店が介在しないことによる、「対面で相談できる担当者がいない」ということです。
補償内容を決めるときに代理店の担当者と顔を合わせて相談しながら決めたいという方にはネット自動車保険は不向きかもしれません。逆に、インターネットなどで自分で必要な補償内容は調べられる、あるいはすでに必要な補償内容はわかっているという方にはネット自動車保険が向いているかもしれません。なお、ネット自動車保険の場合でもすべて自分で調べなければいけないというわけではありません。不明点は、コールセンターに電話することでも解決することができます。
他に挙げられることは、事故という非日常の事態のときに対面で相談できる相手がいないということです。ただし、実際の事故対応は代理店ではなく保険会社が行うものなので、見知った代理店の人と対面で相談したいという場合を除いてネット自動車保険でも不都合はないと思います。
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ネット型と代理店型の違い
その他、ネット自動車保険と代理店型自動車保険の違いについて表にまとめました。
ネット型 | 代理店型 | |
---|---|---|
加入方法 | ウェブや電話などで保険会社と直接契約する。 | 代理店を通して自動車保険に加入する。 代理店担当者と対面で手続きすることが可能。 |
保険料 | 代理店手数料が不要で代理店型よりも安め。 事故リスクが高い層は保険料が高いことも。 | 代理店手数料が必要となり、ダイレクト型と比べて高め。 |
補償内容の決め方 | 自分の知識や調べた内容で決めるが、ウェブや電話で分からないことを保険会社に聞くことも可能。 | 代理店担当者と相談して決めることができる。 知識が少なくても必要な補償内容を確保しやすいが、必要以上の補償内容で保険料が高くなることもある。 |
事故現場へのかけつけ | 保険会社の担当者が事故現場にかけつけることはない。 一部保険会社では警備会社のかけつけサービスを提供。 | 代理店の担当者によっては事故現場にかけつけてくれる。 (示談交渉などをしてくれるわけではない) |
事故後のやりとり | 保険会社と直接やりとりを行う。 | 代理店の担当者を通してやりとりを行う。 |
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ネット自動車保険の事故対応は大丈夫?
ネット自動車保険でよく不安要素に挙げられるのが事故対応です。しかし、その多くは事故対応に関する勘違いから生まれています。
代理店型であっても事故対応の際の主役となるのは保険会社です。代理店が事故対応の時にできることはあまりなく、契約者と保険会社を仲介するなどのサポート的な役割に限られてしまいます。事故の状況を受けて、過失割合を判断したり事故相手との示談交渉を行ったりするのはあくまでも保険会社の役割です。仮に代理店が事故相手との示談交渉を行う役割を担うとすると、「非弁行為」として弁護士法違反を問われる可能性があります。また、事故対応の前の段階の事故受付についても、ネット自動車保険であっても24時間受け付けているところが多いです。
以上から、事故対応の点で肝心となるのは保険会社そのものの事故対応力です。そして、保険会社間の示談交渉は過失割合を協議することとなるのですが、この過失割合は過去の類似の事故の裁判例や裁判所から公表されている基準に基づいて決定します。会社の規模が小さいから示談交渉力も弱いということはないのでネット型であっても不安になる必要はありません。
代理店型、ネット自動車保険というくくりを気にすることなく、各社の事故対応サービスを比較したり、実際に事故を起こしてしまった際の対応についての口コミを調べてみたりしてみるとよいでしょう。
インターネット割引で保険料が安くなる
多くのネット自動車保険には、インターネットで契約を申し込むことで保険料が安くなるインターネット割引が用意されています。全てネットなのは不安だから、コールセンターに電話をかけて話しながら契約したいという場合などを除いて積極的に活用してみるとよいでしょう。
割引額については、新規契約と継続契約とで金額が異なっている保険会社もあるので、更新の際は、新規契約したときの割引額がそのまま適用されると思い込んで契約しないように注意しましょう。また、保険会社によっては保険証券を不発行にすることでさらに割引を受けられるところもあります。保険証券の内容についてはWeb上で確認できるサービスが用意されているので、紙の保険証券が必要ないという場合には、証券不発行による割引の適用を提供しているか確認してみるとよいでしょう。
ネット自動車保険はどこがおすすめ?
これまでネット自動車保険について紹介してきました。ネット自動車保険に乗り換えようと思っても、ネット自動車保険はさまざまにあり、どこを選べばよいのか分からなくなりますよね。ネット自動車保険と一口にいっても当てはまる保険会社は数多くあり、保険料の差やサービス内容の違いがあります。
では、ネット自動車保険はどこがよいのか選ぶときの参考として、インズウェブの自動車保険一括見積もりサービス利用者に保険会社を選んだ決め手についてアンケートをして、各社ごとにランキング形式でまとめてみました。保険会社選びに下記ページのアンケート結果を参考にしてみて下さい。
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自動車保険会社を選んだ理由ランキング
車に乗るなら入っておきたい自動車保険ですが、数多くの保険会社から販売されており、「どのように選んだらよいのか分からない」という方も多いと思います。そこで、当サイトの「自動車保険一括見積もりサービス」利 ...
また、自動車保険の比較のために何度も同じような情報を入力して複数社に見積もりを取るのは大変です。そのような労力を解消するのが自動車保険の一括見積もりサービスです。一度に複数社の見積もりが取れるので各社の保険料・補償内容を簡単に比較できます。各社の見積もり内容を見比べることで、保険料やサービス内容の違いを比べ、納得のできる保険会社選びができるでしょう。
自分に合った補償内容で保険料が安い自動車保険会社を見つけるためにも、ぜひ一度、一括見積もりサービスを利用してみてください。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。