年末年始やお盆、ゴールデンウィークなどの帰省や旅行にペットを一緒に連れて行くという人もいるのではないでしょうか。そのような中でペットと一緒に車に乗っているときに交通事故に遭ってペットが死傷してしまったというような場合、自動車保険で補償を受けることはできるのでしょうか。
ペットの死傷は一部保険会社が特約でカバー
「ペットは大事な家族の一員」ではあるのですが、残念ながら自動車保険で人間と同等の補償を受けることはできません。しかし、一部の保険会社では車に同乗していたペットがケガをしたときや死亡してしまったときに治療費用や葬祭費用が保険金として支払われる特約を用意しています。ただし、最大10万円などの金額で治療費としては足りない場合もあるので注意しましょう。また、補償の対象となるのは基本的に犬または猫です。インコなどの鳥類やヤモリ・蛇などの爬虫類など犬や猫以外をペットとして飼っている人も多くいるかと思いますが、そうした場合は勇み足で契約してしまわないよう、よく補償内容を確認しましょう。
ペットの治療費が気になるのならばペット保険
ペットの治療費が気になるという場合はペット保険も検討しましょう。ペットは人間のように公的健康保険で医療費が3割負担で済むということはありません。ケガや病気で治療が必要だということになったときに、治療費を理由に病院にかかるのをしり込みしたくはないと思います。ペット保険に加入していれば、通院・入院・手術が必要となったときに費用の50%や70%といった金額の保険金を受け取れます。いざというときにお金の心配は少なくしたいという場合はペット保険についても考えてみましょう。
ペットが他人にケガをさせてしまった場合は個人賠償責任特約
ペットがケガをしてしまったという場合とは逆に、ペットが他人にケガをさせてしまったという事態も考えられます。そうした場合、自動車保険や火災保険などの特約で契約できる個人賠償責任保険が役に立ちます。個人賠償責任保険とは、日常の生活で他人にケガをさせたり他人のものを壊してしまったりして損害賠償責任を負ったときに備える保険です。具体的には、ペットが他人にケガをさせてしまったという場合のほかに、自転車で歩行者にぶつかりケガをさせてしまった、マンションで漏水を起こして下の階の部屋に損害を与えてしまった、お店で棚からガラス商品を落として割ってしまって賠償が必要になったなどの場合に補償を受けることができます。
個人賠償責任保険で気を付けたいのが、個人賠償責任保険はさまざまな保険の特約として契約できるのでいつの間にか補償が重複してしまっていることです。重複して契約していても保険金を多く受け取れるわけではなく、実際の損害賠償額までしか受け取れません。そのため、保険金額(支払われる保険金の上限額)が小さいというような場合を除いて重複して契約する意味はありません。もし重複に気が付いた場合は、保険料の無駄となってしまいますので、保険金額が大きいものや示談交渉サービスがついているものを優先して1つだけ残すようにしましょう。
自動車保険の個人賠償責任特約とは?どんなときに役に立つ?
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ロードサービスでペットの宿泊費用をサポート
保険会社によっては自動車保険のロードサービスでペットの宿泊費用のサポートを受けられます。ペットを車に乗せて外出中に事故や故障で車が自力走行できなくなり、当日中に帰宅するのが困難になったとします。そうした場合、予定外にペットホテルの利用が必要となることがありますが、そのペットホテルの宿泊費用やペットホテルまでの交通費の支給を受けることができます。また、ペットホテルにペットを預けて外出していて、車両トラブルで帰れなくなりペットホテルの宿泊の延長が必要となった場合にも延長料金の補償を受けることができます。
ペットとともに車で外出することが多いという人やペットをペットホテルに預けて外出することが多いという人はこうしたロードサービスを提供しているかを自動車保険を選ぶ際の1つの検討材料にしてみるのもよいかもしれません。
まとめ
「ペットは家族の一員」と考える人は多くいますが、自動車保険で人間同様の補償を受けることはできません。しかし、自動車に同乗中にペットが事故で死傷してしまった場合に保険金を受けられる特約を提供している保険会社もあります。また、ペットが他人にケガをさせて賠償責任を負ってしまった場合は個人賠償責任特約で補償を受けられます。事故や故障で車が自力走行できなくなり、ペットホテルへの宿泊やペットホテルの延長が必要になった場合は宿泊費用のサポートを受けられるロードサービスを提供している保険会社もあります。
ペットと外出する機会が多いという場合はこうしたペットに関する補償を提供しているかを判断材料の一つにしてみるのもよいでしょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。