自動車保険料を安くするため、満期を迎えるのを機に、家族構成が変わった、車を買い替えたなど自動車保険の乗り換えを検討することがあるかと思います。しかし、いざ乗り換えようと思っても「面倒くさい」という理由でそのまま同じ会社で継続しがちです。
そこで、「面倒だ」と思う気持ちを少しでも和らげるために、自動車保険の乗り換え方法やタイミングなどについて紹介します。
もくじ
自動車保険の乗り換えはいつから検討し、いつまでに対応する?
いつから乗り換えを検討する?
自動車保険の乗り換えをする場合、満期日の60日前ほどから本格的に検討するのがよいでしょう。のちに詳しく説明しますが、等級の進みなどを考えると満期日に合わせて乗り換えを行うのが理想です。満期日の大体2か月前くらいには現在契約している保険会社から満期日と更新のお知らせが届くので、それを合図として検討をするというのもよいかもしれません。
半年前などから情報収集をするのもよいですが、保険料の改定の可能性があるため、早すぎると検討の際に重要となる保険料が正確でなかったり見積もりをとれなかったりします。また、満期日に近づくと十分に検討できないことがありますし、保険会社によっては満期日の45日前、30日前など早くに契約すると早割の対象となることもありますので、よりお得に契約するには早くに検討することが大切です。
以上のことを考えると、自動車保険の乗り換えは満期日の3か月~2か月前から検討するのがよいでしょう。
満期日まで遠くても近くても見積りできます!
インズウェブの自動車保険一括見積もりサービスであれば、満期日から遠くて見積もりが取れない場合でも、多くの保険会社の見積もりが取れるようになったタイミングで見積もりを取れるよう「予約」する機能があります。
また、満期日に近い方も見積もりを取ることができ、対応している会社ではそのまま試算結果を比較できます。検討の第一段階としてぜひご利用ください。
いつまでに乗り換える?
早割の存在や手続きを忘れてしまうことを避けるために、乗り換え先の保険会社や補償内容を決めたら申し込みをすすめてしまうのがよいですが、満期日ギリギリとなってしまう場合でも満期日の前日までには申し込みを終わらせるようにしましょう。満期日を迎えてしまうとWeb上での見積もりができなくなったり無保険の期間が生じてしまったりします。
また、等級を引き継ぐことができるのは原則として満期日の翌日から起算して7日以内の場合です。それを過ぎると前契約の等級を引き継げずに6(F)等級での契約となってしまいます。なお、前契約が1等級~5等級の場合は6(F)等級ではなく1等級~5等級の等級が引き継がれます。デメリット等級と言われるこれらの等級を引き継ぐのではなく、新規で契約するためには満期日、解約日の翌日から13か月経過する必要があります。
自動車保険の乗り換えの手順
早速ですが自動車保険の乗り換えの手順を紹介します。以下の手順を参考にしてみてください。
1.乗り換え先の保険会社を決める
当たり前ではありますが、自動車保険を乗り換えるには乗り換え先の保険会社を決める必要があります。しかし、日本で契約を結べる保険会社は数多くあり、なかなか決めるのは大変です。そこで役に立つのが自動車保険の一括見積もりサービスです。
自動車保険の一括見積もりサービスは、一度の情報の入力で複数の保険会社から自動車保険の見積もりを取ることができるサービスです。自分で候補を見つけてその一社一社に見積もりを依頼する労力を削減することができます。また、自分では候補に入れなかった保険会社が一番条件が良いという思わぬ発見をすることもあり得ます。
満期日ギリギリになってしまうと十分に比較できないので、早期契約割引やより多くの保険会社から見積もりを取ることも考えると、なるべく早くに見積もりを依頼するのがよいでしょう。
2.乗り換え先の保険会社に契約の意向を伝える
乗り換え先の保険会社に他社からの乗り換えで契約することを伝えましょう。手続きの完了のためには、契約中の自動車保険の保険証券、車検証、運転免許証が必要となります。必要となった時にあわてないように事前に準備しておくのがよいでしょう。
なお、契約の開始日は解約日(満期日)と同日にして重複期間や空白期間を作らないように注意が必要です。後述しますが、等級の引き継ぎができない場合があります。
3.現在契約中の保険会社に解約の連絡を入れる
乗り換え先の保険会社が決まったら、現在契約している保険会社に解約の連絡を入れましょう。満期とともに保険会社を乗り換える場合は基本的には解約の連絡は必要ありませんが、自動継続の特約を付けている場合は解約の連絡をする必要があります。自動車保険は重複して契約することができないので、後から申し込んだ乗り換え先の保険会社との契約が無効となってしまいます。
4.必要手続きをする
契約や解約に必要な書類がある場合は必要事項を記入して返送しましょう。また、支払期限までに忘れずに乗り換え先の保険会社に保険料を支払いましょう。
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等級の引き継ぎにはタイミングが重要
自動車保険は事故歴に応じて翌契約年度に適用される等級(ノンフリート等級)が決まります。等級は1等級~20等級まであり、初めて自動車保険を契約する場合は6(S)等級からスタートします。1年間事故がなければ翌年は1等級上がり、事故を起こして保険を使った場合は、内容によって1事故につき1等級もしくは3等級下がります。等級が20等級に近づくにつれて保険料の割引率が高くなります。
安全運転を続けて上げてきた等級は保険会社を乗り換えても引き継ぐことができます(一部の共済を除く)。ただし、損なく等級を引き継ぐには乗り換えのタイミングが重要です。
満期日に合わせての乗り換えがおすすめ
1番お得なタイミングは満期日に合わせて自動車保険を乗り換えることです。満期日までの1年間無事故であれば、乗り換えなかった時と同じように1等級上がった状態で契約することができます。また、自動継続の特約を付けていなければ、現在の保険会社に契約を更新しない旨の連絡を入れる必要もありません。
満期日を迎える前に現在の契約を解約して乗り換える場合、等級の引き継ぎはできますが、乗り換え先の自動車保険の等級が上がるのは、その契約が始まってから1年間経過後です。つまりは等級が上がるのが遅れてしまいます。
また、等級が下がる事故を起こしていた場合は、乗り換えのタイミングで下がった等級での契約となります。等級が下がるタイミングが満期日で乗り換えた場合と比べて早くなってしまいます。
空白期間や重複期間が生じないように注意
満期日に合わせて乗り換える場合でも契約期間中に解約して乗り換える場合でも、乗り換え先の自動車保険の保険開始日は満期日(解約日)と同日にして、空白期間や重複期間が生じないようにする必要があります。自動車保険の等級を引き継げるのは、原則として満期日(解約日)の翌日から起算して7日以内です。それを過ぎると、たとえ前契約が20等級であっても再び6等級からのスタートとなってしまいます。また、保険期間の重複がある場合も基本的に新しい契約が無効になるので、再度手続きが必要であったり、気づかずに前契約を解約すると等級が消えてしまうこともありえます。
次の契約まで間が空いてしまう場合は中断証明書を取得しよう
等級を引き継げるのは原則として満期日(解約日)の翌日から起算して7日以内ですが、納車が遅れているなどの理由で7日以上空いてしまう場合もあります。そうした場合は乗り換え前の保険会社に中断証明書の発行を依頼しましょう。中断証明書があれば最大で10年間等級を維持することが可能です。
ただし、中断証明書の発行には満期日・解約日以前に廃車や車検切れになっているなどの条件がありますのでよく確認しておくようにしましょう。
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自動車保険の乗り換えにデメリットはある?
自動車保険の乗り換えは保険料が安くなる、サービスがより充実するなどのメリットを求めて行いますが、デメリットは何かあるのでしょうか。考えられるデメリットを以下に挙げます。
1.保険期間中に乗り換えると等級面で不利
上で説明しましたが、満期日を待たずに保険期間中に乗り換えると等級面で不利となります。乗り換えるまでの期間、無事故であったとしても、乗り換えてからさらに1年間無事故でいないと等級が進みません。また、等級が下がる事故を起こしていた場合、乗り換えのタイミングで等級が下がるので、乗り換え日から前契約の満期日の間は余分に高い保険料を払うこととなります。
このデメリットは、満期日に合わせて自動車保険を乗り換えることで避けることができます。
2.保険期間中に乗り換えると解約返戻金が月割り計算より少ない場合が多い
これもまた、保険期間中に乗り換えた場合のデメリットなのですが、年払(一括払い)した自動車保険を満期日前に解約すると、解約返戻金が単純な月割りで計算した金額よりも少なくなることが多いです。
解約返戻金は多くの保険会社が月割りではなく、保険会社が設定した「短期率(短期料率)」に従って計算しています。短期率で計算された契約返戻金は月割りでの計算よりも少なくなります。
短期率は保険会社ごとに定めますが、以下の率を用いている場合が多いです。
期間 | 7日まで | 15日まで | 1カ月まで | 2カ月まで | 3カ月まで | 4カ月まで | 5カ月まで |
---|---|---|---|---|---|---|---|
短期率 | 10% | 15% | 25% | 35% | 45% | 55% | 65% |
期間 | 6カ月まで | 7カ月まで | 8カ月まで | 9カ月まで | 10カ月まで | 11カ月まで | 12カ月まで |
短期率 | 70% | 75% | 80% | 85% | 90% | 95% | 100% |
解約返戻金=年間保険料×(1-既経過期間に対応する短期率)
上表の通り、例えば5カ月超6カ月まで経過した時点で解約した場合に返ってくる保険料は、50%ではなく30%と単純に月割りした金額よりも少なくなります。
3.必要な補償が外れてしまう場合がある
保険会社の乗り換えの際に自分が必要だと思っている補償が外れてしまうという可能性があります。特に、保険会社からおすすめされた契約プランをよく確認しないで契約した場合、必要だと思っていた補償内容が入っていないということが起こりやすくなります。自分で気をつければよいだけではありますが、自分が欲しい補償内容が外れてしまっている可能性があることは認知しておくようにしましょう。
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乗り換え先は代理店型?ダイレクト型?
自動車保険の乗り換えを行う理由の一つには保険料を安くしたいということもあるのではないでしょうか。保険料で比べると、代理店型の自動車保険よりもダイレクト型(ネット型)の自動車保険の方が安い傾向にあります。しかし、ダイレクト型はサポート体制に不安があるという方もいるでしょう。実際のところ、代理店型とダイレクト型でどのような違いがあるのか紹介します。
代理店型 | ダイレクト型 | |
---|---|---|
加入方法 | 代理店を通して自動車保険に加入する。 代理店担当者と対面で手続きすることが可能。 | ウェブや電話などで保険会社と直接契約する。 |
保険料 | 代理店手数料が必要となり、ダイレクト型と比べて高め。 | 代理店手数料が不要で代理店型よりも安め。 事故リスクが高い層は保険料が高いことも。 |
補償内容の決め方 | 代理店担当者と相談して決めることができる。 知識が少なくても必要な補償内容を確保しやすいが、必要以上の補償内容で保険料が高くなることもある。 | 自分の知識や調べた内容で決めるが、ウェブや電話で分からないことを保険会社に聞くことも可能。 |
事故現場へのかけつけ | 代理店の担当者によっては事故現場にかけつけてくれる。 | 保険会社の担当者が事故現場にかけつけることはない。 一部保険会社では警備会社のかけつけサービスを提供。 |
事故後のやりとり | 代理店の担当者を通してやりとりを行う。 | 保険会社と直接やりとりを行う。 |
気になる3つの違い
代理店型とダイレクト型の違いとして特に気になると思われる、「事故対応」「契約時のフォロー」「保険料」の3つについてより詳しく紹介します。
事故対応について
ダイレクト型の事故対応に漠然とした不安を感じていませんか?それは間違いです。近年では特にダイレクト型と非ダイレクト型の事故対応には差が無くなっていると言われています。
では実際のところ、どちらの満足度が高いのでしょうか。事故対応満足度についてアンケートを取ったところ、ダイレクト型のほうが満足度が高かったのです!
ダイレクト型自動車保険と非ダイレクト型自動車保険事故対応満足度比較
2016年12月実施アンケート
回答者数:ダイレクト型自動車保険984人、非ダイレクト型自動車保険1167人
事故対応時の流れの違いも見てみましょう
事故対応の違いについて
事故相手との示談交渉は気になる部分だと思いますが、示談交渉は代理店型でもダイレクト型でも変わりません。示談交渉は代理店型であっても保険会社が行います。なぜなら、当事者でもなく弁護士でもない代理店が示談交渉を行うのは非弁行為として弁護士法違反になるからです。
そして、保険会社間の示談交渉は主に過失割合を協議することとなるのですが、この過失割合は過去の類似の事故の裁判例や裁判所から公表されている基準に基づいて決定します。会社の規模が小さいから示談交渉力も弱いということはないのでダイレクト型であっても不安になる必要はありません。
契約時のフォローについて
代理店型自動車保険
基本的に全国にある保険代理店で契約を進めることになりますが、その際に代理店の担当者と対面で相談をすることができます。補償内容について分からないことがある場合や今後の手続きの流れで不安がある場合などはその場で担当者に確認できるので安心です。ただし、自分で契約する保険なので、「代理店にすべて任せたから補償内容はわからない」ということがないようには注意が必要です。
ダイレクト型自動車保険
「ネットだけで相談できないと何となく不安…」と感じる方もいらっしゃると思います。しかし、過度に不安に思う必要はありません。ダイレクト型自動車保険でもコールセンターに電話したり、公式サイト上にあるチャットで質問したりすることで疑問を解消することができます。ただし、自分の思い込みを正してくれる機会は少ないので、申込み前に一呼吸おいて確認するなどの工夫が必要かもしれません。
保険料について
代理店型自動車保険に比べてダイレクト型自動車保険の方が保険料が安い傾向にあります。その違いを生むのが代理店の有無です。
代理店型自動車保険の場合、見積もりや申し込みは自動車販売店などの代理店で行います。一方、ダイレクト型自動車保険の場合は保険会社が直接契約者とやりとりを行います。代理店型自動車保険は間に代理店が挟まる分、代理店手数料や地方の営業所の地代、そこで働く人の人件費などのコストが多くかかります。ダイレクト型自動車保険はその中間コストが圧縮されているため、保険料を安くできるのです。
乗り換え前には一括見積もりを
乗り換え手順のところでも書きましたが、自動車保険を乗り換える前には一括見積もりサービスを利用することをおすすめします。一度の情報の入力で複数の保険会社の見積もりを取ることができるので、各保険会社の保険料やサービスの比較を簡易に行うことができます。保険会社によっては見積もりで送られてきたログインID、パスワードを利用してサイト上で簡単に再試算を行ったり、その保険会社と契約をしたりすることができます。情報の再入力の必要がないので便利です。
自動車保険の一括見積もりサービスを利用してお得に自動車保険を乗り換えましょう。
自動車保険を安くするには一括見積もりがおすすめ!
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。