ゴールデンウィーク、お盆、年末年始は高速道路の利用者が多い為に事故や故障などによるロードサービスの出動回数が増える時期です。ロードサービスと似たようなサービスにJAFがありますが、どう違うのでしょうか。また、ロードサービスではどんなサービスが受けられるのでしょうか。損保出身の筆者が解説します。
もくじ
ロードサービスとは
ロードサービスとは、契約車両が事故、故障、またはトラブルなどにより走行不能となった場合に、レッカーのけん引や現場での応急処置などを提供するサービスのことをいいます。
現場とそのトラブル内容を元に、現場周辺で出動可能な業者を手配してくれます。
レッカー搬送が必要になった際には、必要に応じて保険会社と提携している優良な修理工場と、入庫可能かどうか連携をとって入庫手配をしてくれます。もちろん、お客様ご希望の入庫先とも連携をとって搬送手配することも可能です。
付帯形態
「ロードアシスト」や「ロードアシスタンス」など保険会社によって名称が異なれば、付帯形態も異なります。ほとんどの保険会社では、全ての契約自動車に付帯サービスとして自動付帯されています。保険会社によっては、サービス内容をより充実させる為にロードサービス「特約」を任意で付帯させることも可能です。
また、補償内容、補償範囲、も異なっていますので、比較・検討する際にはチェックしてみましょう。
ロードサービスの対象となるトラブルの例
JAFによると、2023年度の出動理由のTOP3は、1位「バッテリー上がり」2位「タイヤのパンク」3位「落輪・落込」(参考:JAF(日本自動車連盟) 「よくあるロードサービス出動理由」)となっており、全体の67%を占めています。もちろんこれらはロードサービスでも対応可能です。他にも対応可能なトラブル例をみてみましょう。
レッカー
レッカーけん引費用の限度額については、保険会社によって異なります。また、ご希望の修理工場に運ぶ場合のレッカーけん引費用は限度がありますが、保険会社指定の工場へ運ぶ場合は無制限となります。
ロードサービスでは、ご契約の車が自力で走行できない、もしくは法令により走行が禁じられた状態である場合に修理工場まで運ぶサービスを提供しています。
例えば、ヘッドライトが点灯しなくなったり、ワイパーが正常に稼働しない、ナンバープレートが外れているなど、自力では走行可能ですが、異常がある状態で走行していることとなりレッカー搬送が必要になります。万が一そのまま走行すると、道路運送車両法の違反となってしまう可能性もあります。
異常かどうか判断に迷う際でも、専任のスタッフが状況を確認してくれるので、まずは保険会社へ連絡してみましょう。
バッテリー上がり
バッテリー上がりの原因として、バッテリー自体の劣化、ライトの消し忘れ、過放電や微電流による電圧低下、充電装置の不良などが挙げられます。
バッテリー上がりが発生すると、電気系統に関連する全ての装置が作動しなくなり、エンジンがかからなくなりますので、ロードサービスを利用しましょう。
タイヤのパンク
ロードサービスにて提供されるのは「修理」ではなく「応急処理」になります。したがって、対象となるのはスペアタイヤの交換作業のみであり、パンク修理に関する費用、部品交換等消耗品代、タイヤ代は対象とはなりません。
キーとじ込み
なお、自宅で鍵を紛失してエンジンをかけられない場合は対象外となります。
ガス欠
ほとんどの保険会社が1回につき最大10リットルまで無料で利用できます。
なお、自宅駐車場および同等の保管場所での燃料切れは対象とはなりません。また、ご自身で燃料代を調達して後に保険会社へ費用を請求しても、保険金は支払われません。燃料切れになった際にはすぐにロードサービスを利用しましょう。
引き上げ・引き降ろし
オーバーヒート
冷却水漏れや冷却ラインの不足などにより冷却水の温度が上昇しオーバーヒートすると、エンジンが破損し動かなくなります。ロードサービスでは、冷却水の補充など現場での応急処置で対応できることもありますが、対応できない場合はレッカー搬送が実施されます。
ヘッドライトの故障
なお、電球の消耗が原因の場合はサービスの対象外ですが、ヘッドライトの故障が原因の場合はサービスの対象となります。
夜間ではないから走行可能と思うかもしれませんが、現場での応急処置もしくはレッカー搬送が必要になりますので、ロードサービスが必要になります。
ロードサービスの対象とならないケース
ロードサービスは基本的には、「契約車両が事故、故障、またはトラブルなどにより走行不能となった場合に」サービス提供の対象となります。したがって、以下3つの様なケースは対象とはなりません。
契約車両以外
ロードサービスは保険証券に記載された契約自動車のみがサービス利用の対象となります。
したがって、ファミリーバイク特約、他車運転特約、臨時代替自動車特約利用時なども利用不可となります。
もし、契約車両以外で事故が発生したら、同乗者にJAF会員がいないか確認しましょう。
法令違反
違法改造車、無免許運転など法令に違反している場合はロードサービスの対象とはなりません。改造とは、エンジンの改造、車高の変更等、法令により禁止されている改造または自動車製造業者が認めていない改造のことをいいます。
車検切れ
車検切れのみを理由として搬送を希望した場合は、ロードサービスの対象とはなりません。
ロードサービスとJAFとの違い
ロードサービスは契約自動車のみが対象となりますが、JAFは加入している方が対象となります。したがって、ご契約の車以外でも対応可能です。
例えば、契約車両にJAF会員が同乗していれば、契約車両以外でも事故や故障時にJAFのサービスを利用できることになります。
各保険会社同士の補償内容や補償範囲が異なれば、JAFのサービス内容とも異なっています。JAFは以下3つの事象を補償対象としていますが、大手保険会社のほとんどが対象外としており、ネット型保険会社は一部対象としています。
・タイヤパンクの修理
・チェーンの脱着作業
・タイヤのスタック時の引き上げ
JAF | ロードサービス | |
---|---|---|
補償の対象 | 会員 | 契約車両 |
無料で利用できる範囲 | 制限なし | 保険会社によって無料で利用できる範囲が決められている。 |
回数制限 | 制限なし | ほとんどのロードサービスは制限なく利用可能。 ただし、バッテリー上がり時のジャンピング作業や燃料切れ時の給油サービスは、保険会社によって保険期間中1回のみなどと設定されている。 |
レッカーけん引 | 15万円限度 | 15万円限度 |
応急処置の際の部品代、消耗品代 | 4,000円限度 | 自己負担 |
バッテリー上がり時のジャンピング | 〇 | 〇 |
キーとじ込み時の鍵開け | 〇 | 〇 |
パンク時のスペアタイヤ交換 | 〇 | 〇 |
溝に脱輪した時の引き上げ | 〇 | 〇 |
パンク修理 | 〇 | △※ |
雪道、泥道、砂浜などのため走行が困難な状態からの救援 | 〇 | △※ |
タイヤチェーンの着脱 | 〇 | △※ |
燃料切れ時の給油サービス | 〇 | 〇 |
※大手保険会社のほとんどが対象外ですが、ネット型保険会社では一部対象としている商品もあり。
それぞれのメリット
ロードサービスが対象となるトラブルや提供内容、JAFとの違いが分かってきたところで、ロードサービスとJAFのメリットを紹介します。
ロードサービスのメリット
運転者条件適用なし
ロードサービスの対象となる運転者は限定されません。したがって、運転者限定条件や運転者年齢条件の付帯があってもロードサービスを利用する際には適用されません。
例えば、単独事故を起こし走行不能となった際、運転者条件違反により車両保険が適用されなかった場合でもロードサービスのみは利用することができます。
等級・保険料に影響なし
保険金を請求した場合は次年度以降の等級と保険料に影響がありますが、ロードサービスのみを利用した場合は、影響なく変動することはありません。
例えば、もらい事故で走行不能になり相手方が無保険であった場合、本来は相手側で手配するものですが、自分の保険でロードサービスを利用すれば等級や保険料を気にすることなく速やかに手配することが可能です。
JAFのメリット
JAFならではのサービス
JAFと提携している保険会社であれば、JAF会員優遇サービスを受けることができます。
もし自動車保険のロードサービス+JAF会員の方で、ロードサービスを利用する際には、両方に加入している旨を伝えましょう。
自動車保険のロードサービスは日本国内で発生した事象に限ります。しかし、JAFは旅行者を対象に(留学や駐在員の方は対象外)FIA(国際自動車連盟)に加盟する世界80か国以上の現地自動車クラブから、そのクラブ会員に準じたサービスを受けることができます。
契約車両以外でも対応可能
JAFのサービスはJAF会員が対象となります。つまり、契約車両以外でもJAF会員の方が運転・同乗している場合は、事故・故障などのサービスを受けることができます。したがって、ファミリーバイク特約や他車運転特約利用時でも利用可能となります。
車が動かなくなったら?
車が動かなくなったら、まず運転者本人から保険会社のフリーダイヤルへ連絡しましょう。
全ての自動車保険契約に自動付帯されているロードサービスには、補償内容によっては事前連絡がないとサービスを受けられない補償内容もあります。例えば、トラブルが発生しご自身で業者を手配した場合、後に保険会社に事後請求をしても補償内容によっては保険金を受け取れないケースがあります。
また、契約を確認する為の車の情報、状況、発生場所などを正確に把握する為にもなるべく運転者本人から、まずは保険会社のフリーダイヤルへ連絡しましょう。そうすることで速やかにサービスを受けることができます。
ロードサービスの利用の流れ
事故や故障が発生したら、ひとまず保険会社フリーダイヤルへ連絡しましょう。そこからは、事故もしくは故障の専任のスタッフが窓口となって、適切なサービスを提供してくれます。
①保険会社フリーダイヤルへ連絡
事故・故障が発生したら運転者から保険会社フリーダイヤルへ連絡しましょう。発生場所や車の状況を把握する必要がある為、出来れば運転者から連絡しましょう。該当のナンバープレートと車の状況を伝えていただくことでサービス対象かどうかを確認します。
②JAFもしくは業者が出動
JAF会員の場合は会員である旨を伝えましょう。JAFと連携し、両方加入している人向けの補償範囲のサービスを受けることが出来ます。運転者から把握した情報は、事故・故障受付窓口、保険会社、出動業者で連携され、現場付近で出動可能な業者が駆け付けてくれます。
③業者が到着
基本的に、現場での立替費用は発生しません。対象となるロードサービス費用は契約者側を通さずに精算されます。JAF会員の場合も同様に立替の必要なく、保険会社がJAFへ費用を支払い精算されます。
レッカー車に乗せてもらえる?
契約車両のレッカー搬送が必要になった場合、手元には車がなくなってしまいます。レッカー車が契約車両を修理先まで搬送することになりますが、レッカー車は人を運ぶことは出来ず、車だけ運ばれてしまうことになります。そこから目的地までの移動手段は車以外の方法を利用する必要があります。
ロードサービスの業者は、バスやタクシーのように代金を受け取って人を乗せている訳ではない為、人を運んでしまうと法律に抵触する可能性があります。
レッカーが必要になった際、現場から目的地までの交通費が補償されたり、宿泊費用が補償されるサービスや特約もあります。また、レンタカー費用特約が付帯されていれば、そのまま現地にレンタカーを配車してレンタカーで帰宅することも可能なので気になる人は確認してみましょう。