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自動車保険の弁護士費用特約を使えないのはどんなとき?

投稿日:2022年3月2日 更新日:

交通事故の際にあると安心できる弁護士費用特約ですが、弁護士費用特約を使うことができない場合も存在します。どのような場合に使うことができないのかしっかりと把握しておきましょう。また、使えないと誤解しやすいケースについても紹介します。

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弁護士費用特約とは?

弁護士費用特約とは、自動車に関する被害事故などで相手方に損害賠償請求をするため弁護士に委任したり相談したりした場合の費用について補償する特約です。弁護士に委任する場合の弁護士報酬や訴訟費用などは1事故1被保険者につき300万円まで、相談費用は同10万円までとなっているのが一般的です。なお、事前に保険会社に承認を得る必要があります。

自動車保険の弁護士費用特約では自動車事故に関する弁護士費用・相談費用のみ補償の対象となる保険会社と自動車事故に限らず犬にかまれた場合や自転車同士の事故の場合などの日常生活での事故の解決にも使えるタイプも選択できる保険会社があります。補償範囲が広くなれば保険料も高くなるので日常生活の事故も含めるか選択できる場合は使う場面があるのか考えて選択しましょう。

ちなみに、弁護士費用特約のみを使っても翌年度の等級には影響ありません。他に等級の下がる補償を利用していなければ、弁護士費用特約のみを使っても翌年度は1等級上がることになります。

家族の弁護士費用特約が使える場合も

弁護士費用特約の補償の対象となるのは以下の通り、記名被保険者とその家族、契約車両に搭乗中の方、契約車両の所有者です。

  • 記名被保険者
  • (記名被保険者の)配偶者
  • (記名被保険者またはその配偶者の)同居の親族
  • (記名被保険者またはその配偶者の)別居の未婚の子
  • 契約車両に搭乗中の方
  • 契約車両の所有者

※保険会社によって補償を受けられる範囲が異なる場合があります。詳細は保険会社にご確認ください。

自分自身が弁護士費用特約を契約していなくても家族が他に車を持っていて弁護士費用特約を契約していれば補償を受けられる可能性があります。

弁護士費用特約を使えないのはどんなとき?

弁護士費用特約はどのような場合でも使えるというわけではありません。弁護士費用特約を使うことができない主なケースを紹介します。なお、保険会社によって異なる場合、ここに記載がないものでも使えない場合もありますので正確な内容については契約する保険会社にご確認ください。

被保険者の故意または重大な過失によって起こした事故

被保険者の故意または重大な過失によって起こした事故については弁護士費用特約を使うことができません。重大な過失というのはほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指します。

無免許運転や酒気帯び運転、薬物を使用した状態での運転

故意や重大な過失もそうですが、無免許運転や酒気帯び運転、薬物を使用して正常な運転ができない恐れがある状態での運転で生じた被害については、弁護士費用特約に限らず自分側への補償は受けられないです。

車の正当な所有者に承諾を得ないで運転していたとき

盗んだ車など、車の正当な所有者に承諾を得ないで運転していて起こした事故では弁護士費用特約を使うことはできません。

地震、噴火、津波、台風、洪水、高潮

地震、噴火、津波、台風、洪水、高潮によって事故が生じた場合には弁護士費用特約を使うことができません。台風、洪水、高潮は車両保険など補償を受けられる内容もありますが、地震・噴火・津波は基本的にどの補償内容でも対象外となっています(地震・火災・津波危険車両全損時一時金特約を除く)。

賠償義務者が被保険者、被保険者の父母・配偶者・子

被保険者やその父母・配偶者・子に対して損害賠償請求をする場合では弁護士費用特約を使うことはできません。

契約前に発生した事故

当然のことながら、弁護士費用特約を契約する前に発生した事故について弁護士費用特約を使うことはできません。契約後に生じた事故が対象となります。

事業用の車を運転していた場合(保険会社による)

保険会社によりますが、事業用の車を運転していて事故に遭った場合では弁護士費用特約を使えない場合が多々あります。事業用の車を運転する機会がある方は自分が契約する保険会社がどのようになっているのか約款を確認してみるとよいでしょう。

自動車やバイクの関わらない事故(日常生活型でない場合)

自動車保険の弁護士費用特約は基本的に車やバイクが関わらない事故に対しては使うことができません。しかし、近年では対象を日常生活の事故にまで広げた商品も出てきており、そうした商品を契約している場合は自転車と歩行者の事故など日常生活の被害事故についても補償を受けられます。

弁護士費用特約が使えないと誤解しやすいケース

実際は弁護士費用特約を使うことができる場合でも弁護士費用特約を使えないと誤解しやすいケースもあります。どのような場合か紹介します。

被害者側に過失がある場合

弁護士費用特約の説明として自分に過失がないもらい事故のケースがよく用いられますが、弁護士費用特約は少しでも過失があったら使えなくなるわけではないです。確かに、自分側に過失があれば保険会社が示談交渉を行うことができるので弁護士費用特約の使いどころは減りますが、過失割合の主張に食い違いがあって弁護士に相談したい場合など自身に過失があっても利用することは可能です。

なお、弁護士費用特約は被害事故での弁護士費用を補償するものなので自分:相手=10:0で加害者の場合などでは弁護士費用特約を使うことはできません。

被害が小さい場合

被害が小さい場合、弁護士に相談しても損害賠償額の増額につながらなかったり、増額できてもわずかな額であったりすることも多いです。そうした場合、弁護士費用特約は使えない、また使えたとしてもあまり意味はないと思いがちです。しかし、弁護士費用特約は損害額が少額でも使用することはできますし、また、損害額が少額でも事故相手と揉めることもありえます。弁護士に相談したいと思ったら少額でもためらわずに保険会社に確認してみるとよいでしょう。

※実際にどのような場合に使用できるのか、また、使用できないかは約款等で確認しておきましょう。

まとめ

事故の際に心強い味方となる弁護士費用特約ですが、故意や重大な過失のある場合、無免許運転・酒気帯び運転などこの特約を使うことができない場合も存在します。しかし、被害者側に過失がある場合など使えないと思っていても実は弁護士費用特約を利用できるケースもあります。交通事故の被害に遭い、弁護士に相談したい事柄が生じたら保険会社に確認してみるとよいでしょう。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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