自動車保険を新規で契約した場合、6等級からスタートします。短期間で事故を起こしてしまったなどの理由で等級が6等級以下になってしまった場合、一旦自動車保険を解約してリセットし、新規で契約しなおせば等級を6等級からスタートするという方法は可能なのでしょうか。自動車保険の等級をリセットする場合について解説します。
もくじ
デメリット等級のリセットはできない
自動車保険で保険料を決める要素の一つとなる等級(ノンフリート等級)は、事故で保険を利用した人と無事故の人との保険料に違いを設ける事で保険料負担の公平性を保っている制度です。そのため、等級が下がる事故を起こしてしまえば翌年度の保険料の割引率は少なくなり、等級が4等級以下であれば保険料は割増となります。
通常、6等級からスタートしますが、等級が十分に進んでいないうちに事故を起こしてしまった場合や等級が進んだ後でも短期間に複数回事故を起こした場合などで等級が5等級以下になってしまうことがあります。デメリット等級と言われる1~5等級の人は、新規契約する場合の6等級よりも保険料が高くなります。自動車保険では、前契約の満期日から13か月間は等級・事故有係数適用期間が記録されているため、その間はデメリット等級をリセットすることはできません。5等級以下になってしまったからといって、新規で契約して6等級からスタートしなおすということはできないようになっています。
事故有係数適用期間とは
事故有係数適用期間とは、ノンフリート等級の割引率を計算する際に使用する「事故有係数」を「適用する期間」のことを言います。この適用する期間については、等級ダウン事故で何等級下がったかがそのまま積算され、最長6年になります。一方で毎年1年ずつ期間は減算されていきます。
例えば、ある年に3等級ダウン事故を1回、その翌年に1等級ダウン事故を1回起こし、その後は無事故だった場合、事故あり係数適用期間は0年(事故年)→3年(3等級ダウン事故の翌年度)→3年(1等級ダウン事故の翌年度)→2年→1年→0年と推移します。
名義変更をすれば6等級からスタートできる?
自動車保険は、配偶者や同居の親族であれば等級を引き継ぐことができます。この制度を利用し5等級以下になった人が自動車保険を解約し同居の家族から自動車保険の引継ぎを受けて新規で契約をしなおすといったような方法が考えられますが、その方法は有効ではありません。自動車保険の等級は、記名被保険者(契約の車を主に運転する人)に紐づいており、等級の引き継ぎによって記名被保険者の名義変更を受ける者が過去13カ月以内に自動車保険に契約があれば等級の引き継ぎは受けられないとされているからです。
その他、車両入替を行っても等級は記名被保険者に紐づいているためデメリット等級は引き継がれます。また、家族が乗っている車を増車しセカンドカーの自動車保険契約を行った場合を考えてみましょう。自分が記名被保険者として運転するのであれば自分が記名被保険者となっている自動車は2台あることになり、5等級以下の自動車保険料とダブルで支払っている状況になります。後で5等級以下の自動車保険の解約やセカンドカーの名義変更などを行うといった方法はタイミングによって不正と判断されます。自動車保険会社から追加の保険料請求や契約の訂正、事故時の補償が受けられないといったような事や今後の自動車保険の契約にも影響される可能性があります。自動車保険の等級は、不正ができないようになっているので安全運転を心がけ等級を積み重ねていくしかありません。
- 等級の引き継ぎが行えない場合
- ●名義変更を受ける者が過去13カ月以内に自動車保険に契約したことがある
●また、その時の等級が1~5等級であった場合
自動車共済に乗り換えて6等級からスタートできる?
自動車保険、自動車共済ともに等級制度は存在します。一部の共済を除いて自動車保険と自動車共済間でも等級は引き継ぐことができます。さらに、5等級以下のデメリット等級においても等級は引き継がれるため自動車共済に変更したからといって6等級からスタートできるということはありません。
自動車共済の場合であっても前契約の満期日から13か月間は等級・事故有係数適用期間が引き継がれる点は変わりません。自動車保険から自動車共済への契約変更を行う場合などは、証明書の提出が必要であったり、引受が困難な場合もあります。逆の場合も同じですが乗り換えを行う時には自動車保険(共済)に確認を行うようにしましょう。
7等級以上の人は、契約が切れている場合の割引等級リセットに注意!
自動車保険の等級は、1年間無事故であれば1等級ずつ上がっていき自動車保険料の割引率が高くなります。自動車保険の等級は保険会社を変更しても引き継ぐことができます(一部共済を除く)。しかし、契約が切れている場合は注意が必要です。次の保険始期日が前の満期日から8日以上開いてしまうと等級はリセットされてしまい6等級からのスタートに戻ります。せっかく無事故で積み重ねた等級がリセットされてしまえば、6等級からのスタートになってしまい保険料も高くなるので保険会社の乗り換えなどを行う場合には注意しましょう。
海外に赴任するためしばらく車に乗らない、都心に住むため車を手放すといったような理由で一時的に車の利用をストップする場合に自動車保険の中断制度を利用して10年間ノンフリート等級を保存することができます。一時的に車を手放す予定がある人は中断証明書を活用して等級の保存を考えておくとよいでしょう。
過去13カ月以内の自動車保険契約の告知事項
自動車保険に契約する時には、自動車保険を契約する時に保険会社が告知を求める告知事項には正確に告知する告知義務があります。その告知事項では、過去13か月以内に契約締結していた自動車保険(共済)契約について正確に伝えなければいけません。保険会社(共済)は、適切な等級継承確認のため、前年度の契約の有無、保険事故の情報の有無などの情報を共有しています。告知内容を基に申告内容に間違いがないか確認しているので虚偽がないように正確に伝えることが必要です。
デメリット等級になってしまった人が6等級に戻るためには、無事故を継続し等級を1等級ずつ積み重ねていくか、自動車保険を解約し、自動車の運転を中止して、等級がリセットされる13か月経過間後に新たに自動車保険の契約をし、自動車の運転を再開するという方法を行うしかありません。自動車保険の等級制度は保険料負担の公平性を保つ制度のため、不平等にならないように自動車保険会社同士で協力しあい運営されています。
自動車保険乗り換えの時の前契約告知事項
- 会社名
- 証券番号
- ノンフリート等級
- 事故有係数適用期間
- 事故件数
デメリット等級にならないようにする方法
デメリット等級にならないようにするためには無事故を継続し自動車保険を使わないことです(等級に影響しないノーカウント事故を除く)。運転は、安全運転を心がけ事故がないようにしましょう。それでも、免許を取得したばかりの人が新規で自動車保険に契約すれば6等級からスタートとなり、慣れない運転で事故を起こしてしまうと等級がダウンし5等級以下になってしまいます。5等級以下になってしまうと、自動車保険会社の引受けを断られてしまったり、契約に条件が付く場合もあります。
5等級以下の状態になってしまい自動車保険に契約し辛くなってしまったからといって無保険の状態で運転するわけにはいきません。新規で自動車保険に契約する人は、配偶者や同居の親族から等級の引き継ぎを受けることができるという制度を利用し高い等級の引き継ぎを受ける事ができれば短期で事故を起こしてしまってもデメリット等級になってしまうリスクが軽減できます。
また、車両保険は等級に影響する保険です。そのため車両保険に契約している人が車両保険を利用して車の修理などを行うと1等級か3等級ダウンの事故扱いとなり等級が下がってしまいます。等級が低い人が車両保険を利用する時には、等級が下がっても車両保険を利用して修理する範囲なのか、車両保険を使わずに修理できる範囲なのか等級のことも考えて申請するようにしましょう。
まとめ
自動車保険の等級制度は、等級が高くなるほど割引率がアップし保険料が安くなります。通常、新規で契約した場合の自動車保険は6等級からスタートし、無事故を継続することで毎年1等級ずつ積み重ねて等級をあげていきますが、短期で事故を起こしてしまった場合などは、デメリット等級と言われる5等級以下になってしまう人もいます。自動車保険は公平性を保つために等級や事故有係数適用期間が設けられているため等級のリセットにもルールが定められています。5等級以下のデメリット等級になってしまったからといって新規で6等級から契約しなおしたり、家族からの等級の引き継ぎは受けられません。